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リリー・ペラドンナの戦い

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リリー・ペラドンナの戦い

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セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は渡部優里と共に走る。
ゴワンを追跡してきた彼女たちはついにドグマ教徒の住処を突き止めた。
曇り空の下には民家や建屋が佇んでいる。どれもすっかり寂れていて人の気配はない。
「それにしても一体リリーと何があったってわけ?」
セレンは優里に訊ねる。
「喧嘩よ」
「喧嘩?」
「ええ。私が錬金術の研究にのめり込んでじゃって、パートナーのリリーはそっちのけで研究に夢中になっちゃって、まったく相手に出来なかった」
「へぇ意外と寂しがりやなのね、リリーって」
 突如、彼女たちの頭上から炎の塊が襲い掛かる。
契約者たちは素早く回避すると炎は地に弾けて激しく燃え上がった。
「リリー!」
 契約者たちが頭上を見上げると、リリー・ペラドンナがいた。
建物の屋根の上で堂々と腕を組んだ彼女は契約者たちを見下ろしていた。
「いらっしゃぁーい。契約者のみなさん。ドグマ教のアジトへようこそー」
 契約者たちに向かって投げキッスを送ると、セレアナは「ふん」と鼻で笑った。
「御免なさいリリー!ずっと寂しい想いをさせてきちゃったのは謝るわ。だから帰ってきて!」
「ふん。悪いけど私はドグマ教の一員として生きていくわん」
「リリー!さっさと投降しなさい。抵抗しなければ痛い目は見ないわよ!」
 投降を促すセレンだがリリーはアッカンベーをする。そして彼女へ手の平を向け炎の玉を放った。
迫り来る炎、しかし、セレンは余裕の表情だ。
セレアナは炎に向かって、銃弾を放つ、銃弾は炎を相殺した。
「サンキュー、セレアナ」
「例には及ばないわ」
 セレアナは【女王の加護】を発動させ自身とセレン、そして優里の防御力を高めた。
「さあ、行ってきなさい。私が援護するわ!」
「まって!セレン!」
「大丈夫、命を取るようなことはしないわ。彼女を信じて」
 セレンはスキルの【ゴッドスピード】を発動した彼女は一気にリリー目掛けて走っていく。
すると付近の建屋の上からマージペステたちが姿を表した。
マージペステたちは、近づかせまいと握った杖から炎の玉を放ってくるがセレアナの放つ弾丸にかき消される。


「たああっ!!」
 掛け声と共に一気に接近したセレンは装備していた【希望の旋律】を外し斬りかかった。
驚いたリリーは腰の剣を引き抜き、セレンの剣を至近距離で受け止める。
鍔迫り合いの体勢になった。2人は互いの出方を伺っている。
「よく受け止めたわね、なかなかやるじゃない!」
「あらあら随分甘く見られたものねぇ!これでもドグマ教のナンバー4!その程度の攻撃大したことないんだから――はっ!」
 セレンを突き飛ばし距離を作る、すかさず接近して手に持った剣を振る。
だが攻撃は当たらない。踊るように回避する。腰をしならせて、体を捻らせて敵の剣を回避する。
「くねくね、くねくねと気に入らないわぁ!そんなに動いたら私より目立つでしょー!」
「隙ありッ!」
 セレンは【洗礼の光】を放った。光が放たれる、リリーは耐え切れず腕で目を庇った。
一気に勝負をつけようと【疾風突き】を放とうとした瞬間だった。
 セレンに向かって炎の玉が飛んできた。咄嗟に後退した、目の前の足場が崩されたのだ。
「っく!ちょっとちょっと邪魔しないで頂戴!」
遠くの屋根の上でペステが魔法の杖を構えていた。