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魔の理科実験室の怪を探れ!!

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魔の理科実験室の怪を探れ!!

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第三章 

 優しげな美少年とも見える、瞳と同じ青い長い髪を束ねた火村 加夜(ひむら・かや)が言う。
「犯人がどこから現れるのか分からないので、散らばって張り込みがいいですよね。もし私の居るところに犯人が来た場合は光術で味方に知らせますね。目くらましにもなると思いますし」
元気いっぱいの少女、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が緑のツインテイルを振りたてて、火村に向かって叫ぶように言った。
「すみれちゃんか弱そうなのに、一人でなんて危ないよ。美羽は強いから一緒に張り込もうねっ!」
「え、え、すみれちゃんって??」
火村がたじろぐ。
「青いから〜 すみれちゃんって呼ぶの〜」
「は、はい……」
気おされる火村に向かって、小鳥遊がにやっと笑った。
清楚でおとなしげなめがねの少女、小鳥遊のパートナー、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が、茶色のポニーテールが床に付かんばかりに頭を下げた。
「火村さんすみません! 美羽さんがまた勝手なあだ名をつけてしまって……」
「いえいえ、えーと、どうぞお気になさらず」

 青い髪をポニーテールに結った美少女、北条 綾乃(ほうじょう・あやの)が提案する。
「何かトリックがあるはずですわ。私は建物の、元電源を操作しようかと思うんです。騒ぎが起こった瞬間に元電源をオンすれば一斉に建物中の明かりが点くようにすれば、幽霊でも侵入者でも、不意を突くことができるでしょう?」
「それなら情報統括担当のアッシュワース、ゲルドペアからタイミング指示をしたらいいな」
エースが言った。
「そうですわね。ではよいと思われるタイミングで、指示をお願いできますでしょうか?配電盤の位置と、照明の件については担当の先生から許可をもらっておきますね」
綾乃が言い、アッシュワースは頷いた。
「そのほうがいいな 別棟とはいえね」

 オールバックの金髪から、額に下がった髪をうるさそうにかきあげてトマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)が言う。
「何か起きるのが23時以降から明け方くらいだというなら、僕はその時間に合わせて実験室の入り口にはりついておくよ」
 ファーニナルのパートナーの一人、ブロンドのヴァルキリー、ミカエラ・ウォーレンシュタット(みかえら・うぉーれんしゅたっと)が生真面目にそれに応える。
「もし単なる愉快犯や、何やら悪しき意図をもっての事ならば……捕まえて、しばき上げてやらないといけませんね。トマスを傷けたりしたら容赦は致しません」
 やはりファーニナルのパートナーで、古代中国の将軍魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)が、おっとりした口調で言った。
「怪現象と騒がれていますが、何かの意図があって引き起こされているのかもしれませんね。夜、張り込みで寝ずの番ですか……。夜襲に備える戦場を思い出しますねぇ」
大きな熊の獣人、テノーリオ・メイベア(てのーりお・めいべあ)
「トマスがやるならパートナーとして協力するさ。俺は剥製のふりをして実験室内部で張り込みをするぜ。フフフ……夜中に山中であう熊とオバケだかなんだか知らないが、どっちが怖いか、勝負でもするか」
「そうともよ! 怪奇現象なんてのは正体がわからねぇから怖いんだ」
妖艶だが、気性の激しそうな赤毛のシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)が乱暴な口調でテノーリオに言う。
「あーも、オレはうだうだ推理してるなんてのは性にあわねぇ。なんか出たらすかさず飛び出してとっつかまえてやる」
シリウスと対照的な銀髪の落ち着いた感じの美女、リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)がため息混じりに、
「ああ、シリウスったら。ええ、お付き合いしますわ。いつもの事ですもの」
 それを受けて赤毛の元気少女、レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)があわてて言った。
「あのね……対応は慎重なほうがいいと思うの。犯人っぽいのが現れたら、ある程度距離をおきつつ様子を見ましょうよ。犯罪とは限らないんだし」
レキのパートナー、巨大黒猫のぬいぐるみにしか見えないチムチム・リー(ちむちむ・りー)がのんびりと言う。
「だねー。とにかく第一にこちらの存在が気付かれない様に注意アルね」
「そそ、単独じゃないんだから総合的な判断で行きましょう、ね?」
レキがにっこりした。
「あー、そっか、悪人とはかぎらねえんだな? んー、わかった。んじゃオレらは少し下がった位置で待機ってことな」
シリウスが言い、頭をかいた。
「そこは気をつけなきゃだなあ……みんなやり過ぎないようにね」
ファーニナルがパートナーたちに言い、3人は頷いた。
テノーリオがチムチムに話しかけた。
「君、俺と一緒に剥製、ぬいぐるみとして内部張り込みしようじゃないか!」
「チムチムもテノーリオさんと一緒に、ぬいぐるみっぽく、何かが起きるまで寝転んでいるのも余計なパワーを使わないで済むし、いいかもしれないアルね。そのプラン、のるアルヨ」
「ではわたくしたち、状況といただいた情報を元に行動いたしますすね」
リーブラがおっとりと言い、レキとシリウスはうなずいた。
 薄茶の髪に蜂蜜色の瞳の優しげな少女九条 イチル(くじょう・いちる)が、
「私は光学迷彩で姿をくらまして、実験室の表側の張り込みをしますね。深夜の学校だなんてドキドキしちゃうなぁ! 悪い人とは限らないようだし、もし危なくなさそうだったらお話してみたらいいかもしれませんねー」
「まあ、状況次第と相成りましょうな。なにぶんそこは論じてみても見当がつきませんからね」
子敬が言った。