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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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ヴァイシャリー湖豪華クルージング・7

「本日はお付き合い頂きありがとうございます、アーデルハイト様」

風森 望(かぜもり・のぞみ)は、
アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)に、
日頃のねぎらいの気持ちを込めて、豪華クルージングに参加していた。
望は瀟洒なメイド服を着て、側近として付き添うつもりである。

主催のラズィーヤにもきちんと挨拶をと、
アーデルハイトとともに会いに行く。
「お招きありがとうございます、ラズィーヤ様。
本日は素敵な船旅をご用意との事。
我が主、アーデルハイト・ワルプルギスと共に楽しませて頂きます」
「あら、ご丁寧に。
せっかくの文化祭ですから、ぜひ楽しんでいってくださいませね☆」
「うむ。秋のヴァイシャリー湖を満喫させてもらうぞ」

こうして、パーティーを案内する望だが、
メインイベントとして、ダンスパーティーの演出を考えていた。
「アーデルハイト様、こちらのお召し物を」
「ん? このドレスは……」
「『桜井静香のドレス』? それは、アーデルハイト様用です」
望は、メイド服から高級スーツに着替え、髪を一つにまとめて男装していた。
お姫様のような気分を、アーデルハイトに味わってもらいたい。
そう考えての演出であった。
「ピンクのドレスか。こんな格好をするのもひさしぶりじゃな」
「とてもよくお似合いですよ、アーデルハイト様」

男装の望は、ひざまずいてアーデルハイトに問うた。
「アーデルハイト様、私と踊って頂けますか?」
「ああ、かまわないとも」
アーデルハイトは、鷹揚にうなずいてみせた。

ダンスを踊りながら、望はアーデルハイトの瞳を覗き込む。
「楽しい時間は過ぎるのも早いと申しますが――」
(不老不死の魔女にとっては、人の生も瞬きの様なものでしょうが)
「――花火の様に、心に残る素敵な思い出となりましたら、お誘いした私としては幸いです」

不死の魔女であるアーデルハイトと、地球人の自分。
寿命の差を考えて、自分が生きている間にできることを、
アーデルハイトに可能な限りしたい。
そう、望は考え始めたのだ。

アーデルハイトは、微苦笑を浮かべた。
「やけにしんみりしとるのう。
じゃが、私のことを考えてくれてうれしいぞ」
「アーデルハイト様……」

ああ、そうか。
望は、アーデルハイトには、自分の気持ちがお見通しだったことに気づいて、
ふっと笑みをこぼした。

きっと、アーデルハイトは、同じような経験を、幾度もしているに違いない。
幾百、幾千の、出会いと別れ。
それはパラミタの不老不死の種族と、定命(じょうみょう)の種族との間に課された、
覆すことのできぬ運命なのだろう。

「踊り疲れませんか、アーデルハイト様?」
「うむ、シャンバラ山羊のアイスが食べたいのう」
「では、飲み物はアルコールとノンアルコール、どちらが宜しいですか?」
「ふふ、お前、日本の法律では未成年じゃろう?
ノンアルコールのカクテルがあったはずじゃ。つきあおう」
「恐れ入ります、アーデルハイト様」

楽しい時間はあっという間に過ぎて、ヴァイシャリー湖に夕日が沈む。
「楽しんで頂けましたか、アーデルハイト様?」
「ああ、もちろんじゃ。望、お前はどうじゃ?」
「ええ、来年もまた……こうして楽しめる時間を得る為に、明日からまた頑張りましょう」