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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 後編

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■□■2■□■ アルバ・フレスカ、襲撃

「桜井校長を宦官になんて絶対にさせない!」
「古来より宦官が権力を握って、国の栄えたためしなし……。
宦官の陰謀によって、シャンバラの未来を危うくすることは見過ごせません!
アルバ・フレスカ、いや英霊・張譲の企みは絶対阻止です!」
カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)と、
姫宮 みこと(ひめみや・みこと)が、宣言する。
「で、なんで2人とも手をわきわきさせてるの?」
怯える静香に、カレンは言う。
「ボクのパートナーのジュレのために、
『じゅせいらん計画』を成功させたいんだよ!
そのために、ボクが桜井校長の影武者になろうと思って。
幸い背格好も割と近いし
貧乳具合も似てるので……
というか桜井校長は男の娘だから貧乳で当たり前なんだけどね……言ってて悲しくなってきた。
まあともかく、そのために服を交換してよ!
男の娘を剥ぐなんて、めったにできることじゃないし興奮しちゃうよね!」
「聞いたら泣く者がいそうだが……。
それよりも今は『じゅせいらん計画』だ。
我の魂と呼べるべき、機晶姫用レールガンを提供しよう」
ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)が、
小ラズィーヤのコスプレをしながら言う。
「いつぞやのように、影武者作戦を実行しますので、
静香校長、お洋服を貸してくださいね」
みことも、静香に迫る。
「くんくん……静香校長の服、とってもいいにおい……。
ではなくて。
影武者となった以上、ボクは四六時中静香校長と行動を共にします。
別れた隙に事件が起こったら、目も当てられませんからね」
「うふふふ、この下はどうなってるのかなあー?」
みことが脱がされた静香の上着をかいでる間に、
カレンがさらにその下を脱がそうとするが。
「きゃああああ、助けてー!?」
「静香さん!?」
ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)が飛び起きて、
カレンとみことに躍り掛かる。
「静香さん、危険は排除します!
ハイパーランサー!!」
「ぎゃああああああ」
「あーーーーーれーーーーーーーーーー」
カレンとみことはぶっ飛ばされた。
「我の計画のためだ、許せ!」
「きゃあああああああ!?」
ジュレールがロザリンドにレールガンを放つ。
今度はロザリンドがぶっ飛ばされる。

★☆★

「し、静香さん、大丈夫で……zzz」
戻ってきたロザリンドはランスにもたれて眠り始めた。
「あ、あれ、今……」
(桜井校長、じゃなくて、静香さんって?)
極限状態のロザリンドは、静香を名前で呼んだのだ。
静香だけがそのことに気づいていた。
「ロザリンドさん」
本人は気づいてるかわからないが。
(また呼んでくれたらいいな……)
静香は、恋人の寝顔を見ながらそう思った。

★☆★

「というわけで、影武者作戦、実行だよ!」
「お洋服を貸してください、静香校長」
「まだやるの!?」
かくして、カレンとみことは、静香のコスプレをすることになった。
「もちろんトイレも一緒ですよ? 影武者とはそういうものなんです。
もちろんお風呂も一緒ですよ? 影武者とはそういうものなんです。
もちろん寝るのも一緒ですよ? 影武者とはそういうものなんです。
不便でしょうけど納得してくださいね、静香校長」
「お風呂や寝たりすることはないんじゃないかなあ」
みことに、静香が控えめに突っ込む。

「うむ、我によく似たかわいい子が生まれるようだな」
【外見特徴:ジト目の三つ編み眼鏡っ娘】
【性格:無口だが、やたら好戦的】
という小ラズィーヤの生まれる未来を見て、ジュレールがうなずく。

「って、やってる間にきたわよ!」
早乙女 蘭丸(さおとめ・らんまる)が告げる。
「静香校長!
シャンバラのために、宦官になってください!」
「静香ちゃんを宦官にするなんて、なんて恐ろしい企みなの!?
そう、ソレはまさに男の娘のシンボル。
ソレを失ってしまった男の娘は、ただのぺたん娘でしかないのよ!
完璧な男の娘を求めながらそのことに気付かないなんて、
アルバ・フレスカ、なんて愚かな娘……!
あたしとみことが、あなたの過ちを気付かせてあげる!」
蘭丸が、アルバ・フレスカに宣言する。
「な……ボクはぺたん娘じゃありませんよ!」
アルバ・フレスカが激昂する。
その隙に、
みことと蘭丸の変身バンクが流れる。

フラッシュと共に全裸になるみことと蘭丸。
みことを背後から抱きしめる蘭丸。
全裸で抱き合う男の娘二人。
蘭丸が光と共に変身し、みことの鎧として装着される。

「退魔少女バサラプリンセスみこと、ここに推参!
宦官の邪悪な企み、打ち砕いてみせる!」
「明らかに大きいお友達向けじゃないですか!!
しかもマニアックな!」
変身した【退魔少女バサラプリンセスみこと】に、
アルバ・フレスカがツッコミを入れる。
「あなたにマニアックとか言われたくありません!」
バサラプリンセスみことが言う。
「そうよ、アルバ・フレスカだってマイナーなんだから!」
「な!?」
アルバ・フレスカが振り返った先には、
意味もなく高いところに上った
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)がいた。
「って、またカレンとジュレがコスプレしやがってるざんす!」
ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)が、ツッコミを入れる。
「みことだってコスプレして……あれ?」
カレンが言うと、いつのまにか蘭丸がいる。
「えっ、じゃあ今の変身はなんだったの!?」
カレンが呆然とする。
「今のはイメージ映像よ。この部屋の機械を使って流したのよ!
実はみことがあたしをちゃんと装備してなかったの!」
「さっきの方が普通の変身より、なんとなくゴージャスじゃないですか?」
「ややこしいことしないでください!」
アルバ・フレスカが、みことと蘭丸をぶっ飛ばす。
「「きゃあああああああああああああ」」
みことと蘭丸はお星様になった。

「ところで、さっき、アルバ・フレスカがマイナーって言った話だけど!」
「話が前後するざんすか!?」
美羽がざんすかに解説を始める。
「張譲(ちょうじょう)っていうのはね、三国志のマイナー悪役だよ。
同じ悪役の張角や董卓に比べると、話が盛り上がる前にサクッと死んじゃったし……
呂布に比べると、腕っぷしも人気もないし……
三国志のゲームやマンガだと、大体モブか、下手すれば出てこないくらいの、
まあ、いわゆる典型的なマイナー武将よ」
「なるほど、じゃあ、ミーが知らなかったのも無理ないざんす!」
美羽とざんすかが、アルバ・フレスカをディスる。
「な、なんてこと言うんですか!」
アルバ・フレスカこと張譲がわなわなと震える。
「ボクがマイナー武将ですって!
ボクは宦官ですよ! 武将じゃありません!」
「え? 突っ込むポイントそこなの!?」

美羽とアルバ・フレスカたちが漫才する中。
コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)は、
ツァンダの町の精 つぁんだ(つぁんだのまちのせい・つぁんだ)と一緒に静香を守っていた。
「僕、こういう野蛮なのって好きじゃないんだよね。
こういう役目はざんすかとかの方がいいんじゃないの?」
「まあまあ、つぁんだも本当は素直になれないだけなんだよね」
「え? 何言ってんの?」
つぁんだが怪訝な顔をする。
コハクはお人好しなので、本当はつぁんだもいい子だと信じて疑わないのだ。
だが。
「聞こえたざんす!
どうせ弱くて役に立たないんだから、
つぁんだもまとめてぶっ飛ばすざんす!」
「ぎゃああああああああ!?」
ざんすかがつぁんだをアルバ・フレスカに放り投げる。
「今よ! つぁんだごとやるのよ!」
「わかったざんす!」
「「うぎゃあああああああああああああああ」」
ざんすかのラリアットと美羽のレッグラリアットが同時に炸裂する。
「あ……美羽がつぁんだごとストンピングしてる」
コハクがつぶやく。
「くっ、こんなよくわからない作戦で負けるなんて!」
「それは……マイナーだからよ!」
美羽がポーズを決める。