リアクション
33)
空京の公園にて。
「いんぐりっとちゃん、こっちこっち!」
天苗 結奈(あまなえ・ゆいな)は、
イングリット・ネルソン(いんぐりっと・ねるそん)に手を振って呼びかけた。
「今、参りますわ!」
イングリットが手を振りかえしてかけていく。
「いくよー!」
結奈が、芝生の上で、おもいきりフリスビーを放り投げる。
「えいっ!」
そのフリスビーを、イングリットがジャンプして、空中で受け止める。
「わー、すごーい!」
結奈が拍手する。
「では、行きますわよ」
「はーい!」
イングリットの投げ返したフリスビーを、結奈が受け止める。
「楽しかったね、いんぐりっとちゃん!」
「ええ、広い場所で身体を思い切り動かして、気持ちよかったですわ」
「ねえ、私お弁当作ってきたんだ。一緒に食べよう」
「まあ、素適ですわ。ありがとうございます」
結奈とイングリットは、ベンチに腰掛け、ランチボックスを開ける。
「まあ、きれいなサンドイッチ」
「えへへ。朝、早起きして作ったんだよー」
「ありがとうございます。さっそくいただきますわ」
「いただきまーす」
2人は、仲良くサンドイッチを頬張った。
「美味しいですわ、結奈さん」
「よかった、喜んでもらえて」
イングリットの笑顔に、結奈も笑顔を返す。
こうして、のんびりとお昼を食べて。
やがて、結奈はうつらうつらとしはじめた。
(早起きなさったとおっしゃっていましたものね)
イングリットは、優しく、結奈を膝枕する。
「うーん」
結奈は幸せそうな笑みを浮かべ、眠りについた。
「いんぐりっとちゃん、だいすき……」
結奈の寝言に、イングリットも優しく微笑する。
「ええ、わたくしもですわ。結奈さん」
穏やかな日差しの中、
ゆったりとした時間が過ぎていったのだった。