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聖戦のオラトリオ ~転生~ 最終回 ―Paradise Lost―

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聖戦のオラトリオ ~転生~ 最終回 ―Paradise Lost―
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 シャンバラ王国、イコン製造プラント。
「美羽さん、今度の製造スケジュール表、こちらにおいときますね」
 ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)に向かって声を発した。
「……うん」
 あれから二ヶ月が経つ。
 常駐管理者としての仕事はしているものの、ナイチンゲールはもういない。原初のイコン、白金の【ナイチンゲール】と白銀の【ジズ】も、光の中に消えてしまった。
 それ以来、どうにも虚無感を覚えたままだ。
「あ、あと美羽さん。今日、プラントの見学をしたいって人が来ますよ」
「そういえば、今はあの子が来てるよね」
「ヴェロニカさん、ですね」
 白金のパイロットが、ここを訪れている。
「そろそろ来るので、迎えに行きましょうか」
 あまり気が乗らなかったが、プラントの入口まで、美羽は出迎えにいく。
「え……?」
 そこにいた少女の姿を見て、美羽は思わず声を漏らした。

* * *


 ヴェロニカは、イコン製造プラントの格納庫に、一人佇んでいた。
「ここが、私にとっての始まりの場所……」
 全てはここから始まった。
 天御柱学院にやってきて二日目だ。このイコンプラントを訪れたのは。
 ここで、ナイチンゲールと出会い、ノヴァと遭遇し、そして――ニュクスと、【ナイチンゲール】と出会った。
「ニュクス……」
 可能性を信じれば、また会える。
 だから、いつかはきっと――。

「なぜかしら? 初めて来る場所なのに、とっても懐かしい」

 背後から聞こえた声に、振り向く。
 そこにいる少女と目が合った。

「あれ、おかしいわね。あなたが誰かも分からないのに……涙が出る」
 ヴェロニカも、思わず涙をこぼした。
「どうしたの?」
「ううん、あなたが、友達にとってもそっくりだったから。名前、教えてくれないかな?」

「私は、セラよ」

 奇跡は起こる。
 その言葉は、本当だった。

「よろしくね、セラ」

 二人の物語は、ここから始まってゆく――。