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リアクション
「ふふん、諸君らは何か勘違いしているようでありますな! 山田君が本当に好意を寄せているのは自分であります!」
エミリー・グラフトン(えみりー・ぐらふとん)は大声で三人の注目を集めると「ソートグラフィー」で山田と一緒に写った合成写真を、しかも見やすいようにA3サイズにしたのを三人に掲げるように見せた。
「!?……」
「メンタルアサルト」のお陰で混乱しているが既に狂乱となっているの上だったので更にカオスに陥った。
だが、其のせいで三人の同士討ちを行うチャンスが出来――。
エヴァルトが亜里沙達三人に対して肘に付けたレッドラインシールドと右肩に付けたフルムーンシールド、そして右手に光条兵器のトンファー、合計三つの防御手段を用いて三人の攻撃を同時に止めた。
「!?」
驚愕する三人に対して、エヴァルトは更に追撃を入れる。
追撃を受け、後退する三人。
そして、後退し、ダメージを受けたせいで立ちすくんだ所を――。
セレンフィリティの狙撃が三人を襲う!
眠らなかったもの三人の挙動に鈍さが出てくる。
「今であります!」
大洞はチャンスとばかりにソフィアと共にカナメに向かいロープで捕縛しようとするが……
「嫌ッ!」
「こ、の! 大人しくしなさいですわ!」
田中以外には触られたくないと言った風にソフィアを拒否をするカナメ。
ソフィアが羽交い締めにして抑えるも、リミッターが切れている状態の為、中々捕縛することができない。
止む無く、カナメに打撃を与えて気を失わせるとやっと捕縛することに出来た。
もう一方、その頃。
「何にせよ暴走している内は解決も何もないか……一先ず強化人間……亜里沙嬢の「確保」を優先しよう」
マイト・レストレイド(まいと・れすとれいど)はカナメが無力化さ、亜里沙も鈍くなっているのをチャンスとばかりに亜里沙の確保に向かった。
『行動予測』で亜里沙の動きを予測しつつスクイズマフラー&『サイコキネシス』で軌道制御した戦闘用手錠により捕縛を実行するが――。
動きは遅くとも強化人間、躱され、抵抗を受けることになった。
「加勢するであります!」
マイトが苦戦している様子を見ていた大洞が加勢する。
「嫌ッ!嫌ッ!ああああああああああああああ!」
大洞の攻撃と手錠&マフラーを囮に懐へ飛び込み、逮捕術で亜里沙を掴み、投げて、極めて制圧を行うが――。
それに対して山田以外の男性に触られた事に発狂した亜里沙の力は意外と強く、中々制圧に苦労をすることとなった。
(英国紳士としてはレディに手荒な真似は余りしたくない……)
亜里沙は無傷で確保出来たものの、マイト自身は生傷が絶えなかった。
「山田さん、お願いします」
大洞が押さえ込んでいる所に、マイトは山田を連れてきて鎮静剤を投与するようにお願いした。
「はいっ」
「んーー! んー! んー!」
自決防止のために猿轡をされている亜里沙はイヤイヤと首を振り抵抗するが――。
首元にペンの様な鎮静剤を押し付けるとそのまま動かなくなってしまった。
ただ落ち着かせるはずの鎮静剤で動かなくなってしまった事に驚くマイトと大洞と山田。
だらんとして気が抜けたその様子はまるで死んだような格好ではあったが、マイトが慌てて脈を確認すると気を失ったようだった。
その頃――。
「何というか、暴走出来る所が全部暴走しきった感じねえ……」
伏見 明子(ふしみ・めいこ)は機晶姫のミリザを抑えこもうとしていた。
「よーし、どうどう、落ち着けー。ロストしたらやまーだ君が物理的にも精神的にも傷つくわよー」
「ゴッドスピード」で加速して、「行動予測」でミリザの行動を予測して「抑えこみ」を掛ける。
加速して接近して力尽くで抑えこうもうとする伏見をエリザは朦朧としながらも抵抗する。
危険を察知したのだろう、その抵抗は抑えこまれているものの激しかった。
「えい、面倒だ。一人抱えたまま空飛ぶ魔法で飛び上がってしまえ」
伏見が「機晶姫」ミリザを抱えたまま魔法で浮かび上がるが……。
「まあ兎も角落ち着きなさいよ。半分ぐらい病気みたいな物だし、今回のが落ち着いたら一度病院にいってみれば?」
「うーっ うーっ」
浮かび上がった事により大人しくなるどころか、抵抗が激しくなり……その重量をもってして上空より落下してしまった。
「!!?」
落下し、地面に激突し叩きつけられるミリザ。
慌てて降りてミリザを確認する伏見。
幸いなことに――コアには問題がなく落下したショックで気を失っているようだった。
「困ってらっしゃるようなので私が助けて差し上げましょう」
全員捕縛され、おとなしくなった三人に意識が行っていた隙にゲドー・ジャドウ(げどー・じゃどう)とそのパートナーのシメオン・カタストロフ(しめおん・かたすとろふ)が動き出した。
「恐怖に怯えている彼を救い、暴走する彼女達を止め、問題の根本的解決にもつながる唯一にして絶対の方法。それは山田を殺すことです」
そう――シメオンが狙うは山田の命。
「例え、今回、解決したとしても同じことが繰り返されるでしょう。争いの原因がなくなることにより争う意味もなくなるでしょう。」
「灼骨のカーマイン」で山田が生徒達から離れ一人になった所を狙い撃つが――。
一度目を離した隙にミネッティとよろしくやっていたと言う事で目を離さないように警戒していた白砂が銃撃に感づいた。
白砂に倒され掠める「灼骨のカーマイン」の攻撃。
「何をしているんだ!」
流石に――ゴブリン側に生徒がいることは予想できたが、まさか争いの元凶である山田を殺すという生徒がいたとは洋装できていなかった。
「人が折角助けてやろうってんだ。感謝して欲しいくらいだね」
シメオンを排除しようと振るう白砂の「トネリコの槍」とそのシメオンを守ろうとするゲドーの「黄昏の大鎌」が交差し、剣戟の音が辺りに響く。
さすがにこの音に気がついた生徒達や捕縛された亜里沙達がこの様子から山田を狙っていることに気がついた。
助けようとして暴れるアリサ達を抑える生徒と白沙に加勢する生徒や山田を護衛する生徒達とそれぞれが動いた。
異常は――対ゴブリンで戦闘していた生徒達にも伝わっていた。
レキが「ヒプノシス」を使うと他の「ヒプノシス」を使える生徒達が使いこの場を抑えようとした。
結果、シメオンとゲドーは敵と認識されたのだろう、さすがに何重という「ヒプノシス」の前には抵抗することが出来ず眠ってしまった。
「こ……怖いです……で、でも、怖がったままじゃいけませんよね!」
エヴァルトの後ろに隠れていたミュリエル・クロンティリス(みゅりえる・くろんてぃりす)は魔法少女『ミュリエル・ザ・マジカルアリス』に変身した。
することは一つ――鎮静し、山田の危機によって興奮し混乱した三人を『オープンユアハート』で治すためだ。
ミュリエルの『オープンユアハート』によって三人は落ち着きを取り戻す事に成功した。