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結成、ガーディアンナイツ!

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結成、ガーディアンナイツ!

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「聞いていた情報だと入り口に見張りがいるはずだったが……いないな」
 商隊の先頭で馬を引く伊野神 矢霧(いのがみ・やきり)は特殊部隊で訓練を受けていたクセからか注意深く周囲を見回してそうつぶやく。
「悪い人がいないのはいいことですぅ」
 と、矢霧が引いている馬にちょこんと乗っているおっとりとした口調の女の子・メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)は矢霧のつぶやきを聞いてそう言った。
「あははっ、メイベルってホントのんびりさんだよね。緊張とかしたことないでしょ?」
 と、馬の横を歩きながらそう言うのはメイベルのパートナー、セシリア・ライト(せしりあ・らいと)
 黒い髪をポニーテールに纏めた彼女は元気な笑顔を浮かべている。
「え〜っ、そんなことありませんよぉ。緊張することはたくさんありますです」
「あらあら、それは以外ですわね。いつも暇があればどこでも歌を口ずさんでいるメイベルが緊張するなんてお姉さんビックリ」
 うふふっと笑みをこぼしながらそう言うのはフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)
 美しい金色の長い髪を靡かせている彼女もメイベルのパートナー。メイベルと同じようにどこかおっとりした印象を受ける女性だ。
 と、そうこうしている内にガーディアンナイツ一行は町の入り口へと到着した。
「ふむっ、やはり見張りがいない。おい、みんなどうする?」
 矢霧は再度周囲を注意深く確認して見張りがいないことを確認すると、仲間達に聞いた。
 そして他のメンバーも周囲に怪しい気配がないことを確認すると、ガーディアンナイツたちはすぐに行動を開始。
 事前の打ち合わせで決めていた人質救出班は人質の救出へ。罠などを仕掛けるトラップ班はトラップの設置に動き出す。
 人質救出に向かうひとりエヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)は色々と荷物などが入った馬車の中から一際大きな木箱をドラゴンアーツのスキルを使っておろす。
「さて、ここからが本番だ。頼むぞ、ロートラウト」
 そしてエヴァルトはなぜか木箱に向かってそう話かける。
 すると大きな木箱のフタが開き、中に入っていた頭部だけが少女型の機晶姫――エヴァルトのパートナー、ロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)が顔を覗かせる。
「うん、ボクにまかせてよ!」
「……やれやれ、ようやくついたか」
 と、今度はその馬車の奥の方からエヴァルトのもうひとりのパートナー、ドラゴンニュートのデーゲンハルト・スペイデル(でーげんはると・すぺいでる)がのっそりと現れた。
「まったく、我は荷物ではないのだぞエヴァルト」
「そう言うな、デーゲンハルト。人数が多すぎるのも怪しいしな。何人かは馬車の中に隠れてもらわなきゃいけなかったんだ」
「うむっ、事情は理解している。ただ我は文句を言いたかっただけなのだよ。それくらい乗り心地が最低だったのでな」
「なに言ってるんだよデーゲンハルトくん。ボクなんか木箱の中だよ? もっと最低だよ」
「むむっ……そうであった。これはすまぬロートラウト殿」
 ぺこり、と頭を下げるデーゲンハルト。その横で人質救出に向かう風間光太郎も用意を進めていた。
 光太郎は酒の入ったケースを担ぎ上げる。
「よし、拙者はこの酒で敵を油断させるでござるよ」
「よぉ、そこの少年たち。もしよかったら俺と一緒に屋敷までいかないか?」
 と、エヴァルトと光太郎にそう声をかけるのはエンリル。
 エンリルも人質を救出に向かう。彼の提案で彼ら三人は商人を装って屋敷に近づいていくことになった。
 エンリルはこの町には詳しい方なので、屋敷まで二人を案内して歩き始めた。
「屋敷までのルートは私が知っている。人質救出に向かうものは私に続け」
 そう言うのは青年から町について詳しい話しを聞いていたアルフレート。相棒のテオディスに背中を任せ、身を潜めつつ素早く移動していく。
 そのアルフレートに従って、他の人質救出メンバーも屋敷に向かって行った。
「さて、じゃあ俺たちも仕事をやりますか」
 人質救出に向かったメンバーを見送った静麻はそうつぶやくとトラップ設置のために用意してきたものなどを馬車から降ろす。
「静麻。ちょっといいですか?」
 と、レイナが静麻を呼んだ。
「んっ、どうしたレイナ」
「いえ、水性塗料を使った噴水トラップを仕掛けるというのは聞いていたのですが……このハリセンやタライは何に使う気なのですか?」
「……うん、まあ、それもトラップだ」
「コレはあまり効果がなさそうですな」
 そういうのはタライの強度を確かめているクリュティ。
「でもこれでバシーンって叩いたら面白そうだよね!」
 そう言ってハリセンを振り回すのは魅音。
「――はいはい、じゃあ皆トラップを設置しにいくぞ」
 静麻はそんな皆たちの言葉を聞いてか聞かずか、いそいそと罠を仕掛けに向かった。
 そんな静麻たちより先に罠を仕掛け始めていたのは安芸宮 和輝(あきみや・かずき)とそのパートナー、クレア・シルフィアミッド(くれあ・しるふぃあみっど)
 即席の馬防柵を作り、それを設置していく。
「これをたくさん作って設置して、罠のある場所まで敵を誘導しましょうシルフィー」
 温和な瞳をした美少年・和輝はパートナーにそう呼びかける。
「ええ、そうですわね安芸宮さん。トドメの罠の設置には時間がかかりそうですから、こちらの作業は早めに終わらせましょう」
 金色の長い髪をしたシルフィアミッドは額の汗を拭ってそんな和輝に応えた。
「ふふふっ、我もトラップを仕掛けるとするか!」
 と、何やら凶悪な笑みを浮かべるのは毒島。
「なんだかずいぶんと危険なものばかり集めましたね」
 ツァンダで集めた材料を運び出しているプリムローズが中身を見ながらそうつぶやく。
「ふっ、当然だ。やはりトラップに引っかかった相手を一撃で仕留めるにはこれくらいのものが必要なのだよ」
 毒島はそう言いながら爆薬や刃物を取り出して唇の両端を吊り上げる。
「おらっ、これで全部だ」
 と、たくさんの荷物を運んできたジギタリスは毒島の前にそれをどかんっと置いた。
「うむっ、ご苦労」
「あっ、罠を仕掛けている皆さん。もしよろしければ私たちの集めた材料も使ってくださいね」
「仲間内で遠慮はいらんぞ。そうそう、後コイツは暇になったから敵が来るまで好きなようにこき使っていいぞ」
「なっ、なに! 休憩はナシなのか!?」
 毒島に指差されたジギタリスは目を丸くする。
「あのぉ〜っ、すいません。ではこちらのお手伝いをしてもらっていいですかぁ?」
 と、そんなジギタリスにさっそく声をかけるのはメイベル。
「ほらっ、行ってこい」
 と毒島に背中を押され、ジギタリスは罠を仕掛けるメイベルとセシリア、フィリッパのお手伝いへと渋々向かった。
 その他に罠を設置する真人、名も無き白き詩篇は通りにバイクなどの乗り手が引っかかる高さにワイヤーを張り、建物の屋根の上に登って待ち伏せる。
「いいですか白、まずは俺が買ってきたこの大量の小麦粉を上から撒いて敵の視界を奪って相手の視界を奪います。その後は足を止めた蛮族たちが密集しているところにヘアスプレーなどを投げ込んで、着火させてください」
「了解じゃ真人」
 矢霧は入り口付近にガラス片や釘など尖ったものを配置。バイクなどをパンクさせようと狙う。
 罠を仕掛けるメンバー達より後ろの位置にはミスターカメレオン一味を迎え撃つメンバーが待機。
 空き家を見つけてそこに身を隠すのは牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)とそのパートナーシーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)ランゴバルト・レーム(らんごばると・れーむ)ナコト・オールドワン(なこと・おーるどわん)
「皆さん、外が騒がしくなった私たちは参りましょう。人々から朝を奪った者に夜を突きつけに――」
 とても綺麗な黒髪が印象的なアルコリアは、はかなげな赤い瞳に静かな強さを宿してパートナーたちにそう言った。
 そして酒場の屋根の上――そこで仁王立ちする赤いマフラーを風に靡かせる人物はパラミタ刑事シャンバランこと神代 正義(かみしろ・まさよし)
「来るなら来い、悪の怪人ミスターカメレオン……!」
 正義はそうつぶやくと眉根を寄せた。ちなみに彼は特撮オタクだ。
 と、そんな正義の後ろにもう一組の影。
 それは霧雨 透乃(きりさめ・とうの)とそのパートナー緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)のコンビである。
「ふふーんっ、ミスターカメレオンなんて私の敵じゃないもんね!」
 そう言うのは赤い髪をポニーテールでまとめた童顔の透乃。
 緑の瞳はこれから起こる悪党退治という熱いシチュエーションに燃えていた。
「……あっ、あのーっ、お二人さん。つかぬ事をお聞きしますがなんで屋根の上に登る必要があるんでしょうか?」
 少し俯きながら控え目にそう聞くのは陽子。手には空飛ぶ箒を手にしている。
「フっ――」
 と、正義が白い歯を覗かせる。
 そして陽子の方を振り向くとこう言い放った。
「ヒーローとはそういうモノだからだッ!」
 そして陽子の契約者はというと――
「面白いからに決まってるじゃない!」
 と、言うことらしい。
 そんな彼らの他にミスターカメレオンと戦うものは商隊の馬車の中に身を潜めたり、物陰に隠れたりして時を待つ。
 作戦を開始したガーディアンナイツたちの状況をカサブランカの騎士団の舞とブリジットは無線で仲間たちに連絡する。
「んふふっ、これはチャンスね♪」
 ヴェルチェは皆がそれぞれの行動をしている間にこっそりとガーディアンナイツたちの中から抜け出して、お宝探しを始めた。
 そしてそんな者たちの中でひとり酒場の中へと入っていくのは銀髪の男、レン・オズワルド(れん・おずわるど)
 スウィングドアを押し開けて中に入ると、レンはカウンターに腰を下ろした。
「ウィスキーを頼む」
 酒場のオヤジはレンの注文を聞くと無言でグラスを取った。
 そしてレンの前にグラスを置くと並々と酒を注ぐ。
「……誰だか知らんが悪いことは言わん。これを飲んだらさっさとこの町を去るんだな」 と、オヤジがふいに口を開いた。
 レンはウィスキーの入ったグラスを手にとって、中身を一気に飲み干すとオヤジに向かって言った。
「この町の人たちをココに集められないか?」
「……フン、町の奴らを集めて何をする気だ」
「ミスターカメレオンと戦うんだ」
 レンのあまりに突然の言葉にオヤジは目を丸くする。
 だがすぐに無気力な目つきに戻るとオヤジは簡単に町の状況をレンに説明した。
「――わかったか。俺たちが束になって集まったってどうしょうもないんだよ」
「俺は……俺たちはこの街の人々を救いに来た」
 と、レンはオヤジに自分たちガーディアンナイツのことを話して聞かせる。
 だがオヤジはレンの話を鼻で笑い飛ばす。
「そいつは余計なお世話ってもんだ。どうせ奴らに返り討ちにされてお終いさ。それによそ者たちの寄せ集めがこの町の為に命をかけられるわけはない。さっさと帰りな」
「……なら、この町の為に命をかけて本当に戦うべきなのは誰なんだ?」
 レンはそういいながら、空になったグラスをオヤジに向かって差し出した。