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訪れた特殊な平行世界

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訪れた特殊な平行世界

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■脅威はどこかへ……


 広がり続ける恐ろしき闇はこの世界を無差別に貪り続け、名も無き旅団と別れを交わした知的生命体から分裂した赤き閃光は空を駆る色彩豊かな記憶を喰らい数を増やし訪問者である特殊な平行世界に手を出す者達から守っていた。
 しかし、この世界に生き、これからも生き続ける事を望む者達が精一杯の力で解決のための手段を講じ、特殊な平行世界に届ける記憶を喰らうものは全て消滅させ、多くの記憶が無事に目的地である特殊な平行世界に渡せられた。あまりにも多過ぎる記憶に飲み込んだ世界の一部を吐き出し、特殊な平行世界は満足でもしたかのようにこの世界を離れ、再び放浪の旅に出た。

 再び戻った太陽輝く青い空。

「ほわぁ、終わったさ〜」
 ユリスは元の姿に戻った世界を隈無く見終わるなり驚きを上げていた。

 彼の隣にいる元名も無き旅団の面々はというと
「これで名も無き旅団としての旅は本当に終わりましたね」
「終わったか。案外、感慨深いものだな」
「……命尽きる前にこの日が来て良かった」
 リリアンヌ、ムヒカ、ガスタフはこれまでの旅が走馬燈のように脳裏に駆け巡り、しみじみと胸を熱くしていた。
「当分はたっぷりとゆっくりしなきゃ」
「新しい旅が出来るよ」
 ジナとラールはこの先に広がる人生に期待。

 双子と共に記憶食い駆除に勤しんでいたロズは
「……退ける事が出来たのか」
 信じられない様子で自分の世界を奪った脅威が去った青空を見上げていた。

 脅威が去った外を窓から眺める舞花は
「……上手くいきましたね」
 空の青さを確かめた後、御神楽夫妻に顛末報告メールを送信した。
 すぐにその返事は返って来て
『舞花、お疲れさまです。ツァンダでも平行世界の侵食が目撃できていました。この危機を回避してくれた舞花や他の皆さんの尽力に対して、本当に感謝の念に堪えません』
 という労いの文面であった。

 肝心の元名も無き旅団達の出発は翌朝となった。