空京

校長室

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション

リアクション公開中!

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション
【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション 【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション 【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション 【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション 【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション 【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション 【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション 【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション

リアクション

 
「ホイップ、今日はお疲れさま」
「エルもお疲れさまっ! ……はぁ〜、なんとかクビにならずに済んだよ〜」
 エル・ウィンド(える・うぃんど)ホイップ・ノーン(ほいっぷ・のーん)が、今日一日海の家で働き詰めだった互いを労い合う。騎馬戦やビーチバレーでしょっちゅう抜けざるを得なかったホイップをエルが手伝ったのが功を奏したか、ホイップはクビにされることなくある程度の収入を得ることが出来たのであった。
「騎馬戦やビーチバレーはどうだった?」
「なんかとってもハチャメチャだったけど、でも、色んな人と話せたし、楽しかったかな」
「そっか。海の家からホイップが見えたんだ。水着姿が可愛くて思わず見惚れてた」
「ちょ、な、何言うの!? もー、お世辞はほどほどにしてよね!」
 顔を真っ赤にしてホイップが抗議するそこへ、ホワイト・カラー(ほわいと・からー)がトレイに料理と飲み物を載せてやって来る。
「エル、ホイップ姉様、料理と飲み物をお持ちしました。ごゆっくりどうぞ」
 微笑を浮かべてテーブルにトレイの上の物を載せていくホワイト、そこへホイップが首をかしげつつ尋ねる。
「あれ? 飲み物一つしかないよ?」
 その問いにホワイトはふふ、と笑みだけ浮かべてそして去っていく。頭に疑問符を浮かべたホイップは、飲み物にストローが2つ差してあることに気付き、それがバイト中でも何度か客に出した『カップルジュース』であることにようやく気付く。
「こ、これってもしかして……」
「ははは、どうやら気を使ってくれたようだね」
「も、もう……」
 料理が運ばれる前よりもさらに顔を真っ赤にしてホイップが俯き、どうしようかと迷っている所へ、それは果たして救いの手かそうでないか悩ましい所だが、とにかく一石が投じられる。

「ママーお腹空いたー。……あっ、これ美味しそう! ねーもらっていい?」

 ホイップにはしっ、と抱きつき、幼女がつぶらな瞳で見上げてくる。
「……へ? あ? ええ?」
「ホイップ、まさかその子は君の……」
「ち、違う、違うよ!」
 突然の事態に二人が混乱していると、そこへちょうど通りかかった茅野 菫(ちの・すみれ)相馬 小次郎(そうま・こじろう)がやって来る。
「どうしたのー? てかさ、二人を見てるとホント、仲の良い恋人同士にしか見えないよねー」
「いやいや、むしろここは夫婦のようじゃのうと言っておいた方がいいかもしれんな」
「き、キミたち!」
「わー、お兄ちゃんが怒ったー」
 逃げ出す菫と小次郎を、エルが追いかける。
「ふ、夫婦って……え、もしかして、そんな風に見えちゃってるとか?」
 そして、一人残されたホイップは、アレコレと想像を巡らせて顔を真っ赤にするのであった。

 日の落ち、月明かりが水面を照らす波間を、一隻のバナナボートが漂う。
「風が気持ちいいです……」
 吹き抜ける風に髪をなびかせて、アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)が目を細める。日中は海の家で過ごしていた彼女も、日が沈んで外でも過ごしやすくなったおかげか、ボートに乗ろうと誘ってきた秋月 葵(あきづき・あおい)に悩んだ末頷いたのであった。
「アレナ先輩、ほとんど救護のお手伝いしてましたよね? もっと遊んだりしてもよかったんじゃないですか?」
「そ、そうかもしれませんけど……でも、いいんです。私は今でも十分楽しいですから」
 葵に微笑んで、アレナが波の揺れに身を委ねるようにするのを、葵もそれ以上何も言うことなく波に身を任せる。
 少なくとも、今のアレナには、これまで彼女が背負ってきた苦労や悲しみといったものは、ないように思われたから。

(アレナ先輩、素敵な笑顔です。アレナ先輩、よかったですね)
 波打ち際で、レンズ越しにアレナを見届けたエレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)が、静かにシャッターを切る。デジカメから目を離した所で、突如お腹に響くような音にビックリして振り向けば、空に大輪の花が咲いていた。
「まあ、綺麗……!」
 誰かが打ち上げたのだろう、花火を目の当たりにして、エレンディラが感嘆の声をあげる。

「はーっはっはっはっ、夏といえば花火!
 イルミンの魔術が世界一であることを、花火で証明してくれよう!」


 高笑いを浮かべる四条 輪廻(しじょう・りんね)の背後で、彼が用意した打ち上げ花火が打ち上げられ、独特の音を上げやがて空に光の模様を描く。
「……セリシア、風の向きを南東方向に調整していただけません?」
「分かりました、やってみます」
「……よし、次弾装填完了した。サラ、後は頼む」
「任せておけ。生徒が折角用意してくれたものだ、見事に咲かせてみせよう」
 輪廻の魔術による制御に、サラ、セリシア、セイラン、ケイオースといった精霊たちが補助を加え、次々と用意された打ち上げ花火を打ち上げていく。その見事な光のショーは、訪れた生徒たちの注目を一心に集めていた。
「ふふふ、どうやら目的は果たされたようだな――」
「あ、四条さん、やっと見つけたですよ」
 満足そうに微笑む輪廻の所へ、アリス・ミゼル(ありす・みぜる)が彼を見つけてやって来る。
「四条さんの用意した花火、凄いですね。皆さん楽しそうにしていらっしゃいます」
「もちろんだ。この日のために俺がどれほどの時間と労力を費やしたことか……」
 アリスの言葉に、輪廻が今日までの苦労を思い目尻に涙を浮かべる。
「よかったですね、四条さん。……あのー、それでなんですけど……四条さん、食費まで花火に費やしましたよね? だから、明日から四条さんだけ晩御飯抜きですからね」

「な、なんだってー!!」

 最後に大輪の花を咲かせたその裏で、一人の男の悲しい断末魔が響いたのであった――。

「はい、まだまだ沢山あるよー。興味が湧いた人是非どうぞー」
「こちらの打ち上げ花火は、使用上の注意を守って使用してくださいね」
 それぞれ紺地と黒地の浴衣に身を包んだ久途 侘助(くず・わびすけ)香住 火藍(かすみ・からん)が、先程の打ち上げ花火で生徒たちのの興味が花火に向いたのを見計らい、取り寄せていた花火を配っていく。そして、置かれたバケツを中心として、会場のあちこちで小さな、でもとても綺麗な光の模様が描かれ始めた。
「ふふ、綺麗だね、ヒジリ♪」
「ああ、綺麗だな。……っと、落とさずにいるのは結構ムズイな……ああ、落ちてしまった」
 ヒジリ・シルフィード(ひじり・しるふぃーど)の手元で瞬いていた線香花火のタネが落ちるのを、彼と一緒に残念そうに見ていた赤村 柊(あかむら・ひいらぎ)の視界に、同じく線香花火に興じていたエメネア・ゴアドー(えめねあ・ごあどー)テティス・レジャ(ててぃす・れじゃ)が映る。
「あぁ〜また落ちてしまいました〜。すぐ落ちてしまいますぅ」
「エメネアさんにはこっちの方がいいんじゃないかな?」
「わ〜綺麗です〜」
「あっ、そんなに走ったら――」
 手持ち花火を持ってはしゃぐエメネアが派手に転び、砂まみれになったエメネアをテティスが介抱する。
「……よかったね、みんな楽しそうで」
「ああ、そうだな」
 互いに微笑み合って、柊とヒジリが線香花火に視線を向け合う。

「さあ、こちらも打ち上げ花火の準備にとりかかりましょうか」
 ノイン・クロスフォード(のいん・くろすふぉーど)が自前で用意した打ち上げ花火の準備を始めたところで、同様の仕掛けを手に小林 恵那(こばやし・えな)がやって来る。
「あの、ご一緒してもよろしいですか? 用意してみたはいいのですけど、一人では不安で」
「確かに、女性一人では苦労しますね。ええ、いいですよ」
「あ、ありがとうございます」
 そして、ノインと恵那、二人の準備が整い、打ち上げ花火の導火線に火が点けられる――。

「あ、上がった! うんうん、やっぱり花火は打ち上げ花火よね」
 独特の音が響くや否や、浴衣姿で慎ましく線香花火に興じていたマリア・クラウディエ(まりあ・くらうでぃえ)がバケツに線香花火を投げ入れ、空に上がる大輪の花に胸踊らせていた。
「あっ、恵那!? いないと思ったらあんな所に……って、あれだけ危ないって言ったのに打ち上げ花火持って来てるし!? ったく、いつもいつも無茶ばっかり……」
 その横で、ノインと共に打ち上げ花火を打ち上げている恵那を見つけたロックウェル・アーサー(ろっくうぇる・あーさー)が、文句を垂れつつ二人の所へ向かっていった。

「皆さん、今日は楽しまれましたか?」
「まあ、それなりかな。にしても、線香花火って不思議と落ち着かせてくれるよな」
「えと、えっと……あたし、花火ができてよかった!」
「わたくしは、友達が沢山できて嬉しそうなルナを見ることができて、とてもよかったと思ってますわ」
 線香花火に興じている神崎 優(かんざき・ゆう)の横で、水無月 零(みなずき・れい)の問いかけにセルマ・アリス(せるま・ありす)ルナ・エデュリス(るな・えでゅりす)ナータマティルダ・ウラルデジアン(なーたまてぃるだ・うらるでじあん)がそれぞれ答え、静かに瞬く線香花火にそっと目線を落とす。
「くふふ、線香花火も綺麗だけど、ちょっと大人しすぎる感じがするよね! だからワタシ、これでちょっかい出してみよーっと!」
 そんな彼らを見遣って、悪戯な表情を浮かべたミリィ・アメアラ(みりぃ・あめあら)が複数のねずみ花火に火をつけ、せーの、で一斉に投げ入れた――。

「おやおや、賑やかですね」
「ありゃやり過ぎだろ……ま、見てる分には面白いがな」
 炸裂するねずみ花火、そしてセルマがミリィを砂浜に座らせて説教している様子を、神楽坂 紫翠(かぐらざか・しすい)シェイド・ヴェルダ(しぇいど・るだ)が線香花火片手にほのぼのと見守っていた。

「……やっと、寝てくれたか。しかし、どうしてこうなった……」
 宴もたけなわ、といった雰囲気が漂う中、魔法少女な格好のまま酔い潰れて眠ってしまった赫夜を膝に載せ、如月 佑也(きさらぎ・ゆうや)が一息つく。彼が赫夜を見かけた時には既にこの格好で酒を煽りながら女の子の胸を揉むという行動を繰り返していたが、アルマ・アレフ(あるま・あれふ)の用意した飲み物――本来は、佑也が酔っ払って赫夜とナニかしてくれないかと期待して出された飲み物――を飲んだ直後、酔い潰れて眠ってしまったという次第であった。
「……まあ、これだけ十二星華が集まるのもそうそうないことだろうし、赫夜さんが楽しんでくれたならいいかな……」
 赫夜の体温を感じながら、佑也が夜空を見上げる。瞬いた星が流れ、一筋の光跡を残して消えていった。

「皆様、散々遊んだのですから、きちんと後片付けをしなくてはいけませんわ。
 そこのあなた! 燃えるゴミと燃えないゴミは正確に分別なさい!」
 会場の後片付けを買って出た城ヶ崎 瑠璃音(じょうがさき・るりね)の指導の元、森猫 まや(もりねこ・まや)ジェシカ・アンヴィル(じぇしか・あんう゛ぃる)ステイア・ファーラミア(すていあ・ふぁーらみあ)三船 敬一(みふね・けいいち)白河 淋(しらかわ・りん)天海 総司(あまみ・そうじ)ローラ・アディソン(ろーら・あでぃそん)らを始め、時には十二星華や五精霊の面々まで後片付けに従事させていく。
 
「……ティセラ、あんたあれだけ飲んでホントに大丈夫なの? あんたまで潰れたらあたしだけじゃ連れて帰れないわよ」
「大丈夫ですわ〜、ふらつきはしますけど、倒れるほどじゃありませんもの〜」
「……で、どーしてあたいが連れて帰んなくちゃいけないのよ……酒臭いったらありゃしないわよ」
 徐々に人影の少なくなっていく砂浜を、酔い潰れて眠ってしまったパッフェルを背負うセイニィ、ティセラとの飲み比べに最後まで戦い抜き、結局酔い潰れてしまった祥子を背負うカヤノ、何やら上機嫌といった様子のティセラが歩いていく。
 
「今日は楽しかったですわ。……もしかしたらわたくしは、もう二度とこの海を見ることはないかも知れませんものね」

 ふと、ティセラが表情を整えて、海に視線を向けて呟く。十二星華裁判の判決次第では、ティセラの言葉は真実となりうるかもしれない。もっとも、ティセラほどの実力者を葬るには惜しいであろうし、何らかの形で十二星華の面々は生かされ、新たな仕事に従事させられるであろう。
 海を見ることはあっても、これだけの人数と共に海を見ることは、これから先そうそうないことかもしれない。
 
「……今から先のこと考えたって仕方ないわよ。ないかもしれない、あるかもしれない、どっちも可能性でしかないんだったら、いい方を思っておけばいいじゃない。悪いことなんて思うだけソンだと思うけど。……ま、こんなことセイランに聞かれでもしたら鼻で笑われそうだけどね」

 カヤノがティセラの隣に立ち、ティセラの言葉を打ち消すように口にする。
「……ふふ、そうかもしれませんわね。今日、あなた方と知り合えたことは大変有意義だったとわたくしは思います。わたくしとしてはこれからも、あなた方と友好な関係を保ちたいものですわ」
「……さっきまで酔っ払ってた人の言葉じゃないわよ、それ。もしかして全然酔っ払ってない?」
「ああ、ふらふらしますわ〜」
 セイニィに突っ込まれて、ティセラがわざとらしくふらつく。
「あたいとしては、特に断る理由もないけどね。何か色々あるみたいだし、簡単にはい仲良くしましょー、で済む話でもないように思うけど……ま、短絡的に突っかからないようにはしてあげるわ。あんたたち敵に回して、ただで済むとも思えないし」
「……そうね。ここで集まった人たちで殺し合いなんか、絶対に嫌よ」
 セイニィの言葉に、ティセラ、カヤノも頷く。
 
 状況は決して、平和を許さないのかもしれない。
 もしかしたら、この場にいる者たち同士が憎み合い、争い合う事態に追い込まれるのかもしれない。
 
『また来年、みんな揃って海に行こう――』

 口には出せない、けれど願ってやまないその言葉を胸に抱いて、十二星華と五精霊、そして海での一時を満喫した生徒たちは帰路につくのであった――。

担当マスターより

▼担当マスター

猫宮烈

▼マスターコメント

   も
      み
           た
                かった
                          なあ……
(砂浜に残されたメッセージ)

……のっけから何を言っているんだ、の猫宮・烈です。

まずは、『サマーシーバケーション』にご参加いただき、ありがとうございます。
700名超えという人数の中、一人でも多く登場させようとあれこれ手は尽くしましたが、カルーア・長谷川MSにも50名ほど手伝っていただいたにも関わらず、3分の1くらいでしょうか。
多数魅力的なアクションを送ってくださったのに、採用できず残念でなりませんっ(涙

あ、カルーア・長谷川MSにはお手伝いいただき、感謝です。
この場を借りてお礼申し上げます。

時間の殆どをリアクション執筆に費やした関係上、個別にコメントを発行する時間が取れなかったので、ここでいくつか答えておきたい&言っておきたいと思います。

・五精霊に絡むのはどんどんどうぞ。
 ただ、絡んだからといって有利になるということはありませんよ。

・ここで生まれた設定(特に十二星華絡みで。五精霊の方は、まあ自分以外使わないような気がするのでいいです)を、他のシナリオに安易に持ち込まないようにしましょう。
 特に『歌って踊れる魔法少女』は完全なノリです。どうしてこうなった……(ぉ
 
・ロリコンで有名な猫宮さんですが、ようじょじゃないからって採用しないなんてことはしませんよ。
 別に男同士の恋愛だって、おっぱいだって書けますが、まあ、それらはスペシャリストがいますし。

 そもそもそれらは副次的な要素であって、あくまで大切なのは、皆様が参加したくなるようなシナリオを書くことですからね……
 あれ、何の話でしたっけ。

まあ、このくらいにしておきたいと思います。

これから『蒼空のフロンティア』は第二シーズンに突入し、また新しい物語が展開されることになるでしょう。
これまで皆様と創り上げてきたものを大切にしつつ、新たに参加される方にも楽しんでいただけるシナリオを提供できるよう、今後とも努力したいと思いますので、お付き合い頂ければ幸いです。

それでは、次のシナリオでまたお会いいたしましょう。

(08/11追記)
名前間違いを修正しました。
ご指摘ありがとうございます&申し訳ございませんでした。