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鏡の国の戦争 0
兄弟達とは、一言も口を交わした事はない。
仕方ない。もしも何かエラーが発生した時、それが伝染しないようにするためだ。
兄弟と話をする事ができるのは、ここが本当にもう一つの世界であり、故郷と再び接触できないと判明し、そして眼下の青い星に降り立つ事ができた時だ。
ああ、それにしても何もする事がない。
今できる事は、ただ漫然と青い星を眺める事だけだ。
それにしても、それにしたって、人間という生き物は変な生き物だ。
必ず、どこかで戦争をしている。
彼らが戦っているのは、異なる生物ではなく、人間だ。同種同士で殺し合いを続ける奇妙な生き物だ。
何か致命的な、根源的に取り除けないエラーでも抱え込んでいるのだろうか。
―――。
――。
―。
あ、そうか。
あれは演習なんだ。
ああやって、殺し合いの練習を重ねて重ねて、いずれくる侵略者に備えているんだ。
そう考えれば、あんな貧弱な肉体なのに、武器をどんどん進化させ多様化させているのも納得だ。そんな立派な武器なんかなくったって、人間を殺すのは彼らにとっても簡単なはずなのに。
だとしたら、彼らが備えている侵略者って誰なんだろう。
僕達のことを知っているのかな、いいや、知っているわけがない。
まぁ、いいや。
せっかくだし、僕もやってみようかな。
暇だし、ね。
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