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戦士の休息? 目指せ一流の温泉宿

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戦士の休息? 目指せ一流の温泉宿

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終章
続・お試し宿泊

 契約者たちが掘り出した温泉は、工事のプロたちとの連携であっというまに優美な温泉へと生まれ変わった。
 室内、露天ともに男湯、女湯、そして混浴まで作られた。
 それぞれの浴場には子どもも楽しめるように滑り台も設計。ちなみに考案者は御神楽 舞花。提案したところ、業者が面白いと乗ってくれて、各所に作ってくれた次第だ。
 今、男湯で男性作業員が『あ』と『ば』の間くらいの声を上げて滑り降り、湯船に突っ込んで水しぶきを上げた。

 一仕事終わりの休暇。
 それぞれの浴場、客室、宴会場では肩の力を抜いた人々が屈託のない笑顔と心で語り合っていた。

「クリムちゃん! お疲れ様〜!」
 彼女らもまた、その一員だった。
「ああ〜そこそこ! もうちょっと強めに!」
 と、摩耶はクリームヒルトの後ろから肩を揉んでいた。
「ふふ、翔月様も大変お疲れ様でした。汗も一際かかれたことでしょう」
 すすす、と翔月にすり寄る董卓。
「私がお体を洗って差し上げますわ。それはもう、全部使って」
「穎殿? 背中に柔らかい物が……ちょ! 拙者は自分で洗え……」
「さ、あっちで全身をくまなく洗って差し上げます。遠慮なさらずに」
「ふふふ、私は摩耶を食べようかしら?」
 クリームヒルトは摩耶に向き直ると力強くホールド。
 摩耶はいやに嬉しそうな悲鳴を上げて、何一つ抵抗することなく捕まった。
 ここは混浴で周りにたくさん人がいるというのに、何一つ気にもせずに四人は四人の世界に沈んでいった。

 そんな現場から離れた位置に、ダリルとルーが並んで湯に浸かっていた。
「酔いは醒めたのか?」
「うん! ばっちり!」
 二人は部屋で豪華な懐石料理を堪能し、ルーの新婚旅行の土産話やパソコン内の写真フォルダを回しながら、さながら家族のように話しこんでいた。
 ちなみに同じ部屋に二人で宿泊するので、スタッフからは恋人同士のように扱われていたが、
「兄弟みたいなもんなの! 恋人じゃないの!」
と一蹴し続けている。 
「パラミタ全土を踏破しちゃったし……次は何をしようかな」
「すぐに決める必要はないさ。こんなふうにまったりしながら考えればいい。まだ見たことない物もあるだろうしな。温泉が吹き上がる所とか」
 確かに、とルーはけらけら笑った。
 傍らでいちゃつく四人組を尻目に、二人もまたまったりと独自の空間を形成していた。

「唯斗、採掘作業、ご苦労だったな」
「おう。エクスこそ料理指導お疲れ。問題児ばっかりだったって聞いてるぞ」
「片っ端からびしばししごいてやったぞ。そっちこそ、岩盤破壊はかなり手間取ったと聞いた」
「意外と硬かったなあ。ま、大した道具までは必要なかったけどな」
 唯斗は、岩盤を叩き割りまくったのに無傷の拳を湯から出して、小さく笑った。
「確かに料理も美味かったな。といっても、俺は前の状態を知らねえんだけど」
「あれを客に出そうとしていたのは許せない事実だったな」
 うんうんとエクスは頷く。
「日々の鍛練を怠らなければ、料理はおのずと美味になる。もしもまた不味いなどという評判が流れようものならば……」
「ま、まあ……ほどほどにな」
 唯斗は苦笑い。
 二人もほっこりとした空間で温泉を満喫していた。

 一方、女湯では。
「ハードワークの後に入る温泉って、最高よね!」
 セレンフィリティとセレアナが肩を寄せ合って湯にたっぷりと浸かっていた。
 隣にいるのが大切な恋人なのでもう、身も心も緩み切っていた。
「同感ね。なんだか疲れも全部とろけそう」
 セレアナもかなり緩んできてる模様。
 ちなみに浴場のあちこちに石のオブジェが置かれている。これはセレンフィリティたちが砕けた岩盤を拾って加工したもの。
「ねえセレアナ〜」
「何? いきなり甘えた声出して」
「へへ」
「わ! 抱きついてきてどうし……」
「逃がさん」
「ちょ! 待っ……」
「観念しなさい」
「せめて部屋で……もう!」
 そしてそのまま二人は湯気の向こうへと消えて行った。

「さ! 月見酒なのだ! 遠慮しないで飲むのだ!」
「あの、私未成年なんですけど……」
 露天風呂の別の場所では、黎明華が舞花にぐいぐい酒を進めていた。
「では、ノンアルコールで」
「それならいただきます」
 黎明華も舞花も今回、パートナーは来ていないが、それでも色々な人と仲良くなれた。
 黎明華はあちこち回ってお酌をしまくっており、舞花のところにやってきた。ちなみに未成年にはきちんとノンアルコールを振る舞っている。
「お風呂場であまり酔っ払うと貧血で倒れますよ。ほどほどになさってくださいね」
「分かっているのだ!」
 二人は互いの現場で起こった事件を面白おかしく語り明かしていた。
 そして夜も更けると、舞花は黎明華と別れて客室に戻り、布団に入った。
 ふかふかで温かく、みるみる安眠へと誘われ、何一つためらうことなく舞花は意識を手放した。

 隣の客室でもヴァイスたちが、その隣の客室でも芦原 郁乃たちがとろけたような寝顔でこんこんと眠っていた。

 まだ新しく生まれる前の温泉旅館は、契約者たちと作業員たちのその疲れを一日で完全に消し飛ばした。

 その後オープンした葦原島の新温泉旅館は、地元でも大評判となり、特に連休になると予約が殺到することになる。


担当マスターより

▼担当マスター

佐久間豊

▼マスターコメント

 こういう話を作ると温泉に入りたくなりますね。影響を受けやすい佐久間豊です。皆様いかがお過ごしでしょうか。ダブルアクション可ということで皆様からはたくさんのアクションをいただき、とても楽しくリアクションを書くことができました。今回参加してくださった方々に大変感謝致しております。
 まだまだ精進が必要ではありますが、またシナリオに参加していただけると嬉しいです。ええ、とっても。ぜひまたよろしくお願いいたします。

▼マスター個別コメント