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リアクション
●●● アキレウスと黒き英雄
さて次の試合。
会場に自動車が入ってきた。英霊なのに自動車である。
中から出てきたのは高級スーツ姿の男。
織田 信長(おだ・のぶなが)だ。
信長じゃあしょうがないな。
さて対するはアキレウス・プティーア(あきれうす・ぷてぃーあ)である。
高円寺 海(こうえんじ・かい)のパートナーということを除いて、ほとんど未知の英霊である。
ちなみにパートナーの海は女の子とワゴンにのってヴァイシャリー行きである。
「ほう、アキレウスか。おぬしの名前は知っておるぞ。
『アキレス腱』という言葉でな」
あっさり弱点がバレるアキレウス。
「ついでいうと亀よりも足が遅いそうではないか」
『アキレスと亀』を引き合いに、さらに挑発を重ねる信長。
「なんとでも言え、織田のうつけが。
自分の名がそれだけ知られているということだ。
世界一の英雄として、その程度のハンデは受け入れてやるぜ」
「チッチッチ、違うな、おぬし天下では二番目だ」
少なくとも日本では、信長はアキレウス以上の知名度だろう。
そしてむやみにエピソードが多い。
「わざわざおぬしの足など狙わんさ!
零黒夢、おぬしに決めた!」
信長、ポケットからぽいぽいカプセルを取り出して投げつける。
中からは姿を現したのは、巨大な黒いドラゴンだ。
信長が黒いドラゴンを使ったエピソードなんてあったっけ……と会場がざわつくものの、なにぶん後付エピソードがむやみに多い英霊なのでないとは誰も言い切れない。
「ならば自分も遠慮はしねえぜ。
みろ、これが俺の『アキレウスの楯』だ!」
アキレウスは円形の楯を高々と掲げてみせた!
「なに、あれが噂に聞く『アキレウスの楯』か!
鍛冶の神ヘパイトスが鍛えた神の楯で、ギリシャ神話ではアイギスに次ぐ至宝という話だが、ところであの茶色の材質は何だ……?
木か? 青銅か??」
観客席で見ていた柳玄 氷藍(りゅうげん・ひょうらん)が首をかしげた。
意外ッ! それは『丈夫な段ボール』ッ!
『丈夫な段ボール』 種別:グッズ
【解説】
丈夫な段ボール。平時から非常時まで。包装、輸送、トイレに風よけ、建築資材に。売却用アイテム。
物理と氷結に耐性が得られるアイテムである。
「この丈夫な段ボールの存在により神話的防具にも革命が生じていたのだ!
『アキレウスの楯』は物理と氷結属性の攻撃をほとんどすべて吸収してしまう!
くらえ、必殺『ライトニングランス!』」
(ライトニングランスはパラディンの攻撃用スキルです)
「バカめ、わしの零黒夢は雷電属性に対し25%の耐性、そして攻撃は雷電属性だ」
バリバリバリ!
こうして、今大会もっとも危険な戦いは信長が制したのであった。
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