リアクション
* 石舞台に舞う白い狐…… しかしあれは、恐るべき九尾の狐の復活の舞。 すでに、石舞台の奥から、ちらつくその尻尾の数は、七つ、八つ、にまで増えている。 もう今にも、やつが…… さて、石舞台周辺の敵が、獅子小隊らによってあらかた掃討され(とは言え無数にいる彼らはどこからともなくまたわき出てくるのだが……)、白狐を狙える位置に着けた、ルース・メルヴィン(るーす・めるう゛ぃん)。 狙いを定めながらも、美人の女の子を探すことも忘れない(……狙撃の狙い、定まるのか)。 「しかし……あれ? これオレ目立たないですよね? もしかしなくてもモテナイですよね」 また、反対側には、光学迷彩でいい具合の位置まで移動した黒乃が、同じく狙撃のタイミングをはかっている。 「どうしたんだろ、ルースさんはきょろきょろして? 何かいるのか……?」 黒乃もあたりを警戒し、少し集中がそれている。 今、道満も我を忘れたかのごとく、国頭や騎凛と打ち合いを演じ、石舞台を徐々に離れつつある。 まさに好機。 しかし、踊りは今絶頂を迎え、石舞台に激しく舞う狐の姿は神話の具現か、美しい女性の姿と化している。それはとても神々しい姿で。 「お、俺には撃てませんよ……!」 レオンハルトの手からも、狙撃の合図である光精が解き放たれた。 「くっ、あれは狐だ、狐なんだ……! ……。 ……う、美しい」 「……」レオンハルトが、雷術の構えを見せた。「やむを得ん。術を放つには、些か距離が遠いが……」 「どうした? ルースさんは撃たないのか? じゃあ、ボクが……」 黒乃も、再び狙いに集中する。 9-04 再び、大乱戦 「待ったっ!」 そこへ飛んで入ってきた、新手。 「イルミンの黄金騎士参上ってね!」(光精の指輪でライトアップ!) 金色のマントを羽織って、登場したのは、イルミンの騎士、エル・ウィンド(える・うぃんど)! 「むぅ。あれは誰でしょうか。 私より目立って」 白銀の鎧に身を包んだユウ。 「って、ユウ、なにげにキャラがいつもと違ってますよ」 さてイルミンスールの、エル・ウィンドら一行の到着だ。 「白狐たん☆ やはりね、ボクの思ったとおりの、美女じゃないか! 待っててくれ、今そこへ行くから!」 ホワイト、ギルは、やっぱり……というふうに顔を見合わせるが、すぐ戦闘体勢に入る。 「白狐たん、キミと戦うつもりはないよっ。 っとお! あぶない!」 石舞台へ向かおうとするエルを、式神たちが取り囲む。 エルは、調子のいい台詞をはきつつも、現実的な頭で考える。 ……敵は霊か。なら、英霊・黄金の英雄王のヒロイックアサルトを借りるぞ。 「ギル、キミの力を借りるぜ! ホワイト、キミはいざというときの援護に回ってくれ!」 「おお、では私も久々に暴れさせてもらうとするぜ! くくっ、いいぞいいぞ死してなお生者に迷惑かけるとは、貴様らは存在する価値すらない。この黄金の英雄王ギルガメシュ・ウルク(ぎるがめしゅ・うるく)様の力によって無に還してくれる!」 「ええ、……(エル様。今日は狐たん萌えですか。。後でおしおきしましょう(ぼそっ))」 英雄王の闘技。 敵を打ち払いつつ、石舞台へ駆け上がる。 「はあはあ。白狐たんは別……霊相手には問答無用だけどね! っと、まだ来るか! ボクの手でせいぜい成仏させまくってあげるよ!」 狐相手にあんなに萌えて……調子がいいことです、と思いながらも、スウェーで敵をかわしつつ、囮をつとめエルのフォローに入るホワイト・カラー(ほわいと・からー)。 「敵はまだまだ多いです。皆様、ここは協力し合い、討ち果たしましょう」 ぽかんと見ていた教導団、道満ら、その声を合図に、再び各自戦闘に戻る。 * 「馬鹿者、突出し過ぎるな!! ええい、仕方ない、私も出る!!」 獅子小隊のお目付け役として指示を繰り出すバルバロッサ・タルタロス(ばるばろっさ・たるたろす)。 全身黒尽くめのフルプレートな装い。 一見怪しさ大爆発ながら、中身は小隊でも一番常識人なお嬢さんだという。 そんな機晶姫バルバロッサは、誰のパートナーかというと…… 「何っ! 前衛が足りておらぬだと!? 兄者は何を……」 兄者。とは……? どこかで、声が聴こえる。 「無駄無駄無駄ァ!!はいっ!はいっ!!はいっ!!!はいィ――ッ!!!チェストオオオオオオオ!!!」 どこかで聴いたことのある……聴いたばかりのような声が。 「温い、温い、温いィ!ルーヴェンドルフ家のッ!!執事たる者ォッ!!この程度の事ォ!余裕ッ!!ですなァッ!!」 「あー……いや、うむ、私がすまんかった、許せ」 バルバロッサ。セバスチャン氏のパートナーである。 兄者にはできるだけ近付かないようにしているのだ。 「もう一度巻き戻してみようか」レオンハルト。 石舞台へ駆けるエル。もちろん途中、式神に襲われている女性を見かけたらすかさず、 「おっと、危ない! 大丈夫か?」 今日二回目のナンパされるレジーヌ。 ざっ。「レジーヌが誰かにナンパされそうになったらそいつをシバく」ようプログラムされているエレーズ。 「い、いや、決してナンパじゃないよ?」 そこへぞろぞろと、更なる新手…… 石舞台にやってきたのは……(※第2章を思い出して頂きたい。) ぼろぼろの着ぐるみに、眼帯するものあり、包帯するものあり、傷つき捨てられた奈良のゆる族!! ぞろぞろ、ぞろぞろ…… 「どこの部族だ? これは着ぐるみ戦争じゃないんだぞ。シナリオを間違っていないか」 「敵か味方か……しかし、彼らの死んだような目を見よ」 しかし次の瞬間、そんな彼らの目が……怒りの炎を燃やして、がっと見開かれた。 「十年の恨み、はらさいでか!!」 「人間め、人間め……」 「皆死ねやぁぁぁ」 襲いかかってくる着ぐるみたち。 「おもしろい! 私はなかなか戦闘に出れないんで鬱憤がたまってるんだ。(マジギレ寸前!) 泣け、叫べ、そして消滅しろ!」 激しくぶつかり合う、ギルガメシュと奈良のゆる族。 「ぎゃはぁぁ!」 次々と血祭りにあがるゆる族。 「ああっ……この気分、実に快感だ……」 「これが私の奥の手です、くらいなさい!」 ホワイトも、轟雷閃をお見舞いする。 次々と感電するゆる族。 しかし、そこは奈良のゆる族、歴戦の武士(もののふ)。 ちょっとやそっとでへこたれはしない。 教導団も負けじと、新手のゆる族と矛を交える。 ここに、第二の着ぐるみ戦争勃発だ! エルは……その間にも石舞台へ達した。 「白狐た〜ん、いいこだからボクと遊ばない? 油揚げといなり寿司いっぱいあるんだよ〜☆」 白狐、「……」。 「ん?」 エルの周りでは、騎凛、久多、国頭までもが、息を上げてのびている。 「ほう。面白い。次はお前が相手か」 エルの目の前には、疲れを見せず微笑む道満…… 「は、ははは」 * 「騎凛先生。 ご無事でしょうか? こんなところでへたばっていては危険ですよ」 ユウだ。 騎凛をかかえ、華麗にデコキス(アリスキッス)。 「あっ…………」久多。 「あーーー!」カナリー。 「どうしましたか? これはアリスキッスですが……ぐぁ!!」 ユウを押し出し、騎凛に迫る、久多、カナリー。 「き、騎凛。俺も……」 「わっ。だ、だめ」 「えっそんな、だって、俺が【騎凛センセイの恋人候補】だぜ!!」 「そ、そんな称号わたしは聞いていません!」 「えっ」 「ちょっと! カナリーちゃんもだよっ。称号のことなら文句はマスターに行ってよね! じゃあキス頂きーーアリスキッス!」 「使用できません!! あっ。やめてくださいーー!!」 騎凛(鹿の着ぐるみ)は逃げ出した。 9-05 遅れてきたソルジャー 目前の光景。 人間と霊が入り乱れ、更には血みどろの着ぐるみたち。繰り広げられる大乱戦。 「ううむ、何と言う状況。 これはもはや……「王都物語」!! 誰か荒又先生呼んで来てー」 さて、遅れてきたソルジャー、昴 コウジの登場だ! 「現実逃避もしたくなりますが、目の前に迫る百鬼夜行は本物だ。 パラミタが引き起こした騒擾は、教導団員として捨て置けない。 昴家とて、遡れば本朝を守る皇軍の防人ですからね」 早速、銃を構え、にやりと微笑む。 「さあ、ライラ! ノリさん!」 「……ふむ。試し斬りに打ってつけの状況と判断します。 斬撃機動(スラッシュマニューバ)、試験起動」 ライラも乱戦に突入し、着ぐるみ相手に、木刀の試し切りだ。 更に。 遅れてきた昴の背後から、どっかりと現れた…… 「まあ久方ぶりの本朝じゃあ。 蘆屋道満たら俺でも名前知っとるがのう、陰陽術だのなんだの……この弓の前にゃ子供だましやで!」 昴の英霊、平 教経(たいらの・のりつね)。 従五位下能登守民部大輔。 通称「能登殿」。 壇ノ浦で戦没した平家の猛将……の筈だが、「どう見ても態度の悪いただのオッサン」である。 だが、その腕は確か。 「……あれ? 何やこの玩具みたいなのんは。 え? 引き辛い…あれ?」 ……の筈だったのだが。 …… ブランク……やと……!?」 「ノリさん。……八百年ぶりですからね」 「こ、こないな小っこい弓でこの俺様が! 九郎のアホよりも恥ずかしいやん! しゃあないのう、カンを取り戻すまでやったるわ。怨霊ごときに都をやらせる訳にゃあいかんしのう」 とりあえず、小弓で、近くのマラ兵から射ることから、ノリさん第二の戦歴は始まることになる。 「ていっていっ」 「マラ兵か。……いやん♪」 そして遅れてきた昴の、更に後ろに、ゆらめき現れる影。影。影。 「ふふふ。 皇甫氏! さあ出番だ、弾んで下さいよ! レッツゴー!!」 べんべんべんべん…… 小気味のよい音が、近付いて来る。 弓弦を鳴らして現れた、皇甫伽羅、皇甫嵩、うんちょうタン!!! べんべんべんべん うんちょうタンは情報撹乱のスキルで鳴弦の弓の音を増幅。 びびびび……霊力備わる迫真の弓弦の共振に、式神たちが動きを止める。 「何物にも屈せぬ強靭な心こそが、最強の武器にござる!」 うんちょうタンが、叫ぶ! そして、この共鳴に合わせるように、続々と近付いて来る行軍…… |
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