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「封神計画」邪なる魂たち

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「封神計画」邪なる魂たち

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第1章 建築現場へ急行

 自分たちを倒そうとする者がいるのではと、十天君・董天君が封神台を作っているか探し歩く。
 パラミタ内海が見えるイルミンスールの森付近に、建設している生徒たちの姿を見つけ、これはまずいことになったと十天君・姚天君に知らせる。
 一方、そのことをまったく知らない彼女の方はというと、魔力を集め終わるまでハンモックの上に転がり、のんびりとくつろいでいる。
「おい姚天君、あいつらが封神台を建設してやがるぞ!焔のガキと鈍器の小娘どもがいるぜ」
「なんですって!?」
 驚いた姚天君はハンモックから飛び降りる。
「閉じ込められたらティセラ様のたまに働けなくなっちゃうじゃない。そんなのいやぁあっ!それにデコの傀儡のミルザムが女王になっちゃうかもしれないじゃない!」
 封神台に閉じ込められてしまったら、もうティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)のために何もできなくなってしまうと騒ぎ立てる。
「あんなやつにティセラ様が負けるとは思わないけど。そうね・・・念のために、封神台が完成する前にぶっ壊してやるわ。それに材料を奪っちゃえば完成出来ないでしょうしっ」
 姚天君はウロウロと歩き回り、どうやって阻止してやろうか考え込む。
「まだ孤島で無事だったゴースト兵がいはずよね。まずそいつらにやらせるわ」
「お前がよく知ってるやつも見たぞ」
「知ってるやつ?誰よ・・・もしかしてジューレ?だったら捕獲しにいこうかしらぁ♪」
「何のんきなこといってんだ、そいつじゃない。ルフナ・ロードとケレスだ。それとお前をヘルドとかいうやつの仇として狙っている2人組みの小娘と、びびりのガキたちだな。黒髪のメガネの女がいたみたいだからモルモットもいるかもしれないぜ」
「乱暴者四人集の長男と冥府の案内人がいるのよ!ていうか孤島にいたあいつら・・・私の邪魔をするだけじゃ飽き足らず、この私を葬ろうとしてるわけ!?」
「建築場所を地図に書いてやったぜ」
 メモに書いた地図を姚天君に手渡す。
「ここね・・・お前たちあいつらを痛めつけてやりなさいっ。あと、材料を見つけたら私たちのところへ、ちゃーんと持ってくるのよ」
 董天君から聞いた建築現場がある方向を指差し、ゴースト兵に命令して向かわせた。

2Day

-AM7:00-

「朝ですよーっ。皆、起きてくださいー!」
 柳尾 なぎこ(やなお・なぎこ)がフライパンにお玉をガンガンッとぶつける。
 目覚まし変わりに起こそうとしているのだ。
「うーん・・・ふぁ〜おはよう」
 一番初めに遠野 歌菜(とおの・かな)が目を覚ました。
 その後に仲間たちが次々と起きだす。
「あれ、まだカガチさん寝ているですか?」
 まだぐっすりと眠っている東條 カガチ(とうじょう・かがち)を肩を揺すって起こそうとする。
「起きませんね・・・」
「では吹雪で起こしてみましょうか。寒さで目を覚ますかもしれません」
 緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)がカガチに向かってブリザードを放つ。
 ビュォオオオッ。
 猛吹雪で彼の身体がゴロゴロと地面を転がる。
「―・・・へっくし!―・・・ぐぅー・・・ぐぅー・・・」
「起きませんね・・・」
「こうなったら秘技、屍の目覚ましで起こしましょう」
 なぎこからフライパンとお玉を渡してもらい、エヴァ・ボイナ・フィサリス(えば・ぼいなふぃさりす)はカガチの耳元でガンガンガンッとぶつけて鳴らす。
「んぎゃあぁあ!?」
 その凄まじい音にようやく目を覚ます。
「うー・・・おはよう」
「起きたようだな、そろそろ出発しようか。(凄い音だな・・・)」
 椎名 真(しいな・まこと)がカガチに片手を差し出して起こしてやる。
「荷物はこれで全部だね」
 昨日の夕方に切り分けたクマ肉と調理道具を纏め、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)も出発の準備を終える。
「ここを出たら悪魔だとかがいるから気をつけろよ」
 そう言うと原田 左之助(はらだ・さのすけ)は先に休憩エリアを出る。
「休憩エリアを出た途端、急に息苦しくなったな・・・」
 洞窟内に漂う瘴気を吸い込み、左之助は呼吸を小さくする。
「少しずつ体力を奪われていく感じがしますね」
 エヴァはじわじわと瘴気に蝕まれていく感覚に眉を潜める。
「こっちへ何か近づいてきます。この気配は恐らく悪魔でしょう」
 ディテクトエビルで邪悪な気配を察知した遙遠が、仲間に警戒するように言う。
「カガチさんの傍にいます!」
 何かを呼び寄せやすい彼の方へ振り向く。
「コッチ・・・マズイ・・・・・・、ヤク・・・ザイリョウ」
 ギロリとカガチを睨み、得物を焼く燃料にしてやろうと近づく。
「ぐぅっ、2度も同じようなこと言うなんて!しかも今度は燃料か!?」
「カガチさんは左肩を怪我しているんですから無理しないでください」
 向かっていこうとする彼を止める。
「ニゲルイケナイッ、ネンリョウ・・・!」
 地面を殴りつけ遠当てで吹っ飛ばそうとする。
「仕方ないですねっ」
 遙遠は地獄の天使、漆黒の影の翼で飛び、カガチの背中の服を掴み間髪避ける。
「マテェエッ。ネンリョウ、ト・・・、クイモノォッ」
 燃料と得物に逃げられてしまった悪魔の悔しげな声が洞窟内に響き渡る。



「それじゃあ私たちは先に封神台の方へ行ってますね佐々木さん」
「料理の材料が足りないから森で探してからそっちへ行くよ」
 洞窟を出た弥十郎は歌菜たちと別れ山菜類を探す。
「シビレタケか・・・毒キノコだから食べられないね。これなら食べられそうかな」
 ハルシメジを見つけてカゴに入れる。
「栄養配分を考えて、野菜もちゃんと食べないと・・・」
 鍋に入れるための材料のワラビと山芋も土から引き抜く。
「かなり沢山採れたかな。お腹が空いていたら力が出ないからね」
 カゴの中を覗き込んで採った野菜を確認する。
「そろそろ皆のところに行って昼食の準備をしなきゃ」
 食材を入れたカゴを背負い、建設現場へと向かう。