リアクション
「ふふふふふ……」 ○ ○ ○ 休憩所周辺に、意思能力のない光条兵器使いが沢山集まっていた。 外の気温が安定していることもあり、休憩所の中で休んでいる者はあまりいなかった。 「生身の方より、機晶ロボットからの方がデータ採取できそうだよね」 襲ってこない者を壊そうとまでは思えなかったので、レキは壊れている人造兵器、主にロボット型の方を回収しては、記憶装置と思われるものを確保したり、サイコメトリで作った者、起動中に受けた事柄を探っていった。 「うーん、あー、やっぱり壊れた時のイメージが強く残ってるね」 そのロボットは百合園生に倒されたロボットだった。 「あ、その前にも人に遭遇してる?」 別の部品にサイコメトリしてみたところ、そのロボットに抗いながら捕獲された人の姿が浮かんだ。 「それで、門のあるところに行きって……その先に、メンテナンス室がある、と」 ロボットたち、光条兵器使いが残したものを調べているうちに、人型兵器の動きが見えてきた。 レキはパートナー経由で優子に連絡を入れつつ、調査を続けて、まだ発見されていない人々がいる場所の目星をつけて、皆に連絡を送っていく。 「レキちゃん、ちょっとごめんね」 「あ、うん。ありがとう」 レオーナは探索を出る前に、休憩所の掃除をしていた。 愛槍「ゴボウ」に、うっかり自主掃除の時に取り付けたモップをつけたまま、訪れていたため、せっかくだから、皆が快適に過ごせるように、掃除をしておくことにしたのだ。 レキが座っていた場所をモップでごしごし拭いて、床全体をごしごしして、壁もドアも磨いておく。 「……よし、終了! それじゃイングリットちゃん達と一緒に街を調べてくるわね」 「壊れたロボットや、エアバイクがあったら、運んでくれるとうれしいな」 「うん、任せておいて。何かあったらすぐに連絡ちょうだいね」 レキにそう言うと、レオーナは休憩所の外に出て、イングリット達を呼んだ。 単独で行動はしない。もう、皆に迷惑をかけたくないから。可愛くて大好きな仲間達と一緒に、役に立とうと思っていた。 「この辺りには来たことなかったんだ」 マリカとルーシェリア、エリシア、イングリット、そして合流したレオーナは廃墟の中を歩いていた。 ここはかつて人が暮らしていた街であったと思われる。しかし今は、殆どが焼け落ちていて、生物の命が感じられなかった。 「随分と昔の建物のようですわ。でも、時間の流れが違うからでしょうか、そう古さを感じませんね」 エリシアは、エセンシャルリーディングの能力を用い建物を観察していた。 「ダークレッドホールを生きて通過した方でしたら、この街を目指しそうですよねぇ」 ルーシェリアは辺りを見回して、何か落ちてはいないか調べていく。 建物の陰や、崩れている家の中も、見落としのないよう、しっかりと確認していかなければならない。 「そうですねぇ、私は上から見てみますね」 ルーシェリアはサンタの箒で飛んで、空から街を見下ろすことにした。 「お願いね! でも、上空からだけじゃ見えないところもあるし、見落としのないようにちゃんと見て回らないと」 マリカは道路も建物の中も、しっかりと探して、人がいないか、遺品と思われるものが落ちていないか、調べていった。 「あちらに、壊れたロボットがありますぅ。レキさんの元に持っていきましょう〜。あ、その側に……」 ルーシェリアは、ロボットの近くに、焦げている何かを発見した。 「……お連れしに行きますわ」 イングリットがそう言い、ルーシェリアが示す先に、レオーナと一緒に走った。 その場にあったのは、ロボットの残骸と、パラ実生と思われる男性の遺体だった。 「ロボットの方、お願いしますわね」 「う、うん。イングリットちゃん……大丈夫?」 遺体を目にして、レオーナは少し怖くなった。 「大丈夫、ですわ」 布を取り出して、遺体の身体を巻くイングリットの手が、少し震えていることにレオーナは気付く。 「わたくしも手伝いますわ」 駆け寄ったエリシアが、イングリットと一緒に遺体を持ち上げた。 「ゆっくり歩きましょう。落してしまったら、より状態が悪くなってしまいますし」 「はい、気を付けますわ」 エリシアとイングリットは歩調を合わせて、ゆっくりと運ぶ。 「辛くなったら、交代するからね」 レオーナも壊れたロボットを抱えて、一緒に歩いて行く。 数時間後には、休憩所の前に3人の遺体と、一袋分の遺品が集まっていた。 「それじゃ、行ってきますぅ。輸送トラック、こちらに持ってきますねぇ」 ルーシェリアはレキが記録したデータや、ロボットの記憶装置を持って、優子達がいる世界の中心点へと向かった。 そして、トラックを持ってくると、集まった遺体、遺品を乗せてまた、世界の中心点に連れて行く。 「そちらの探索が終わったら、街の方へ回ってほしい。手が足りないようだ」 優子はレキから届いたデータや、届く報告をもとに、仲間達に指示を出す。 集めらた遺体、遺品は、ナオ達により身元が調べられ、ローズにより修復をされ……もしくは、レン達により火葬されて、土に還っていった。 |
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