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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 10

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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 10

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第9章 After story2

「……さすがにカエルの置物とか売ってないか」
「カエルは名物じゃないわ」
 真面目な顔をして探していたセレンフィリティに、セレアナは深いため息をついた。
「そんなにカエルが好きだった?むしろ、なってみたかったとか」
「セレアナが可愛がってくれるならね」
「冗談よしてよ。恋人がカエルなんていやだわ」
 可愛い恋人がグニャリとした生き物になってしまったら、どう付き合っていいのか分からない。
「クリスタル時計があるわね」
「時計はもういらないでしょ?」
「えー…。じゃあグラスほしい。ずっと前、欲しかったのに止められちゃったし」
「あ…あれは、預金がほとんどなくなっちゃうレベルだったからよ」
「ねーねー、これはいい?」
「却下っ」
 セレアナはありえない値段の値札を見逃さなかった。
「綺麗なガラスのペアグラスがいいの」
「飼ってもすぐ割っちゃうでしょ」
「大事にするから、…ねっ?おねがーいっ」
「はぁー…仕方ないわね」
 どうせ衝動買いだろうと思いつつ根負けしてしまう。
「いかにも水の町!って感じの模様、いいわよね」
 水や緑系統の色合いのグラスをじっくりと眺める。
 自宅に帰るまでに割りそうだからと言われ、セレアナに回収されてしまった。



「ぅおーい、どうしてこんな状況だ?」
「いろいろとー、間をとって考えたらこうなったの♪」
 それぞれ予定があったのだが…。
 結局、淵の恋を応援しようという流れに至った。
 カルキノスの食事…おあずけ。
 魔法学校に戻り2人の教師に、今回の戦闘などについて指南をもら…えなかった。
 静香は美羽たちが送ってくれることになったのだ。
「だぁって、エースきゅーんとクマクマに先越されっぱなしの淵が、自棄酒パーティーするのことになってもいいの?」
「腹…減ったな」
「空気があるわよ。いちご味とか、みかん味とかするかも?」
「おー、うめー…ってねぇよっ!」
「ダリルも機嫌なおして?」
「何か言ったか、ルカ」
 大人だから多少は我慢しているものの、勉学の場でなぜ恋が優先されたのか理解しがたかったのだ。
「こわーい♪ルカは淵を観察…じゃなかった、見守ろうっと」
 公園のベンチに座ったルカルカは2人の様子を見ようと、ブランコのほうへ目を向けた。
 もちろんエリドゥの時と同じく、会話を聞くために通話モードの携帯を放置している。
「オメガはこういう場所は…初めてか?」
「出かけた時に見かけましたけど、1人ではつまらないので…」
「ふむ。…今日は2人なのだ」
「楽しいですわね。淵さんといるからでしょうか」
「―……!?」
 彼女の言葉に心臓をハンマーで叩かれたような衝撃を受けた。
 携帯越しで聞いているルカルカは、“どういう意味かしら?”とニヤニヤと状況を楽しむ。
「親友になれても、ずっと遊べる時間がありませんでしたから」
「あ、ああ…。そうだったな。オメガは…恋愛というものについて考えたことはないか?」
「いいえ?どういうものかも分かりませんの」
 オメガにとって友達や親友との差がまったく判断つかないものだ。
「恋愛が分からぬというなら、知っていく過程もゆるりと楽しんでいけばよい」
「過程とは…?」
「俺と居て楽しい、もっと一緒にいたい、知りたいと思うてくれるよう、空気のように当たり前に傍におれたらと思う」
 “もっと押して!押すのよっ”とベンチ待機しているルカルカが1人で盛り上がっている。
 しかし他の2人はやや不満げだった。
「英霊の時間も永い。オメガの歩調にあわせて生きることは苦ではないぞ」
「わたくし……皆さんと仲良く慣れたと思っていましたが、本当は知らないことがたくさんありますのね」
「オメガちゃん、オイラのことならなーんでも教えてあげるにゃん。一緒にお菓子食べよー」
「ははは…すまないな。クマラが言うこときいてくれなくってさ。(あー、ルカルカがこっち睨んでいる…)」
 ルカルカはベンチから恐ろしい気をエースとクマラに放っている。
 クマラのほうはまったく気づいていない。
「エースきゅ〜ん、クマクマ〜」
「悪気はないんだって!」
「ふっふっふ。オメガちゃんを独り占めしようだなんて、オイラが許さないにゃん♪オイラもオメガちゃんと遊びたいし!」
「どうしていつも…っ」
「淵さん?ゆっくり話すことがありましたら、わたくしの家にいらしてくだされば…。お食事くらいは作れますし」
「よいのか?」
「ええ。ぜひ、ルカルカさんや歌菜さんたちもご一緒に♪」
 彼女の申し出に淵は、“よし、ルカたちは絶対に置いて行こう…”と心に決めた。
「ほうほう、三つ巴なのかのぅ?いや、四つ巴かもれん」
「歌菜ちゃん、巻き込まれそうになってるし。つーか、ジュディ。覗くのやめろ!」
「よいではないか、減るものではないぞ。むぅーどうなるのか気になるのじゃ」
「クマラさんのほうは友達としてやないんか?」
「それはそれとして、何やらおもしろそうではないか。のぅ、陣」
 ジュディはリアルドラマを見ている気分に浸る。
「飛べ、飛ぶのじゃ陣。もっと近くで見るのじゃ」
「接近しすぎたらバレるっつーの!や、やめ……っ」
「―…なぜいるのだ?」
「や、やぁー淵さん、げんきーい…?」
 不機嫌そうな顔を向けられた陣は、震え声になってしまった。
 第一声で明らかに歓迎されていないことが分かる。
「ちょ、オレら帰るつもりやったのに、なんでぇー」
「いぢるネタが増えたね、陣くん。おめでとー、アウラさんに報告しておいてあげるよ」
「オレをどの方向に行かせる気や?つーか彼女に、何されるかわかったもんじゃないんやけど!その前に、淵さんにキレられてキャァーン言わされそうなんやし」
「そういう仕様じゃ」
 同然のことと言い放ち、キランッと目を輝かせる。
 磁楠のほうはもちろん、緊急避難として歌菜たちと先に帰った。