百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

リアクション公開中!

【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

リアクション

 
 同時刻 ツァンダ市街
 
 陸から襲撃を懸けた金色の“シュベールト”。
 その眼前には銀色をした機体の残骸が幾つも転がっていた。
 襲撃からほどなくして、それだけのことをやってのけたのはたった二機のイコン。
 即ち、断竜と漆黒の“シュベールト”である。
 
『賢志郎、ちょっと付き合ってくれ。最近のガキンチョに教育しに行くぜ』
『ええ。僕も丁度そうしようと思っていたところです』
 
 あえて全域通信で言葉を交わす紫月 唯斗(しづき・ゆいと)と賢志郎。
 それを聞き付け、ツヴァイが憤慨する。
 
『何を言っているんだい? ボクを教育できる存在なんてマイスター・スミス以外は存在しないというのに』
 
 それに対して苦笑しつつ、唯斗は傍らに立つ機体へと通信を送る。
『口の減らない生意気な奴だ。仕方ねぇ、賢志郎、ちょっと「合わせられる」な?』
『問題ありませんよ。頃合は貴方に合わせましょう。唯斗』
 
 その会話の直後。
 金色の機体は交差する太刀傷を刻まれて断裁された。
 
 まるでひとりでに断ち斬られたように見えた金色の機体。
 それもそのはず。
 
 たった今、唯斗と賢志郎が繰り出したのは『「」(うつほ)』と『最終奥儀・一文字斬り』の重ね技。
 重ねた超神速の一閃。
 たとえゴルトタイプとそのパイロットといえど、到底捉えられるものではない。
 
『ま、便宜上「逸閃」とでも呼ぶか?』
『いいでしょう。良い名前です』
 
 刹那の瞬間に勝負は決していたのだった。