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リアクション
「おや、あれは……」
「パパーイどうしたの?」
夜、寮を巡回していた、アルテッツァ・ゾディアック(あるてっつぁ・ぞでぃあっく)とセシリア・ノーバディ(せしりあ・のおばでぃ)はせつなの部屋の前にいるナナシと一緒にいる六連 すばる(むづら・すばる)を見つける。
「おや、すばる……いや、六連君、どうしました?」
「あ、マスター、雪比良さんと談話室でお話をしようかなと思って誘いに来たら、その……」
「俺は、せつなの護衛だ」
「護衛……ですか。ナナシ君、キミは雪比良君の行く先についていく姿がよく見受けられましたが、なんのために雪比良君のそばを離れないのでしょうか? 何か重大な任務でも?」
「それは……」
「ナナシ? 部屋の前で一体どうしたの……、って、皆さんお揃いで。どうしました?」
騒がしいからか部屋の中から出てきたせつな。
「おや、雪比良君。少しナナシ君について聞こうと思いまして」
「俺がお前のそばを離れない理由……だそうだ」
「なるほど……」
「教えていただけますか?」
「はい。でも、その前に場所変えましょう。ここで立ち話もなんですから……」
「では、皆さんで談話室に行きましょう」
「あれ、どうしたんですか?」
更に、同じく巡回をしていたイーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)がやってきた。
「ナナシ君についてこれから少々お伺いしよと談話室に移動するところです」
「そうですか……。よければ、私もよろしいですか? 聞きたいことがありますし」
「構いませんよ」
「ありがとうございます。アルテッツァさん。後、二人ほど呼びたいのでお先に行っていてもらっても良いですか?」
「分かりました。では後ほど」
イーリャは一礼して、先ほど来た道を戻り、アルテッツァ達は全員で談話室に向かった。
「お待たせしました」
アルテッツァ達が談話室に到着してから、少ししてイーリャがジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)、ヴァディーシャ・アカーシ(う゛ぁでぃーしゃ・あかーし)の二人を連れてやってきた。
「さて、揃いましたね。では、改めて。ナナシ君。あなたが雪比良君のそばを離れない理由について、教えていただけますか?」
「まぁ、さっきも言ったがせつなの護衛だな」
「え、護衛だったの?」
ナナシの言葉にきょとんとしていたのはせつな本人だった。
「……ナナシ君? 雪比良君?」
「あ、いや、そう間違いでも……その、そう! パートナです! パートナー! 新しいパートナーなんですよ!」
アルテッツァに睨まれ慌てて弁解するせつな。
「まぁ、本物のパートナーではないが」
「なんで、人が頑張って弁解しているのにあなたはーー!!」
ナナシに対して怒るせつな。
「まぁ、その事に関しては気にしないでおきましょう。それで、結局のところどうなんですか?」
「え、えっとナナシは未来から来て、その未来にあたしが関わっているらしくて……」
「そうだ。俺は俺の時代で台頭する『C』を阻止するべく、『C』を探し、その祖を始末するためにこの時代にやってきた」
「『C』……ですか」
「その『C』ついて詳しく教えてくれない?」
『C』という単語を聞いて反応をしめしたセシリア。
「『C』は、俺の時代において、アルファベット一文字で称される新人類。遺伝子操作実験によって誕生したとされ、超能力に特化している。その力は契約者を凌駕している」
「そんなものがいるのね……」
「純正な地球人であるため、強化人間となった『C』と『C』がパートナー契約を結べば手がつけられなくなる圧倒的な存在だ。そして、俺は未来においてその『C』が初めて出現したとされるこのプログラムに参加した」
「そんなものが……」
「突飛した話ではあるんですけど、信じてもらえますか……?」
せつなの言葉に、アルテッツァは少し考えた後、頷く。
「……ナナシ君、キミの話を信じましょう。ボクにも未来から来た娘という存在がいますしね」
アルテッツァがセシリアを見る。
「『C』ですか……。ナナシの世界ではそう呼ばれているですね」
ヴァディーシャが呟く。
「そう呼ばれている……とは?」
その呟きにナナシが反応する。
「ボクも似たような未来から来ましたです。その世界では、ママの強化人間……ママを殺したジヴァがそんな存在だったです」
「……らしいわ。まぁ、あたしは否定しないわよ」
ジヴァは自分の名前が出たというのに大した反応は示さない。
「あたしはそういう存在を目指して元々作られたもの。支配なんて面倒だけど、劣等種がちんたらやっているのを見たら、取って代わりって思うことくらいあるもの」
「こら、ジヴァ……! ごめんなさい。ジヴァが変な事を言ってしまって……」
「いや、構いませんよ」
「えっと、ナナシ君。一つ聞いて良いかしら?」
「なんだ?」
「あなたの目で見てジヴァやヴァディーシャは『C』になりえるのかしら?」
イーリャの質問を聞いて、すぐに首を横に振る。
「いや、それはありえないな」
「そう……」
「じゃあ、『C』の定義とかあるのかしら? ワタシも追いかけているの。ワタシの未来ではパパーイが殺されたから……。詳しく教えてくれる?」
セシリアの言葉に頷くナナシ。
「パラミタ出現の前後に誕生した、普通の人間とは遺伝子構造が異なる者」
「パラミタが出現したのは2009年。それより少し前、世界各地でその予兆らしき現象が起こったのは今の2022年時点で17歳ぐらいまでの男女になるでしょうか。それでは結構な人が該当することになりますね」
「そして、契約者となっている『C』を見分ける方法はスキルに該当しない異能力を持つ者」
「ふむ……、それならアクセルギアを使わず、体感速度を上げられると言われるサーシャ、ミーシャ姉弟などが該当しますね」
「そうだ。だから、今、俺が疑っているのは、トーマス・ハミルトン、ケビン・サザーランド、パトリシア・ブルームフィールド、サーシャ、ミーシャ姉弟、そして西枝レイだ。そして、俺は『C』の能力を理解している」
「そうですか……、だからボク達が『C』ということはまずありえないということですね?」
「そういうことだ。理解してもらえたか?」
「……分かったです。どうもありがとうです」
「なので、もし、情報があったら提供してくれると助かる」
「そういうことなら貴男に協力するわ。教員と言っても、パパーイよりは動きやすい立場だしね」
「こちらも協力するわ。その人達に関する情報が手に入ったら教えるわ」
「……さて、お話はまとまりましたね? そろそろ就寝時間ですし、お開きとしましょう」
アルテッツァの言葉で、少し重かった空気が和らぐ。
「えぇ、皆さん。明日のためにも早く寝なさい」
「あ、せつなさん」
「ん? なに、すばるさん」
「少し、お話が、あるのですが、良いですか?」
「うん、構わないわよ」
「よかった……」
「六連君、時間もあまりありませんので、ほどほどにでお願いしますね」
「あ、はい」
「さて、ナナシ君。キミはこちらですよ」
終わったとばかりに部屋に戻ろうとするナナシの襟首を掴むアルテッツァ。
「……なんだ?」
「重大な任務があって、雪比良君の近くにいるということは分かりました。ですが、こんな夜に女子の部屋に男子が訪ねるというのは、ダメですよ。お説教です」
「貴男も大胆ね。その行動力は認めるけど、ダメなものはダメ。しっかりお説教を受けてもらうからね」
「……なんということだ」
アルテッツァとセシリアに引きずられながらそう呟いたナナシだった。
「ぱぴちゃんいーこときいちゃった」
全員が戻った後、一人、姿を現したパピリオ・マグダレーナ(ぱぴりお・まぐだれえな)。
「『C』? その候補者? おっもしろそ〜。確かトマス、ケビン、パティ、サーシャとミーシャ、それとレイ……ね。きゃはは、どんな風にしてあげちゃおっかなぁ〜♪」
不気味な微笑みを浮かべながら姿を消したパピリオだった。
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