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「封神計画」封神台の材料を確保せよ

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「封神計画」封神台の材料を確保せよ

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第2章 暗闇に潜む者

「招石と熔鉱水を集めにいった人たちを追い越したから、もうすぐ悪魔がいる領域かな」
 綺人はヒールで体力を回復し、禁猟区を発動せて警戒する。
「どこから仕掛けてくるか分かりませんからね・・・」
 襲撃に備えてクリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)はクレセントアックスを握る。
「ヒールを使っておけ、葛葉・・・」
 ティータイムのお茶を飲みながら天 黒龍(てぃえん・へいろん)は悪魔に気づかれないように、紫煙 葛葉(しえん・くずは)に体力を回復しておくよう小声で言う。
「(回復した)」
 と、メモ帳に書き黒龍に見せる。
「近くに何かいるよ、今まで感じたことがない気配・・・もしかして悪魔かもしれない」
 危険な存在が近くにいると綺人が禁猟区で探知する。
「そのまさかみたいです、アヤ・・・」
「ハラ、ヘッタ。エモノダ・・・エモノノニオイガスル・・・ドコ・・・・・・ドコ」
 ブラックコートで気配を殺している葛葉たちを、悪魔がブツブツと呟きながら探す。
 悪魔の身体は不気味な紫色で体長は1mもない。
 褐色の鋭い目で得物を探し求める。
「(まずい・・・暗闇の中で見つかったら不利だよ!)」
 綺人はコートの両端を掴み、休憩地点へ足早に進む。
 カツンッ。
「しまった足音を・・・」
 小石があることに気づかず蹴ってしまった黒龍は足音を立ててしまう。
「イタ・・・」
「エモノ・・・エモノ」
「2人は先に行って、ここは僕たちが何とかするよ」
「くっ・・・すまないっ」
 黒龍と葛葉は瘴気のないエリアへと急ぐ。
「イッピキモ・・・ニガサナイ、オマエラ、コンバンノメシ」
 悪魔はベロリと舌舐めずりをし、ナックルをはめた拳で則天去私をくわそうとする。
 邪悪な者に似つかわしくない、光を纏った拳で殴りかかる。
 ゴンッドスドスッドゴスッ。
「ぅくっ!」
 クリスを守り妖刀村雨丸で防ぐものの、悪魔が繰り出す拳の一撃が重く、体勢を崩しそうになる。
「―・・・なっ!?」
 冷気を纏わせた刃で斬り伏せようとするが、後の先で綺人は行動を読まれてしまい、心頭滅却で耐えた悪魔はニタリと不気味に笑う。
「ウヒャヒャヒャッ!」
 妖刀の刃を掴み、綺人の脇腹を殴り飛ばす。
 土の上へ身体を叩きつけられ転がる。
「よくもアヤをっ」
 クリスが放つ破邪の刃の刃も、軽身功の体術で軽々と避けられてしまう。
「ウマソウ、コムスメ。マズ、オマエ・・・、クウ!」
 壁へ駆け上がった悪魔がクリスに反撃する。
「―・・・うっ、クリスには・・・手を出させないっ!てやぁああーっ!!」
 綺人は大切な恋人を守ろうと痛みを堪えて地面から立ち上がり、チェインスマイトの連撃で頭部を両腕を断裂させる。
 ブシュァアッ。
 断面からどす黒い血が噴出し頭から被る。
「はぁ・・・何とかやっつけたね。怪我はない?クリス」
「えぇ大丈夫です」
「黒龍さんたちが待ってる休憩できるエリアへ行こう」
 綺人とクリスは2人が待つエリアへ走る。
「ここが休憩場かな?瘴気がないみたい、空気が澄んでる・・・」
「お待たせしました。悪魔はアヤが倒しましたから、明珀石を少し休憩したら探しましょう。はい、アヤ」
 地面に座るとクリスは綺人にショコラティエのチョコをあげようと、ポーチを開けて取り出す。
「ありがとうクリス」
 綺人は彼女からチョコを分けてもらい食べる。
「ルフナさんが封神台とか姚天君たちについて、色々知っているのが気になりますが・・・」
「というと?」
 クリスの言葉に綺人が眉を潜める。
「彼女たちと敵対している・・・もしくは十天君という存在と、対になる存在だったりするのでしょうか?」
「うーん・・・そうだね、敵対しているからこそ封神台のことを教えてくれたのかもしれないし。彼女たちの見方だったら、それを餌に一網打尽なんて危険なことしないと思うけど」
「へたしたら自分が封神されるかもしれないからな・・・」
 横から黒龍が口を挟む。
「そうですよね・・・」
「―・・・もう十分休息をとった。明珀石を探しに行くとしよう・・・」
 休憩エリアを出て黒龍たちは明珀石を探し始める。
「悪魔に見つかってしまうかもしれないから、少し明かりを小さくするよ」
 見つけやすいよう綺人は足元を照らす程度に、光術の明かりを調節する。
「アヤ、あの辺に誰かいるのでしょうか?」
「いないみたいだよ」
 クリスに言われ見てみるが誰もいなかった。
「てっきりライトか、何かの明かりかと・・・」
「ねぇ、明珀石って暗いところで光るんだよね?これじゃないかな・・・」
 綺人が琥珀色に光る岩に手を触れ、クリスたちの方へ顔を向ける。
「キレイですね・・・」
 クリスは幻想的な雰囲気に思わず辺りをキョロキョロと見回す。
「この岩の中に明珀石があるんでしょうか」
「きっとそうだよ。いくつかあるから手分けして、つるはしで採掘しよう」
 コツンコツンと岩を削り、明珀石を取り出す。
「葛葉、私たちはこっちを・・・」
 黒龍は葛葉を呼び、綺人とクリスから少し離れた場所で採掘する。
「(取れたぞ)」
 メモ帳に書いた言葉と、岩から削り取ったやつを黒龍に見せる。
「ふむ・・・、手に持ちきれないだろうから、私のブラックコートの上に置いておけ・・・」
 40分後、採掘を終えた黒龍は自分と仲間が採掘したのを纏めてコートに包む。
「(全然、包みきれていないようだ)」
 葛葉がメモ帳に書いた言葉を見せ、いざという時のために持ってきた避難用袋に入れる。
「近くに敵がいるみたいだ、この距離じゃ逃げる前に見つかってしまう」
 発動させておいた禁猟区が反応し、綺人は妖刀を鞘から抜く。
「ケケケッ、ミツケタ・・・」
 ティータイムのお茶を飲み、採掘場から出ようとしたところ、悪魔に見つかってしまった。
「くっ・・・また悪魔か、葛葉。光条兵器を・・・。これを持っていろ、絶対に落とすな・・・」
 葛葉から光条兵器を受け取り、明珀石を包んだコートを手渡す。
「お前の相手は私だ・・・」
 パートナーを狙おうとする悪魔の拳を光条兵器でガードする。
「アッチノホウガ、ウマソウ。オマエ、ドケ」
「何・・・私が不味いとでも言いたいのか・・・!?」
「マズイ、イヤダ。オイシイホウガイイ。ドケ、オマエ、ジャマ」
「なっ・・・何だと!」
 断言された葛葉はムッとした顔をし、腹部を蹴り光条兵器で頭部を殴りつける。
「何匹かこっちに近づいてきてる!ここから早く出ようっ」
 綺人は悪魔の片腕を斬り落とし逃げるように言う。
「―・・・わ、私のどこが不味いと・・・」
 ショックを受けながらも、黒龍は葛葉に手を引かれ洞窟の外へ走る。



「ここを通れば、もうすぐ休憩出来るエリアだな・・・」
 グレン・アディール(ぐれん・あでぃーる)はパートナたちと共に、月雫鉱を探しに来ている。
「―・・・。(ナタクのやつ、一言も喋らないな・・・)」
 無言で歩く李 ナタ(り・なた)の方を見る。
「(大丈夫でしょうか・・・。いえ、平気なはずないですよね。好きになってしまった相手が、永遠の地獄に送られてしまうかもしれないなんて思うと余計・・・)」
 何かを考えるよう自分たちに顔を見せないナタクを見て、ソニア・アディール(そにあ・あでぃーる)は心配そうな顔をする。
「―・・・何だ?」
 2人の視線に気づいたナタクが振り返る。
「いや・・・・・・敵がいないか、そっちを見ていただけだ」
「そう・・・そうですよ!」
「んー、ならいいけど」
 慌ててそれらしい言葉を言うグレンとソニアに、腑に落ちない顔をしながらもナタクは進んでいる方に向き直る。
「ここが瘴気のないエリアのようだ」
 グレンたちは空気が澄んでいるエリアへたどり着いた。
「うむ、ここで体力の回復をした方が良いだろう」
 休もうとラス・サング(らす・さんぐ)は地面に座り込む。
「(封神台を作れば十天君を封じ込めることが出来る・・・ということはやっぱり董天君も。チッ・・・厄介なのを好きになっちまったな・・・)」
 みすみす惚れた相手だけは地獄に送りたくないとナタクは心の中で葛藤する。
「(姚天君とやらの悪評は聞いてはおるが、たしか董天君も十天君なのだな。なっちゃんが惚れた相手・・・複雑だ・・・)」
 顔を俯かせる彼を見て、ラスは目閉じてどうしたらいいものかと考え込む。
「十分休憩したことだし先に進もうぜ」
 ナタクは誰よりも最初に立ち上がり、先へ行こうと言い出す。
「いいのか?」
「へっ、何が?」
 グレンの問いかけるような言葉に首を傾げる。
「進まなきゃ材料を取りに行けねぇじゃん」
「それはそうだが・・・」
「さっさと行こうぜ!」
 先に行こうとするナタクを見て、グレンは無理をしているのではと複雑な気分になる。
「うーむ、なかなか見つからないものだ」
 ラスは光術の明かりを頼りに探す。
「どのような場所にあるのだったか?」
「岩の中にあるみたいです。薄い象牙色の石ですね」
「ふむ・・・となると、これだろうか?」
 光術の明かりで岩場を照らし、月のようにわずかに輝きのある鉱石を見つける。
「それです!」
 つるはしで丁寧に岩を削り、ソニアは月雫鉱だと確認する。
「取ったやつをこの袋の中に入れておくれ」
 グレンはソニアとラスに採掘を頼む。
「なかなか難しいですね・・・」
 手元をラスに照らしてもらいながらソニアは岩場を慎重に砕く。
「あっちの岩場にもあようだな、我輩は向こうを担当しよう」
「ん・・・何かこっちに来るみたいだぜ」
 ソニアとラスが採掘を開始した数十分後、ディテクトエビルでナタクが邪悪な存在の気配を探知する。
「メシ、クワレロ!」
 ナタクたちを見つけた悪魔が、サンダーブラストの雷力で調理しようと狙う。
「コゾウ、ヨクヤキ。オンナ、マルカジリ」
「こいつ・・・俺たちを食う気なのか!」
 アルティマ・トゥーレの冷気を試作型星槍に纏わせ、悪魔の頭部を貫こうとする。
 ケタケタと笑いながらナタクの顔面に向かって火術を放つ。
「どわぁっ!?」
 間髪避けるものの片袖に火がついてしまい慌てて手で叩き消す。
「さあ、私の歌でしばらくお休みなさい・・・」
 採掘を終えたソニアが子守歌を歌い、悪魔を眠らせようとする。
「オレ、ネムク・・・ナイ!」
「あぁっ、ラスさんの方へ何匹か行ってしまいました!」
 ラスが採掘している場所へ悪魔が数匹走っていく。
 魔法を放とうとする敵に向かって、グレンが星輝銃で狙い撃つ。
「ソレ・・・、マズイッ」
 怒り狂った悪魔がグレンにブリザードを放ち反撃する。
「うぐっ!」
 猛吹雪に吹き飛ばされそうになりながらも、なんとか踏み止まる。
「テメェら・・・今、俺は少し機嫌が悪い・・・覚悟しな!」
 苛立ちを爆発させたナタクが悪魔の身体を串刺しにし槍の餌食にする。
「この辺りは全部取れたな、他の者も来るかもしれない。ここから出るとしよう」
 月雫鉱を入れた袋の口を紐で結び、ラスはよっこらせと背負う。
「ラスさん今、SPを回復してあげます」
 光術をずっと使っていたラスのSPを、ソニアがSPリチャージで回復させる。
「我輩たちの邪魔をするでないわ!ラス・フラァァッシュ!」
 ラスは目晦ましをくらわそうと光術を放つ。
「マブシィッ」
「今のうちにいったん、外へ出るぞ・・・」
 グレンたちは悪魔が追ってくる前に出ようと洞窟内を走る。