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第二章 ガディアス追跡、そして拷問(嘘は吐いてない)

 砦の二階の廊下を走りながら、風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)とそのパートナー、諸葛亮 孔明(しょかつりょう・こうめい)が不安に顔を曇らせていた。
「僕らが情報をばら撒いたおかげで侵入は上手くいったらしいけど……」
「ええ。皆さんに内部構造やらをお知らせする機会を逃してしまいましたね……」
 砦の襲撃に際して情報を外部に漏らしたのは彼らである。
 鏖殺寺院からの連絡要員と偽って事前に砦へと潜り込み、内部情報を探っていたのだ。さらに、襲撃の偽情報を流すことにより、侵入を容易にし、敵を油断させることにも成功した。
そこまでは良かった。
 良かったのだが、その襲撃の最中、テロリストにスパイであることを感づかれ、今まで誤魔化すのに時間が掛かってしまった。おかげで、侵入時にメンバー全員へ内部情報を提供することができないという事態に陥ってしまった。
「こうなったら、ガディアスを追っている人たちに協力して、捕まえるのが得策だと私は思いますが」
「わかりました。ではその人たちを探すとしましょう。諸葛亮」
 そう言うと、優斗は銃型HCを取り出し、内部情報を確認しだした。
 ガディアスがいる確立が高いのは、最上階である地上五階。
「まぁ、むやみに探すのも時間がもったいないので、とりあえずガディアスのいそうな場所へと向かってみましょう。途中でガディアスを追っかけている人に合ったら協力してもらう。それでいきましょう」
「はい。特に異議はないので優斗殿の指示に従いますよ」
 頷きあうと、階段を目指す。
「はいは〜い。話は聞かせてもらいましたよ〜!」
 テロリストの拠点での行動中には不釣合いな、底なしに明るい声が響いた。
 優斗と公明が声のしたほうを向くと、階段の横手の通路で、両手を振ってこっちこっちと存在アピールをしている少女、霧雨 透乃(きりさめ・とうの)がいた。
「えっと、ガディアスを追ってるんだよね? 私たちも行く行く〜」
「は、はぁ、私、たち?」
 一人しかいなかったのにも関わらず、複数形になっていたことに疑問を投げかける優斗。
「ああ、今他の人たちも来るから」
 その言葉の通り、数秒後に複数の足音が聞こえ始めた。
 透乃のパートナー、霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)、そして大岡 永谷(おおおか・とと)がその姿を明らかにする。
「と、透乃ちゃん、いきなり走っちゃだめだぜ」
「そ、そうですよ……敵はどこにいるか分からないんですから……」
「いや、いきなり全力疾走だからびっくりしたぜ……」
 肩で息をしながら苦言を呈する泰宏、陽子、永谷。
「はは、ごめんごめん。でも協力してくれる味方が増えたよ〜」
 対する透乃はマイペースな態度を崩さない。敵の拠点だというのにも関わらず、緊張感や不安、恐怖など微塵も感じていないかのように。
 いつの間にか、優斗と公明もそんな彼女の不思議超時空に飲み込まれていた。
「あ、あの……えと、とりあえず、ガディアスを……」
「ん、ああ。ごめんごめん。そうだったね。それじゃみんな行こ」
「と、その前に――霧雨」
「私のことか」
「そう、弟の方。今回の襲撃作戦はクイーン・ヴァンガード隊員のいい実戦演習になると思ってるんです。もし良かったらガディアス捕縛については僕が指示を出していいですか?」
 優斗の提案に、少しの間硬く唇を閉じて黙考するようなそぶりを見せる泰宏。
「……わかった。内部情報を手に入れるほどの実力だからな。おまえの指示に従おう。ただし、私は透乃ちゃんを守ることに徹するが、いいか?」
「結構です。それを前提とした上で指示を飛ばします」
 互いに握手を交わす優斗と泰宏。
「さて、行きましょう」
 こうして、六人は走り出した。


 アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)は侵入の後、武器庫を目指してすぐに走り出し、それらしき部屋を見つけた。
 武器庫を無力化するチャンスだと考え、天井を崩すことにした。中の兵器を手当たり次第に破壊してもよかったのだが、火気に反応するものがあったら大変なことになると踏んだからだ。
 しかし、轟雷閃を放って破壊した天井の瓦礫が頭部に当たり、そのまま気絶。そこへテロリストが現れ、拷問部屋に拉致されたのが十五分前。
 部屋に入れられてすぐ、無線の呼び出しでテロリストは去った。拘束も何とか解いてドアの外に出たが、どうすればいい――
「おい。そこの女、止まれ」
 突然、背後から声が聞こえた。
「っ!!」
 振り返り、アリアは武器を構えた。
 そこには、幼い子供を抱えて人質にしているレアル・アランダスター(れある・あらんだすたー)がいた。
「ドアの近くで張ってた甲斐があったぜ。……おっと、抵抗したらこのガキを殺すぜ? 嫌ならおとなしく俺のところに来い。お前をバルジュ兄弟へ取り入るための手土産にしてやる」
「おねーちゃんたすけて!」
 剣を構えたまま、どうすることも出来ずにただ立ち尽くすアリア。
「おら、どーすんだよ!?」
 強い口調での催促に、アリアは武器を捨てて返答した。
「わかったわ。だからその子は離してあげて!」
「よしよし。聞き分けのいいヤツは好きだぜ。来い」
 武器を捨ててレアルのところへ向かう。
 アリアの身体が近づいたとき、子供が抱きついてきた。
「えっ……」
 子供は素早くアリアは首筋に唇を押し当てる。
 吸精幻夜。相手の血を吸って精神を幻惑するスキルだ。
「あっ……そんなっ」
「ふふっ、馬鹿な女だな」
 目眩を感じてその場に崩れ落ちるアリア。そこには、ちぎのたくらみを解除して、子供から元の姿に戻りつつある、ティム・プレンティス(てぃむ・ぷれんてぃす)がいた。
「さて、手土産も手に入ったし、どうする?」
「まぁ、そんなに焦ることもねぇだろ……。しばらくはこの女の体で遊ぼうぜ!」


 部屋に戻されたアリアは、ロープで拘束されたまま椅子に座らされている。
「よし。んじゃ早速剥いちまうか」
 当然のことのように言うと、アリアの制服に手をかけ、乱暴にシャツを破いた。
「きゃああああああああっ! やめてえええええぇぇっ!」
 ブラに包まれた胸が外気に晒される。
 着痩せするアリアだが、直に見るとかなり膨らんだバストである。メロンというほどではないが、片手で掴んでもはみ出してしまうほどの大きさはある。
「ヒャッハー! やっぱいい乳だな。どれどれ……」
 腕を伸ばすと、無遠慮に揉みしだいた。
 指の間に食い込むほどの肉感と、その指を押し返そうとする瑞々しい弾力が、レアルの興奮をさらに高めていく。
「あっ! くぅ! い、痛い! 痛いのぉ……」
 快楽だけを求めるレアルの動きに、苦痛を示すアリア。だが、レアルは指の力を抜くことはしない。
「すげぇ……すげぇぜ。この女……」
「ふふっ……ハラショー、って感じですか、レアル? 母乳を吸っちゃえばいいんじゃないですか? パワーアップしますよ」
「ばーか。俺はどこぞの元素使いじゃねぇっつーの! ……さて、次は下のほうを楽しませてもらうとするかな」
 言うや否や、レアルはアリアのスカートを一気に引き下げた。
「いやあああっ! 見ないで! 見ないでっ!」
内股になり、大事なところを隠そうとするが、下着が丸見えである以上無駄な抵抗だった。
「おい! この女、少し漏らしてねぇか?」
「ふふ、ホントですね……。まぁこんな目に遭えば仕方の無いことだと思いますが……」
「けどよぉ……ガマンはよくねぇよな……くっくっく……」
 レアルは、近くにあった棚からプラスチック製の棒を取り出す。
「さすが拷問室。マッサージ器なんてもの、やっぱりあると思ったぜ」
「な、なに……するの……?」
 震える声で訊ねるアリアを無視して、レアルはその棒を股へと押しやった。
 激しい振動が、アリアの敏感な部分を虐める。
「ひっ……ああああああっ!!」
 まるで電流のような痺れが頭頂からつま先まで駆け巡った。
「ほら、シーシーしちまいな!」
「あっ、あっ、くっ、ふ、や、いやぁ……!」
「ちっ、強情だな……ティム、リラックスさせてやれよ」
「オッケー」
 彼女の背後にしゃがみ込むと、ティムは両手をアリアの双丘へと埋めた。ブラの硬質さと胸部の脂肪のやわらかさという、ミスマッチながらも心地よい感触に、ティムは歓喜した。
「レアルの言う通りですね。すごく……気持ちいい」
「そ、そんな、胸、やっ……はうっ、あっ、ひゃっ……」
 少しずつではあるが、拒絶の声音に快感が混ざってきた。
 ティムはレアルに比べて小柄である。力も小さい。だがそれ故に、力任せに乱暴に揉むレアルよりも、ティムのほうが快感を与えることができるのかもしれない。俗に言う“テクニシャン”なのだろうか。
「あっ、や、やめっ、そ、そんな、ふあっ!」
 顎を大きく反らしながら、アリアは口をだらしなくあんぐりと開ける。
 口端から涎が垂れてきており、意識はどんどん霞んでいく。
「ほらほら! 足ガクガクいってんぞ! そろそろ出しちまえ!」
 レアルはアリアの足を持ち上げると、横に大きく開いた。
「あっ、そ、そんなことしちゃ――あっ、くぅっ!」
 堕ちかけた意識を持ち直したその時、アリアは、自分の股間から耐久の喪失感を感じた。
 強張りが無くなったトンネルの奥で、腎臓からの亡命者が殺到しかけている。
「つ、うううううっ……」
 何とか下唇を噛んで、“それ”を我慢することに成功した。
 ――が、
「ちっ……強情だな……」
「なら、こんなものも使ってみましょう」
 二人は新しいアイテムを取り出すと、再びアリアに近づいた。どうやらまだこの恥辱は続くらしい。
「やっ、やめてえええええ! もう許してえええええぇぇぇっ!!」


 新しいプレイに満足すると、レアルとティムは部屋を出て行く。
 結局、ギリギリのところでアリアは耐え抜いた。二人の卑劣漢に屈さなかったのだ。
 何度も何度も辱めは続いたが、行為に時間が掛かった結果、テロリストに渡すタイミングを逃してしまった二人は諦めて逃げた。
 残されたのは、白い液体に身体を汚された、アリア。


 白くて、べっとりとした――


 白くて、べっとりとした――


 ――練乳。

 比喩ではない。アリアの身体は、果実にかけて食べる、コンデンスミルクにまみれていた。どうやら続きとは、こういうプレイだったようだ。
 服に付着したそれを指で掬い、嘗める。
「甘い……。けど汚いよぉ……。もうやだっ! 帰るっ!」
 いつの間にか拘束が解けていた。
 部屋の隅で“我慢”を解いた後、今度こそアリアは逃亡に成功した。