百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

秋のシャンバラ文化祭

リアクション公開中!

秋のシャンバラ文化祭

リアクション

 

第1ターン

 
 
『さあ、時間となりました。第3回ペットレース、いよいよスタートです!』
 ファンファーレが鳴り、スタートの合図の銃声が鳴り響きました。
『各ペット一斉にスタート。
 これは凄い、ローゼンクライネ、全速力で飛び出しました。華麗な美しい走りです。黒いスカートを靡かせて、トップを独走していきます』
「いいぞ、ローゼンクライネ!」
 今回はいけると、コハク・ソーロッドも力が入ります。
『わずかに遅れて、フォルテシモとミニキメラがその後を追います。こちらも速い。トップグループは、実に順調な滑り出しです』
「さすがに、優勝したことがあるだけはあるな」
 フォルテシモの走りを見て、御神楽陽太が感心しました。
わーい、すごーい、すごーい
「なあに、勝負はこれからですわ
 喜ぶノーン・クリスタリアに、エリシア・ボックが、すぐにトップを奪うと自信満々で言います。
「まだだ、お前の力は、まだそんなものじゃないだろう」
 ここからのミニキメラのさらなる走りに期待して、ローグ・キャストがつぶやきました。
『小ババ様、堅実に走ります。このままのペースが維持できれば好成績か? 最後尾グループははんぺんととクトゥグァ・イタクァだ。やや、はんぺんが速いか?』
「はんぺんは、マイペースだねえ」
 らしいやと、南天葛がほのぼのします。
「何をやっておる!」
「あはは、クトゥグァ、イタクァ、頑張れー」
 激怒するフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』にちょっと引きつりながら、秋月葵が二匹を応援しました。
 
 
第2ターン

 
 
『さあ、第一コーナーを曲がって、ローゼンクライネ、スピードが落ちません。ぶっちぎりでトップを突っ走っていきます』
「そこのお嬢さん、美味しいパンプキンパイを……無視されてしまいましたわ!」
 ローゼンクライネに無視されて、イコナ・ユア・クックブックが憮然としました。背後に、たくさんのパンプキンパイを山積みにして、自分も両手にパイを持ってペットたちを足止めしようとしています。ペットたちがここで止まってくれれば、イコナ・ユア・クックブック製のパンプキンパイは、美味しくってペットに大人気と言うことになるわけです。なるわけなんですが……、食べに来てくれません。残念。
「ゴーレムだから、パンプキンパイを食べるとは思えないが……」
 思わず、源鉄心がツッコミます。
「よ、寄るな。オレは何も持っていない……」
 ダイア・セレスタイトに転がされたヴァルベリト・オブシディアンが、迫ってくるローゼンクライネを見て悲鳴をあげました。
「オレを食ってもうまくはない……はあっ!?」
『おおっと、ローゼンクライネ、スカートの中にごそごそと手を突っ込んだ。そして、スカートをまくり上げる。こ、これは……。なんと、スカートの中から、ロケットランチャーを取り出したあ。そのまま無表情で、ロケットランチャーを構えます』
「ちょっとやめー!」
 ちゅどーん!
『ヴァルベリト・オブシディアンさん、ロケット弾の直撃を受けて吹っ飛んでいきました。あちらは、ふれあい広場の方ですが、大丈夫でしょうか。
 障害を排除したローゼンクライネ、何ごともなかったかのようにロケットランチャーをまたスカートの中にしまいました。
 いったい、中はどうなっているのでしょうか。コハク・ソーロッドさんに聞いて……。
 おおっと、インタビューしようとしたコハク・ソーロッドさんが倒れている。あたりは一面血の海だ。いったい、何が起きたのでしょうか。
 観客席の異変とは関係なく、レースは続行されていきます』
「む、あっけなく吹っ飛ばされるとは、ベリーめ、役立たずね」
 ダイア・セレスタイトが、期待外れだとばかりにつぶやきました。急いで拾いに行くのも大変です。
『さあ、二番手はミニキメラです。けれども、トップには大きく離されてしまいました。
 続く三番手は、フォルテシモです。すばらしい走りを見せたと思ったのも束の間、いきなりのペースダウンです』
「ああ、フォルテシモが……」
「ど、どうしました!? 何があったんですの」
 唖然とするノーン・クリスタリアよりも、エリシア・ボックの方が状況が信じられないという状態でした。
「まあ、こういうことがあるから、レースは気が抜けないなあ」
 不測の事態はこういった物にはつきものだと、御神楽陽太だけが動じません。
「フォルテシモ、頑張れー」
 仁科姫月も、フォルテシモを応援しています。
「でも、ダメじゃないか」
「そこがいいのよ」
 やはり、基準が分からない成田樹彦でした。
『4位は小ババ様。実にマイペースです。5位はんぺん、6位クトゥグァ・イタクァと後半メンバーの順位は変わりがありません』
「おのれ、二匹とも何をやっておるのじゃ。頑張らぬと、三味線にしてしまうぞ!」
「黒子ちゃんったら、そういうことは言わないの」
 ふがいないクトゥグァ・イタクァに憤慨するフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』に、秋月葵がちょっと注意しました。