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アリスからの緊急連絡

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アリスからの緊急連絡
アリスからの緊急連絡 アリスからの緊急連絡

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アリス
 やがてガーゴイルに付属している少女の像から少女が抜け出し、眠りの魔法と不可視の魔法を美術室中に振りまく。
 そして涼司の携帯電話を借りると、その魔力を利用して一斉に電話連絡をかけ始めた。
「なっ……」
 美術室前で貼りこみをしていた無限 大吾(むげん・だいご)は驚くが、彼に睡魔が訪れるのもそう遅いことではなかった。


 『アリスです』

 声の主はアリスと名乗りました。アニメ声の可愛い声です。

『今夜10時、蒼空学園美術室で待っています』
 その電話は20人以上に掛かってきた。それぞれの反応をみてみよう。

葛葉 翔(くずのは・しょう)の場合――

「うおっ」
 携帯がなった途端ビビッて後ずさりする。
「あ、携帯なってる」
 アリア・フォンブラウン(ありあ・ふぉんぶらうん)がそう言って翔の携帯をとった。
 翔クンびびってとらなさそうだからあたしが代わりに取りましょうかね。
「はい、もしもし」
「ぷ、プラズマの仕業だ。 絶対電磁波の影響だ」
「なんか、美術室に来てくれって。」
「ことわる。ことわるぞぉ。美術室に行くなんてもってのほかだ」
 まさか心霊現象が苦手な翔クンの所に連絡が来るとはねえ……
 アリアは呆れてパートナーを見つめました。
「うまうま……」
 もう一人のパートナークタート・アクアディンゲン(くたーと・あくあでぃんげん)はお菓子をバリボリと食べてます。
「まったく、だらしないのう。男が心霊現象風情で。我ら魔道書だって心霊現象の様なものだろうが。こんなことでビビりおってからに」
「形があれば怖くねえんだよう……」
 翔は泣き出しそうな表情で言った。
「そうかそうか。ふあぁああ〜」
 お菓子をお腹いっぱい食べたクタートは高いびきを上げて眠り込んでしまった。

「おう、待ってろ! って、行かねーけどな」
 友人の蒼空学園生徒の寮にあそびにきていたウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)はそう言って電話を切ると、天井と窓に【トラッパー】で細工して網を設置。任意のタイミングで天井から網または窓に網が掛かる仕組みだ。網はグラウンドのサッカーゴールから拝借してきたらしい。
「まあ、言わなきゃバレないだろ、多分。バンダースナッチとやらは捕まえられたら校内引き回しだな!」
 しかしバレた場合は彼が校内引き回しの上おでこ校長から何らかの制裁を受けるのは間違いないだろう。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず。事件の原因を解明するなら飛び込むしかないですね」
 そう言ったのは御凪 真人(みなぎ・まこと)。待っていてもバンダースナッチが来るだけだということで彼は美術室へ潜入することにした。
「夜の学校って言うのも雰囲気あるわよね」
 真人のパートナーセルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)が一緒に校内に忍びこみながら小声で言う。

「のぞき部所属鈴木 周(すずき・しゅう)(女の子が)お呼びと有らば即参上!」
 何を勘違いしたのかアリスからの電話を女の子からの告白と勘違いした彼は絶賛大・暴・走! で夜の校舎を走りまわる。
「これはあれだな、俺に密かに想いを寄せてた子がついに決心してかけてきた電話に違いねぇ! 俺にも春が来たぜー!」
 正直走る大迷惑。叫びながら走りまわる。
 とはいえ美術室の噂のことはなんとなく頭の隅に入っていたらしく光条兵器を装備していくのは忘れない。

「美術室に行きますから、そこで待っていてください!お話がしたいです!」
 ファイリアはそう叫ぶと広瀬 刹那(ひろせ・せつな)とともに美術室へ潜入することにした。
「電話が来たっスよ。行くっス。お願いするっス」
 刹那は走りながら仲間にアリスからの電話があったことを電話して回る。そして美術室に集まるように依頼するのだった。
「でましたか。ファイリア様に被害が及ばないようにしなければ……」
 ニアリーはそう言うと調べ物をしていた図書室から美術室へと向かう。正直大した情報は手に入らなかったがシャンバラ古王国時代にバンダースナッチがアリスと共に封印されたという情報だけは見つけることができた。アリスがどのような役割を追っているのかはわからないが、これが正解だろう。
 
 愛美からメールで噂を聞き蒼空学園を訪れていた神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)もアリスの電話を受けた一人。ルイスキャロル著 ジャヴァウォックの詩(るいすきゃろるちょ・じゃばうぉっくのうた)こと『じゃばうおっくちゃん』とともに美術室へと走る。

「山葉からの連絡かと思ったらまさかアリスからの緊急連絡かよ。へっ……びびってなんて、いないぜ」
 ガサ……
 物音。
「ギャー!」
 叫ぶ渋井 誠治(しぶい・せいじ)。びびりだ。びびりの証拠である。
「きゃーっ!」
 それに呼応するように悲鳴。
 ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)だった。
「ちょっと、びっくりさせないでよね」
「それはこっちのセリフだ。それよりおまえさんもアリスの緊急連絡を?」
「うん。その電話ならあたしのところにも来たよ。正体を暴かないと寝つきが悪いじゃない?」
「そりゃまあそうだ」
「ってことで、一緒に行きましょ」
「おーけー」
 こうして、誠治とミルディアは行動を共にすることになった。
「イシュタンもー」
 パートナーのイシュタン・ルンクァークォン(いしゅたん・るんかーこん)とともに。

「ふぁい。いくよいくいくー」
 アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)は寝ぼけた頭で電話に答え、再び寝てしまった。
 ぐがー。すぴー。
 完全に熟睡である。次行ってみよう。

「クコ、アリスからの緊急連絡だ。学校に行ってみよう!」
 赤嶺 霜月(あかみね・そうげつ)は夕食の片付けをしているときにかかってきた電話を受けて、妻のクコ・赤嶺(くこ・あかみね)に向かって叫んだ。
 軍用バイクにダンデムするとスピード狂のクコは法定制限速度なんておもいっきり無視して学校まで突っ走ったのである。
 そして美術室……
「これがバンダースナッチ?」
 クコはガーゴイルの像を見てそう呟く。特に危険な兆候は……ん?
 何も無いところからイビキが。
「不可視の魔法? まさかバンダースナッチから守るため?」
 正解。
 しかしこれだけ大イビキをしていればバンダースナッチにも聞こえそうなものだが、ひょっとしたら聴覚はないのかもしれない。
 アイアン・ナイフィード(あいあん・ないふぃーど)はこっそり二人をバイクで追いかけると、美術室に到着。バンダースナッチを探し始める。
 だが、どこにも魔物の気配はしない。どこにいったのか?

 千堂 ちひろ(せんどう・ちひろ)にも一方的な内容の電話がかかってきた。
 意味がわからなかったので、電話の主のパートーナーにコールバックしてみると電話の主の黄泉 功平(よみ・こうへい)は今起きたばかり。
 従って功平はそれを「アリスからの緊急連絡」と断定した。
 指定時間の20分前に待ち合わせるように連絡をとりあうと電話を切って学園へと向かった。
 一方のちひろは制服を夕方に洗濯してしまってまだ乾いていないのでブラックフォーマルを着ていくことになった。

 図書室で調べ物をしていたら電話が……携帯をマナーモードにするのを忘れt(ry
 ともかく図書室からは美術室は近い。今回の件で校長は非常に寛容な態度で学校を開放していたので橘 恭司(たちばな・きょうじ)はすぐさま美術室へ向かった。
「だれだ!」
 先客がいるようだ。
 だが、見れば魔獣のたぐいではない。
「自分は赤嶺 霜月。こっちは妻のクコ。それから、これは……邪悪な精霊のバカだ」
「誰が馬鹿だコルァ!」
 霜月のことばに反論するナイフィード。
「俺は橘 恭司。君たちもアリスからの緊急連絡を?」
「ああ。だが、アリスはおろかバンダースナッチもいない。どうなっているんだ、いったい……」
「わかりませんが、とにかく油断はしないように……」
「ああ…‥」
 
 浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)はアリスからの連絡の話を事前に知っていたが怪談のたぐいだろうと勘違いしてアリスからの電話も肝試しのお誘いぐらいにしか考えていなかった。
「……お、先客さんかな?」
 だから戦闘準備を整えたナイトフィードがいることには気づかなかった。
「見敵必殺っ!」
「のうわ!」
 ナイトフィードの不意打ちを必死で避ける翡翠。
「なんですかいったい!?」
「ちっ、バンダースナッチじゃねえのか」
「見ればわかるでしょう……」
 翡翠はそう言うと自己紹介をしてガーゴイル像を触ってみた。何かいきなり動き出すという気配もない。
「翡翠、無用心よ……」
 と、声がかかってくる方を見ると、翡翠のパートナーの北条 円(ほうじょう・まどか)であった。
 彼女は涼司の話をちゃんと聞いてこれが物騒な事件だと革新していたので、剣と翡翠の銃を持って出てきたのである。
「余計なお世話ですよ」
「あらあらまぁまぁ……」

 火村 加夜(ひむら・かや)も涼司から話を聞いていたものの一人。
 最近涼司が気になって仕方がない(恋?)の彼女は悶々としながら過ごしていると涼司からの電話がかかってきて驚いて電話をとった。
 しかし電話の主は件のアリス。ということは涼司くんは今寝ている? そう考えた彼女は涼司くんの危機を感じ取りすぐさま装備を整えて美術室へ向かうのでした。
 テスラ・マグメル(てすら・まぐめる)は美術室へ向かいながら一人考える。
(アリスとバンダースナッチ。名前だけならジャバウォックの唄を介して関係のある両者だけど、原典の通りであるならば「同じ物語にありながら、両者に接点は無い」。アリスとバンダースナッチは全く別物の事件です。つまり……どういうこと?)

「はわわ、ぱらみったーでも噂だった『アリスからの緊急連絡』ですよ!!
 自分にも届くとはびっくりですが…。
 アリスさんがそんな風に連絡してくるってことは何かあるのかもしれませんね。
 できれば解決してあげたいです」
 東雲 いちる(しののめ・いちる)がでも夜の学校は怖いしどうしよーと思案に暮れていると、
「いちる一人じゃ頼りねーだろついてってやるよ」
 とパートナーのエルセリア・シュマリエ(えるせりあ・しゅまりえ)ことエルくん。
「うん。ありがとう」
「う、うるさい馬鹿。おまえが頼りないからだよ」
 照れて意地を張るエルくんの手を握るいちる。
「暗いから足元気をつけろよ。ほら手繋いでやるから。
 …手をつないでたら安心だろ? 俺がじゃないぞいちるがだ!
 とにかく俺はいちるを守るから。俺はいちるの剣だから」
「うん!」
 いちるは大きな笑顔で笑いました。エルくんに取っては最高のご褒美である。