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リアクション
〜浜辺にて〜
白い砂が敷き詰められた浜辺で、契約者達は一人の少女を囲み立ち尽くしていた。
「ジゼル! ジゼルしっかりしなさいよ!!」
必死に声を掛けて居るのは、雅羅だ。
ジゼルの青白くなっている頬を手で叩き、ずっと呼びかけ続けているのだが返事は無い。
もはや彼女の身体からは心臓の鼓動が感じられなかった。
「ジゼル! お願いよ、目を覚まして!!」
身体が冷たい。
もうどうする事も出来ないのだろうか。
「ねえ、謝ってくれるんでしょ!? 有難うって……言ってくれるんでしょ!!?」
「エース」
「分かってる」
エオリアに急かされるように、輪の外からエースが雅羅の元へやってくる。
エースの手からアクアマリンの欠片が雅羅に渡された。
「これ……」
「ジゼルに託されたものだよ。こんな欠片で役立つかは分からないが」
エースが言い終わるよりも早く、雅羅はジゼルの胸元にアクアマリンの欠片を置くが、待っていても何も起こる事はなく、ジゼルの目は固く閉じられたままだった。
「待っててって……約束したじゃない……
あれは嘘だったの?」
雅羅の瞳から涙が零れ落ち、アクアマリンの欠片を濡らしていく。
水のように。
海のように。
その時だ。
アクアマリンの欠片が突如輝きだすと、ジゼルを包みこみやがて目も眩むほどの閃光に契約者達は目を閉じる。
そして目を開くと、ジゼルが息を吹き返し目を覚ましていたのだ。
「ジゼル!!」
「……雅羅……皆……」
ぼんやりとしたままのジゼルの身体を、雅羅が強く抱きしめる。
「ジゼルぅ」
「よかったよぉ」
「ジゼルちゃん!」
「ジゼルおねえちゃん!」
雪崩のようにジゼルに抱きついてくる皆を受け止めながら、ジゼルのアクアマリンの瞳からは涙が零れ落ちて止まらない。
「皆……ごめんなさい……ありがとう、ありがとう!!」
「ジゼル……これ」
暫く泣いていた少女たちの輪に、おずおずと入ってきたのは雫澄だった。
彼が手にしていたのはジゼルが投げ捨てたサンダルだ。
「なんて言ったらいいか……僕は靴を履いてるジゼルも好きだよ」
「……ありがとう」
雫澄に差し出されたサンダルに足を通しているジゼルの隣で、加夜がそっと小さな声で話し掛けてきた。
「ジゼルちゃん、アクアマリンの石言葉って知ってる?」
ふるふると首を振るジゼルに、加夜は微笑んで続ける。
「アクアマリンの石言葉は”勇敢”
何かに迷った時、きぼうの光で導いてくれる石なのよ。
あなたがこれからその靴で歩くのは、光に示された希望の道。
困った事があっても、苦しい事があっても、私達がついてる。
だから一緒に進みましょう」
加夜の言葉に反応するように、皆から笑顔を向けられて、ジゼルは気恥かしさに頬を染めながら笑顔で答えた。
「……うん!」