校長室
【2021修学旅行】ギリシャの英雄!?
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イタリアを訪れていた他の修学旅行生達の大半と同様に、「皆で楽しくお買い物〜♪」とウキウキした気分で街を歩いているのは師王 アスカ(しおう・あすか)である。 いつものスケッチブックを抱えながら歩くアスカがウーンとノビをする。 「いい天気ねぇ……何より……久々にホープの魔鎧姿から解放されたぁ! あ〜私服久々ぁ……」 アスカの声に、その後ろを歩くホープ・アトマイス(ほーぷ・あとまいす)も、「久々に人型になったなあ」とローマの青空の下、久々の開放感を味わっていた。 「でも、兄さんが今日はいないから人型に戻っただけだから。帰ったらまた着て貰うんでよろしくな」 ホープの声をアスカは聞こえないフリでかわし、 「ま、ローマは昔少し在住したことがあるから任せてよ〜。いいブランド店知ってるからさぁ」 と、後方を振り向く。 「……今、無視しただろう?」 「ホープ? 私達は今修学旅行中なのよぉ? 魔鎧のあんたを着て問題起こしたくないわけ。よく言うでしょう? 家に帰るまでが修学旅行だって」 「お前の事情なんか知るもんか、ちみっ子アスカ」 前を行くアスカとホープのやり合いを見ながら蒼灯 鴉(そうひ・からす)がオルベール・ルシフェリア(おるべーる・るしふぇりあ)に声をかける。 「ブランドなぁ……アスカがこういうのに詳しいのは意外だな」 「ベルは知ってたわよ、バカラス?」 「……本当か?」 「だってアスカの姉なんだもの。それに、ベルの今回の目的はずばりお買い物よ!」 「スケスケな服でも買うつもりか?」 「……コホンッ、バカラス? 偉大なベル様が今ひとつオツムの弱い貴方に向けて言ってあげるわ」 「……」 フフンと笑うオルベールの首根っこを『ちょいと、うっかり、強烈な力と角度で』掴もうとした鴉だが、ギリギリの理性で出しかけた手を止める。 「ベルは、ノーンちゃんから貰った『スタッカート』の為の首輪が買いたいのよ! ね〜? スタッカート♪」 「クゥゥーーン」 オルベールの傍を歩く白銀の毛並みを持つ犬……より強そうな四足歩行のスタッカートが尻尾を振る。 「この子、のんびりしてるから野良と間違われても困るしね」 「……ペット用品くらいパラミタでも売っているんじゃないのか?」 「あのね、アスカがイタリアでオススメがあるって折角連れて行ってくれるのよ? そこで買わなきゃ勿体無いじゃない! そんな事もわかんないの?」 「……(隣のコイツを全力で蹴る事できねぇかな?)」 鴉がふと街中に貼られてあるサッカー選手のポスターを見やる。 いつもみたいに、何となく険悪な空気を感じたアスカが振り向く。 「ベルも鴉も喧嘩しないのー! ほら、ついたよー!」 アスカが見上げる店には、『いつも貴方のお側に。ポンド・ゴーの店』とイタリア語で書かれた看板が出た商店がある。