リアクション
「ん……はっ、セレアナ……」
「あぁ……セレン、セレン……っ」
世界最後の日の、士官用官舎。
明るい太陽が照りつける午後。
その光が微塵も届かない遮光カーテンに遮られた部屋の中で、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)とセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)はいつ終わるともしれぬ二人だけの快楽に耽溺していた。
それは何日前のことだったのか、あるいはつい昨日のことだったのか。
それすら二人にはもう分からない。
世界が終わる。
その知らせを聞いた時、セレンの心に絶望が宿った。
その絶望が心を食い破り、心身を侵食し、彼女の全身に巣食った時、セレンは完全に壊れてしまった。
壊れた心でセレンは考える。
この絶望を、恐怖を紛らわせるもの。
考える暇もない程没頭できる何か。
ソレハ――
そしてセレンはセレアナを求めた。
セレアナもまた、現実逃避の快楽を求め、セレンに、快楽にのめり込む。
時間の感覚すら忘れ、食事も睡眠も、その他の生存のための本能を忘れただ一つの本能に忠実に溺れていく。
「あぁ、あ――」
「駄目……」
セレアナが快楽の果ての眠りに沈もうとすると、セレンは手で舌で、彼女を引き戻し再び行為を始める。
その逆もまた同様で。
寝ても覚めても、2人は互いを求めあう。
「……セレン……最後は私が……抱きしめてあげる……だから……」
「……死ぬときは……一緒よ……」
「……ん」
目が覚めた。
それは快楽の延長線上のものではなく、はっきりした覚醒。
場所も違う。
官舎ではなく、自室。
ただ、隣で眠っている恋人だけが、夢と同じだった。
互いに裸同士なことも。
「……なんか、現実でもHして、夢の中でもHしまくってたような……」
どこか釈然としないまま、体を起こす。
そしてそのまま……夢と同様、恋人の体を求め始める。