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最強要塞決定戦!

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最強要塞決定戦!

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「自分は、全艦攻撃と言ったのであります。我が艦隊に、遊んでいる兵は不要であります!」
 伊勢以外の艦載機が攻撃していないことに気づいて、葛城吹雪がちょっと怖い顔をして見せた。
「ええっと、そういうことだそうよ」
 あわてて、コルセア・レキシントンが僚艦や艦載機に伝達する。
「了解したのだよ。S−01、発進する!」
 甲板要員がならんで帽子を振る中、カタパルトから鋼鉄 二十二号(くろがね・にじゅうにごう)の乗ったS−01が発進していった。緑色に塗装した零戦仕様である。ほぼコックピット一杯に収容されている鋼鉄二十二号は、お守りやら千人針やら鉢巻きやらをオプションとしてつけられている。
「朝霧、前進するのだよ」
 ちょっとしかたなさそうに、イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)が朝霧を前進させた。どちらかというと、伊勢の後ろでのほほんとしていたかったのだが、司令官からの命令では致し方ない。嫌な予感はするが、拒否権はなかった。
 
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「敵艦載機、ドッキングルートに割り込んできます。注意してください」
 オリュンポス・パレスから離れて神剣エクス・カリバーンとドッキングしようとするギガース・オリュンポスのランデブー軌道上に敵影の進入を確認して、天樹十六凪が注意をうながした。
「くっ、合体シーンを黙って見ておらぬとは、なんと無粋な敵め!」
 突っ込んでくる鋼鉄二十二号のS−01に、しかたなく聖剣勇者カリバーンが神剣エクス・カリバーンの軌道を変える。
「なぜ逃げる。そのまま、敵イコンを貫けばよかったじゃないか」
 スカって神剣エクス・カリバーンをつかみそこねたドクター・ハデスが叫んだ。
 そこへ、イングラハム・カニンガムの朝霧が砲撃しながら接近してくる。
「ええい、こうなったら、この拳で戦うまでだ!」
 ドクター・ハデスが、ギガース・オリュンポスのパンチを構えたときであった、伊勢の方向で何かが光った。
 
    ★    ★    ★
 
「んっ、なんであるか。発光信号!? 『ユルセ・ユルセ・ユルセ』?」
 その奇妙な内容の発光信号にイングラハム・カニンガムが首をかしげたとき、伊勢の左右カタパルトからブーストスラスターユニットが発射された。狙い違わず、朝霧の艦尾にガッチリと固定用クローアームで食い込むなり、いきなりスラスターが全開で噴射した。
「そうきたかあ!!」
 イングラハム・カニンガムが叫んだときにはすでに遅く、ミサイルと化した朝霧がギガース・オリュンポスに激突した。搭載していた弾薬が誘爆し、朝霧がギガース・オリュンポスともども木っ端微塵に吹き飛ぶ。
「朝霧、爆沈! 敵巨大イコンと一緒です」
「よっしゃあ、そのまま攻撃の手を緩めるな!」
 イングラハム・カニンガムのことなど一顧だにせず、葛城吹雪が攻撃続行を命じた。
 
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「ああ、ハデス君!」
 一方のオリュンポス・パレスでは、秘密兵器であったはずのギガース・オリュンポスがあっけなく吹き飛んで、天樹十六凪が少し動揺していた。
「心配するな。俺はあれには乗っていない。それよりも、カリバーンの方はどうだ?」
 第三艦橋から、ドクター・ハデスが第二艦橋にいる天樹十六凪に訊ねた。
「健在ですが、ギガース・オリュンポスの爆発の余波を受けて戦闘不能です。現在、帰投ルートにあります」
 S−01が突き刺さってしまい、人型の神剣勇者エクス・カリバーンに戻った聖剣勇者カリバーンをモニタで確認しながら天樹十六凪が答えた。
「情けない。こうなったら、虎の子のビッグバンブラストを発射するぞ。コントロールはこちらに任せろ」
「はっ」
 天樹十六凪にオリュンポス・パレスの制御を任せると、ドクター・ハデスがビッグバンブラストの照準を、接近してくる伊勢に合わせた。
 
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「近接戦闘用意。艦首、荷電粒子砲にエネルギーチャージ。出力120%で発射せよ!」
「ちょっと、あまり近くでそんな物撃つのは危険じゃ……」
 もはやのりのりの葛城吹雪の命令に、コルセア・レキシントンが異を唱えた。敵を倒しても、爆発に巻き込まれて共倒れでもしたら洒落にならない。
「あの朝霧の勇姿を忘れたか。我々は、朝霧の犠牲に答えなくてはならないのだ」
 いや、犠牲にしたのは、葛城吹雪自身である。
「エネルギー充填、90%……100%……110%……120%!! 撃てっ!!」
 満を持して、葛城吹雪が艦首荷電粒子砲のトリガーを引いた。
 
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「これで終わりだ。ビッグバンブラスト、発射……。なんだ、あの光は……!?」
 ビッグバンブラストを発射した直後、ドクター・ハデスが、伊勢艦首砲口に発生した耐電プラズマ光を見て叫んだ。次の瞬間、ビッグバンブラストと第三艦橋が閃光に飲まれて消滅する。
 だが、命中と同時に爆発したビッグバンブラストは、オリュンポス・パレスを巻き込みつつも、その爆風で伊勢の船体を激しく叩いた。収納していなかった砲塔が吹き飛び、左舷のカタパルトがあっけなくもぎ取られていく。
「いたたたた……。だから言ったんです。危なく巻き込まれるところだったじゃないですか」
 投げ出された床からなんとか立ちあがって、コルセア・レキシントンが葛城吹雪に文句を言った。かろうじて、伊勢は誘爆をまぬがれたようだ。
 
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「くっ、バカな! あんな戦艦型の要塞に負けるなど、ありえぬっ! 実戦では、こうはいかんからなっ!」
 試合終了と共にコックピットから飛び出してきたドクター・ハデスが叫んだ。そのまま、白衣を翻して、あわてて姿を消す。悪の幹部を自称する以上、負けたときの素早い撤退はお約束であった。
 
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「試合終了。勝者は、葛城吹雪さんです」