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いい湯だな♪

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いい湯だな♪

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    ★    ★    ★
 
「なんだか騒がしいなあ。それにしても、なんであの人たち、パンツ被ってるのかしら……。はっ、まさか、Pモヒカン族……って、モヒカンじゃないかあ。紛らわしい変態さんたちだなあ。きっと、パンツなんとか番長なんだろうなあ」
 同じ脱衣場にいた小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が、少し迷惑そうに斎藤ハツネたちの方をチラ見しました。
「関わらないでおこう……」
 そうつぶやくと、小鳥遊美羽は脱いだ服や縞々のパンツを脱衣籠に入れて、棚にしまいました。脱衣籠のならぶ棚には、すでに大浴場に入っているたくさんの人の衣服がしまわれています。
 もちろん、小鳥遊美羽はパンツなんか被りませんし、ちゃんと蒼空学園の水着を着ました。
 小鳥遊美羽が浴室へ移動すると、入れ違いに桜月 舞香(さくらづき・まいか)たちが脱衣場に入ってきました。
「こ、このパンフレットは……」
 貸し出しパンツの横においてあったパンフレットを見て、桜月舞香がわなわなと身を震わせました。
「どうしたアル?」
 何ごとかと、奏 美凜(そう・めいりん)がそのパンフレットをのぞき込みました。
「ああ、それって、P級四天王ちゃんのパンフレット?」
「何アルかそれ?」
 したり顔で言う桜月 綾乃(さくらづき・あやの)に、奏美凜が訊ねました。
「それはね、実は舞香の正体は、P級四天王本家見せパン番長……うぐ……むぐっ」
「はははは、なんのことかなあ」
 桜月舞香が、桜月綾乃の首を絞めかねない勢いでその口を塞ごうとしました。
「ほう。舞に見せパン番長なんて称号があったなんて初耳アル。言いえて妙アルね……。な、なんでもないアルよ!?」
 納得したとたん、凄い目で桜月舞香に睨まれて、あわてて奏美凜がごまかしました。
 以前、P級四天王たちと戦ったときに、桜月舞香は彼らからP級四天王に認められ、称号を勝ち得てしまったのでした。不本意ながら……。
「アイヤー、しかし、パンツを頭に被るとはまた親父臭い趣味アルね!」
「すでに、犠牲者も出ているわ。これ以上、奴らをのさばらせておくわけにはいかない」
 決意のようなものを滲ませて、桜月舞香が言いました。その視線の先には、嬉々としてパンツを被っている伏見さくらの姿がありました。
「そうアル。本家見せパン番長の言う通り……ないアル、ないアル」
 禁断の名を口にしたために、桜月舞香に締めあげられて奏美凜がギブアップしました。
「パンツ被るなんて、変態さんだなあ。その点、私は、絶対にパンツなんて被らないし」
 迷惑だなあと、桜月綾乃が言いました。
「綾乃は被らなくても、綾乃のパンツはPモヒカン族なら被るわよ」
 きっぱりと、桜月舞香が言いました。
「やだ、トリニティ・スキャンティ、お気に入りなのに! もう、せっかく高級石鹸も買ってきたのに、変態さんのせいで落ち着いて楽しめないじゃないですかー! やだー!」
 ワンピース水着に着替えた桜月綾乃が、自分の脱いだ着物や下着を、しっかりと鍵つきロッカーにしまってから浴室へと入っていきました。脱衣所の前のホールはレストスペースになっていて、少し進むと足湯と共にパラソルつきのテーブルがならんでいて飲み物などを楽しめるようになっています。そばのテーブルでは、斎藤ハツネたちが、まだパンツを頭に被るのは是か非かを論じていました。
 その一番手前のテーブル席に、桜月綾乃が座りました。ここからならば、脱衣所の入り口がよく見え……ません。何やら、植木鉢に入った観葉植物がいくつもならべられて、衝立のようになっていました。
 さて、脱衣場の中では桜月舞香が餌となるパンティーをあちこちに仕掛けて、物陰に隠れてPモヒカン族たちを待ち伏せしていました。奏美凜も、同様に身を隠しています。
 そこへ、てなずけたPモヒカン族たちを連れたドクター・ハデスとハデスの発明品がやってきました。
「ふははははは、どうだ、俺の作戦は。パンツ・ルーターが空捕えのツタの絡んだ植え込みをおいたがために、脱衣所間の移動が目立たなかっただろうが」
「さすがは、P級四天王マッドパンティストですぜ」
 讃えながら、Pモヒカン族たちが女子脱衣場へとなだれ込んでいきました。
 
    ★    ★    ★
 
「さあ、すべてのパンツを我らの物に!!」
「ヒャッハー」
 ドクター・ハデスに扇動されて、Pモヒカン族とハデスの発明品が脱衣所にあるパンツを次々に奪っていきました。鍵のかかっているロッカーも、ハデスの発明品が、その奇怪な触手を鍵穴に突っ込んで、器用に鍵を開けていきます。
「そこまでよ。話はすべて聞かせてもらったわ!」
 そう叫んで、桜月舞香が姿を現しました。同時に、近くにいたPモヒカン族の被っていたパンツをサイコキネシスでズリ下ろして視界を防ぎ、強烈な一撃を見舞いました。
「何者だ!」
 ドクター・ハデスが誰何します。
「悪に語る名前などナイネ」
 脱衣籠にてんこ盛りにされたパンツの中から、奏美凜がすっくと立ちあがりました。中に入っていたサジタリウスのパンティーが宙を舞います。
「俺たちの仲間か!? よく見れば、あちらは、P級四天王本家見せパン番長ではありませんかあ」
 Pモヒカン族たちが叫びました。
 パンティーの山の中に隠れていたせいか、奏美凜の頭にはサジタリウスのパンティーが引っ掛かっていました。ちなみに、見せパン番長とは違って、多少の慎みがあるので、奏美凜はビキニの水着を着ています。
「さすがは、P級四天王本家見せパン番長の側近、P級四天王スケパン番長……うぼあっ!」
「その名で呼ぶなー!」
「勝手に、P級四天王にするなアル!」
 桜月舞香と奏美凜の攻撃が、Pモヒカン族たちに炸裂しました。
「どうしたの……。あー、もう始まってる!」
 騒ぎに気づいて戻ってきた桜月綾乃が、持ってきたパラソルでPモヒカン族たちを叩き始めました。一緒に、斎藤ハツネたちも戻ってきています。
「みんな、やめて、パンツのために争わないで!」
 伏見さくらが、間に入って戦いを止めようとしました。もちろん、頭にはパンツを被っています。
「味方だぜー!」
 勘違いしたPモヒカン族たちが歓声をあげます。
「あなたも変態アルか? もしそうなら、私の蹴りを受けるアルね!」
 思わず、奏美凜が身構えます。
「やめてください。未来では、この格好が正式な入浴作法なのです」
 キラキラした目で、天神山清明が言いました。
「そうです。これは、一つの文化なのです」
 伏見さくらがうなずきます。
「おお、新たなP級四天王様の登場だぁ。P級四天王パンツ作法番長に、P級四天王パンツ文化番長の誕生だあ。燃えるぜえい!!」
 Pモヒカン族たちが、味方をしてくれる天神山清明と伏見さくらによって活気づきました。
「ああ、やっぱりP級四天王にされて……。もう、やめて、二人共。そんな変態さんたちの肩を持つことのないの! お願いだから普通に入ろうなの! もちろん、さくらちゃんと清明は変態じゃないの!」
 必死に、斎藤ハツネが、天神山清明と伏見さくらを説得しようとします。
「まあ、風呂など、どんな格好で入ってもいいんじゃないのかのう」
 こんなことで争うこと自体無駄だという感じで天神山保名が言いました。パンツを被る以前に、風呂は全裸で入
るものです。
「ええい、話はこいつらを全滅させてから聞くわよ」
「まず、話を聞いてほしいのです!」
「ああ、P級四天王同士の対決だ!」
 だんだんと、状況がぐちゃぐちゃになってきました。
「よし、お前たち、死ぬまで戦え。パンツは死守するのだ。さあ、パンツ・ルーターよ、今のうちに浴室へ行ってみんなにパンツを被せるぞ」
「了解シマシタ」
 混乱に乗じて、ドクター・ハデスとハデスの発明品が、戦利品のパンツを持って浴室へと逃げだします。Pモヒカン族たちと桜月舞香たちが戦っている間に、しっかりとイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)や小鳥遊美羽や騎凛 セイカ(きりん・せいか)泉 美緒(いずみ・みお)パフューム・ディオニウス(ぱふゅーむ・でぃおにうす)トレーネ・ディオニウス(とれーね・でぃおにうす)シェリエ・ディオニウス(しぇりえ・でぃおにうす)らのパンツをゲットしていしたす。
「ああ、P級四天王マッドパンティスト様、待ってください!」
 おいていかれそうになったPモヒカン族たちが、あわててドクター・ハデスたちを追いかけて浴室へと駆け込みます。
「散れ!」
「へい!」
 ドクター・ハデスに言われて、戦利品のパンツを分けたもらったPモヒカン族たちは、思い思いの方向へと散らばっていきました。
「逃がさないわよ!」
「皆さん、話を聞いてください!」
 その後を追って、桜月舞香たちと天神山清明たちも浴室へと走っていきました。