リアクション
エピローグ
晴れ上がった空に再び雲が寄り集い、大廃都周辺に雨をもたらした。
身に染みる冷たい雨だった。ホワイトクィーンのコクピットから這い出したサタディは、微かに痛む頭を押さえながら、こう呟いた。
「私は……誰だ?」
何も分からなかった。自分が誰なのか、なぜこんなところにいるのか。なぜ……このような機械の巨人(ホワイトクィーン)に乗っていたのか。
思い出そうとしても、何一つ思い出せなかった。まるで、記憶がすっぽりと抜け落ちてしまったかのようだった。
サタディは鋼鉄の巨人から身を乗り出すと、地面に降り立った。雨水を吸った腐葉土がべちゃりと音を立て、サタディの靴を汚す。
「……寒い……」
サタディは身震いした。ここは寒い。寒すぎる。この場に留まっては、内部回路に変調をきたす怖れがある。
辺りを見渡したサタディは、街を見つけた。大きな壁に覆われていて、内側はよく見えないが、人の気配があるように感じられた。
――あの街で雨宿りをしよう。
サタディは、急ぎアルト・ロニアに歩を進めた。
●マスターコメント
初めましての方は初めまして、そうでない方はこんにちは。半間浦太です。
アルト・ロニアと大廃都を舞台としたシナリオも、残すところあと2回となりました。
記憶を失ったサタディはどうなってしまうのか? 果たしてサイクラノーシュを説得できるのか?
私自身、このシナリオ群がどんな結末を迎えるのか予想が付きません。最終的にどのような結末を辿るのか、全ては契約者の手に託されました。
次回シナリオガイドは2月〜3月頃の公開となります。
これまで参加して頂いた方、今回から参加して頂けた方。分け隔てなく、最後までお付き合い頂ければと思います。
それでは、次回のシナリオでお会いしましょう。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。