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節分に鬼っ娘退治!?

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節分に鬼っ娘退治!?

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「ふぅ〜ん。あの無駄乳さんが牛のナラカ人に憑かれて文字どおり牛女になった……と」

レイナ・ミルトリア(れいな・みるとりあ)が、牛頭に乗っ取られた美緒を見やり、赤い瞳を細めた。名のとおりの漆黒の鎌、サイズ・オブ・ノワールの蒼白い刃先を、白い指先がすっと撫でる。

「以前から目障りだった泉 美緒の あの無駄な脂肪を狩り取ってあげます。愉しいスイカ狩りのハジマリハジマリ……」

くっくっと喉を鳴らすように嗤う。
 エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)が、

「やれやれ……輝夜さんの訓練にと来てみれば、なんだか妙なことになってますな」

緋王 輝夜(ひおう・かぐや)がエッツェルの顔をちらりと見やって言った。

「レイナが何か悪そうな顔をしてる」
「……まあ、胸を刈り取っても回復魔法でなんとでもなりそうですし、レイナさんの邪魔をする方々の露払いでしますかね」

エッツェルが考え込むように言って、頷く。

「……え!?本当に協力するの!?
「通常訓練よりは実戦のほうが……な」
「……訓練代わりになるだろう……て、ちょ! 本気? ……ま、いいや。やるからには全力でいくよ!」

 ゲドー・ジャドウ(げどー・じゃどう)は遺跡内の訓練生に、嫌がらせのアンデッドを放とうとやって来ていた。そのとき爆音を聞きつけ、なにか面白いことがあるかもしれない、とこっそりと現場にやって来たのだった。

「福豆でアウトなのにパワー勝負とかダメすぎるだろう。牛頭鬼ちゃんはおツムが弱いのね〜。ここでひとつ恩を売っておけばナラカ人との繋がりもできるかもしれないなぁ〜〜……ひゃひゃひゃ」

おもむろに牛頭の後ろへ回り込み、屍龍を召還した。

「行け我が龍よ!! 牛頭に敵対するものを焼きつくせぇぇぇ! これで鬼も福もぜぇぇんぶ俺様のもんだ!!だ〜ひゃっはっは!! 俺様以外、みんな不幸になぁ〜れ!!」

 命令を受けた屍龍が地獄の底からわきあがるような、呻きにも似た咆哮をあげ、そのときちょうど牛頭と対峙していたフォリスに向かって紅蓮の炎を浴びせかけた。

「くっ! 何だ?! 新手か?」

龍鱗化と盾の効果で炎熱耐性があるとはいえ、牛頭の剣戟とあいまって、しのぐのでやっとだ。
たまたまそばにいた茅野 菫(ちの・すみれ)が、さっと取り出したのものは柊鰯だった。強い棘のある葉を持った柊の枝に、焼いた鰯の頭を刺した、古式ゆかしい節分の魔除けである。通常小枝で作るものだが、菫の柊鰯はロングソードほどの長さがある。

「福豆が効くなら、これもいいと思うんだよね〜」

菫が剣さながらに柊の枝を振り回し、次の炎を浴びせようと、体制を整えている屍龍の鼻面に叩きつけた。1度、2度。

「グオォォォ〜〜〜!!!」

屍龍がたまらず怯み、後退した。咽るように吹き出した炎が狙いをそれてゲドーを直撃する。その直後、召還が解けて姿を消した。

「うぁちちち!!!! ぎゃあああああああ!!!!」

大ダメージを食ったゲドーに、ミーナがすっと駆け寄って、回復魔法を使う。

「あの、ええと、これで致命傷にはならないと思いますうっ!」
「ぎゃぁぁぁ〜〜!! ……ううう」

ゲドーが踏み潰されたかえるのような呻きを上げた。中途半端に癒された火傷は、猛烈に痛いのだった。

「おー、効果あるじゃん!」

柊鰯の剣の効果に、菫がにんまりした。