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リアクション
第 2 章
仮想世界の森を抜け、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)とセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は近くにある村で早速情報収集に動いていた。
「さっさとミッション終わらせて、さっさと帰るわよ! こういう時のお約束、片っ端から話しかけて情報持ってる人を探す!」
「セレン、大雑把にも程があるわ。さっき情報もらったけれど、王様の居場所を突き止めるそうだから偽物を暴く為にもアイテムも早めに探さないと……例えば城に出入りしている商人を探したら何か情報もらえるとか」
セレアナの呟きに丁度目に入った道具屋へ足を向けた2人は早速店の主人に城に関する情報を聞き出せないかと試みた。
「いらっしゃーい、お姉さん達戦士かい? 丁度今回復薬の割引キャンペーンもやってるけど1つどう?」
聞き出す前に商売上手な店主が2人に回復薬を売りつけてしまった。通貨も問題なく使えるとはご都合主義な仮想世界である。
「おじさん、回復薬買ったんだしちょっと訊きたい事あるんだけど答えてくれない?」
セレンフィリティが訊ねた「アイテム」の存在――真実の姿を映し出す鏡の事を聞き出し、ついでに場所も教えてもらうと早速向かうことにした。
「……ちょっと順調過ぎやしないかしら」
「セレアナ、深く考えすぎよ」
実は――セレンフィリティとセレアナの動向を追っていた和輝が技術者を装ってアイテムを作成し、そのフラグを立てて時間がかかるように仕向けていた。その間に和輝は自分達に関わる情報流出の痕跡を追う。
「……こっちのシステムはこれでいい、書き換えるデータはここからチェック……奴が仕掛けた罠が発動した影響は、ゲームに取り込まれる……本当にそれだけか?」
システムチェックという表向きの仕事をしながら膨大なデータからの隠蔽と書き換えをアニスの支援のもと続け、仮想世界にいる契約者達の動向を見張るのでした。
サブミッションの存在を確かめるため、別行動をしていたヴァイス・アイトラー(う゛ぁいす・あいとらー)は城から程近い町に入っていた。
「とにかく、ミッションというミッションを受けまくろう! その中にはきっとメインミッションに繋がるものもあるはず……!」
「はい、このゲーム……ヴァイスさんが気にしていたので100%正確ではないかもしれませんが、前情報を集めておきました」
この事態に最初は慌てたラフィエル・アストレア(らふぃえる・あすとれあ)だったが、むしろ楽しんでしまっているヴァイスと非常事態には慣れているというアルバ・ヴィクティム(あるば・う゛ぃくてぃむ)の言葉にラフィエルも前向きに仮想世界を見るよう努力をするのでした。
「前情報によると、どこかに真実の姿を映し出す鏡があるみたいです。多分、それが偽物の王様を見破るアイテムだと……それ以外で気になる情報といえば、鍵を持っているモンスターがいるのでその『鍵』を手に入れられれば……?」
ラフィエルの情報を元に、『鏡』と『鍵』をキーワードにミッションを受ける為、酒場や道具屋といった場所をハシゴしていたヴァイスとラフィエルに新たな情報を持ってきた人物がいた。
「1つ情報を持ってきましたよ、近くに宝をたんまり貯めている盗賊がいるみたいです。もしかしたらその輩が持ってるかも?」
枝々咲 色花(ししざき・しきか)の情報にヴァイスは「でかした!」とばかりにその盗賊の情報を得ようと酒場のカウンターに向かいますが、ふとアルバが色花を見て頭に疑問符を浮かべる。
「色花、そなたには同行していた者がいたのではなかったか? まだ幼い少女のようであったし、1人にしては危ないであろう」
「……え?」
後ろを付いてきてるものだと思っていた色花は血相を変えて酒場を飛び出していく。ラフィエルも付いていった方がいいのかとオロオロするが、戻ってきたヴァイスが盗賊の根城を聞き出してきたらしく早速とばかり向かっていってしまった。
一方、散歩がてら色花に付いて歩いていた高天原 天照(たかまがはら・てるよ)は見知らぬ兵士達に剣を突き付けられるという状況に陥っていた。
「これは……現実世界でも早々無い経験じゃのう、流石はゲームの世界と言うべきか。さて……どうしたものかの」
「な……っ、何故こうなるんですーーー!?」
天照は落ち着き、見つけた色花は慌てまくる。結局人質に取られてしまった天照を放っておくわけにはいかない色花は、敵――ラスボスである偽物の王の手下にならざるを得ない事に肩を落とした。
「うう……皆さんとは戦いたくないのですが、言う事を聞くしかないようですね……」
「そのようじゃな、色花頑張るのじゃぞ」
仮想世界では、早くも一波乱の兆しを見せ始めていた。
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