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デスティニーパレードinニルヴァーナ!

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デスティニーパレードinニルヴァーナ!
デスティニーパレードinニルヴァーナ! デスティニーパレードinニルヴァーナ!

リアクション

「やっぱり……」
 憂慮すべき事態に陥ったパレード。
 頓挫したこの状況をどう打開するのか、デスティニーは頭を悩ませる。
「デスティニー殿、ここでしたか」
「今度は何だ……?」
 待機室に入ってきたのはアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)だった。
「俺もパレードを盛り上げるために協力しようと思ってね」
 しかし、先程のこともあって二つ返事で了承するわけにはいかない。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「もちろん。あれを見てください」
 示されたのはジャイアントピヨ
「これを使います」
「確かに、子供達に人気が出そうだな」
 デスティニーも好感触を掴む。
「その代わりと言ってはなんですが、成功した暁には報酬としてVIP待遇か永久優待券を所望します」
「……すまんが財政が厳しい状況だ。内容に関してはこちらに任せてもらえないだろうか?」
「わかりました、それで構いませんよ」
「すまんな」
 頭を下げるデスティニーに、アキラは告げる。
「それでは、大船に乗ったつもりで見ていてください」

 ジャック・オー・ランタンに扮したアキラが先ず行ったのは、場の雰囲気の改善だった。
【五人囃子】に音楽を奏でさせ、曲に合わせてジャイアントピヨが歌い踊る。
【光精の指輪】で呼び出した精霊と【機晶妖精】には空を飛んで光の花びらを撒かせる。それらを魔女っ子姿のセレスティア・レイン(せれすてぃあ・れいん)が【ウィンドタクト】で地面に落ちぬよう演出。更に【虹を架ける箒】で引いた虹の光で煌びやかに。
 次第に観客も、ハロウィン色へ。
「よし、こんなもんか」
「それじゃ私はヨンさんと行ってきますね」
「手作りお菓子を配りますよ!」
 黒猫のヨン・ナイフィード(よん・ないふぃーど)は籠を手に、セレスティアと辺りを駆け回る。
「ハロウィンのお菓子ですよー」
「お菓子をあげるから、悪戯しないでね!」
 子供大人構わず、じゃんじゃん配る二人。
「はい、大事にしてね」
「おねえちゃん、ありがとー!」
 セレスティアに至っては、子供に風船も手渡している。
「俺たちも手伝うか」
「わかりました」
 その巨体に魔女帽子とマントを付けたぬりかべ お父さん(ぬりかべ・おとうさん)。その後ろにはペット状態のアヴァターラ。
 ジャイアントピヨを先頭にした集団。
 彼らだけで一つのパレードを形成していた。
「わあ、おっきいヒヨコさん!」
「こっちはおっきい壁だぁ!」
「こらこら君たち、危ないから悪戯は駄目ですよ? ほら、お菓子をあげますから」
「ありがとー!」
「黒猫さん、もっとお菓子、お菓子!」
「はいはーい、いっぱいあるから慌てないでねー」
「大きいヒヨコさんに乗ってもいい?」
「それはちょっと危ないから、ちっちゃいピヨちゃんと遊んでね?」
「かわいいー!」
【麗茶牧場のピヨ】に癒される子供たち。
「お姉ちゃん、風船っ!」
「はーい、あら……ぼく、ちょっと待ってね?」
 後方を走る【箱庭馬車】から予備の風船を持ち出す。
「ごめんね、お待たせ」
「ありがとう、おねえちゃん!」
「ほら、アキラさんも配りましょう」
 セレスティアに促されるも、前回の失態が頭を過ぎるアキラ。だが、
「かぼちゃのお兄ちゃん、お菓子、ちょうだい」
「……はい、どうぞ」
「ありがとう!」
 嬉しそうに笑う子供に胸を打たれた。
「俺もお菓子、配るぞ!」
「その意気です」
「まだまだお菓子はいっぱいありますよー」
 アキラは拳を握って誓う。
「これで汚名返上だ!」