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シャンバラ鑑定団

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シャンバラ鑑定団

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「さて、いよいよ最後のお宝となりました。エントリーナンバー19番、イルミンスールからお越しの月詠 司(つくよみ・つかさ)さんと、月夜夢 篝里(つくよみ・かがり)さんです。どうぞー」
 シャレード・ムーンに呼ばれて、月詠司と月夜夢篝里がステージに現れた。
「それでは、お宝をお願いいたします」
「はい、見ていただきたいのは、妖刀です」
 日堂真宵が持ってきたワゴンの上に現れた一振りの大刀をさして、月詠司が言った。
「はたして、この刀にはいったいどんなエピソードが隠されているのでしょうか」
 シャレード・ムーンの言葉と共に、解説VTRが流れ始めた。
 
 この刀、銘を妖刀金鋼夜遮という。妖刀緋天謳舞と対になるとされている刀で、依頼者の先祖の一人、世音という人物の物であったという。
 この刀には、その世音なる人物の魂が込められていて、依頼者たちと会話できたり、あるときはその身体を乗っ取ったりしたりすると言うのだが、はたして真相はどうだろうか。
 この言い伝えのため、持ち主が突然謎の行動をとることがあり、それのため妖刀と呼ばれることになってしまったらしい。妖刀緋天謳舞の方が、その刃紋による催眠効果で持ち主を殺人衝動に駆りたてる正真正銘の妖刀であると言われているだけに、こちらも妖刀ということになったというのだが、いかんせん、この刀、依頼者以外抜けないというので、こちらの刃紋にもそのような作用があるのか確かめようがない。
 本来は、妖刀金鋼夜遮の方には守護の力としての魔力が宿っているらしいのだが。
 さあ、はたして真相は明らかになるのか?
 
「そうなんだ。妖刀と間違われちゃうなんてかわいそうだよね」
「それはそうだが……。うーん、確かに妖刀はかわいそうだ」
 ルカルカ・ルーに言われて、ダリル・ガイザックは一瞬考え込んだもののそう答えた。
「本当に持ち主を変えちゃう刀なら、狐樹廊に持たせてみたいよね」
 そうすれば、もうちょっと扱いやすい性格になるんじゃないかと、リカイン・フェルマータがヴィゼント・ショートホーンに問いかけた。
「ですが、抜けないんじゃ使いようがありませんぜ、お嬢」
 根本的な問題を、ヴィゼント・ショートホーンが指摘する。
 
「ううむ、何ともとてつもないいわくつきの刀のようであるな。むっ、確かに、抜けぬ……」
 織田信長が、妖刀金鋼夜遮を鞘から抜こうとしてついに諦めた。まるで錆びついてでもいるかのように、びくともしない。
「試し切りで、刀のよさは一目瞭然なのだが、さすがに抜けないのでは確かめようがないな」
 残念そうな織田信長が言うが、いったい何を斬るつもりであったのだろう。
「そうですねぇ。できれば、ワタシも刀身を見てみたいのですがぁ」
 佐々木弥十郎が、月詠司の方を見て言った。
「いや、さすがにここで身体を乗っ取られるわけには……」
 それはまずいと、月詠司がやんわりと断る。
「分解するという方法もあるが、そこまでしている時間はないか」
 刀の構造を熟知している紫月唯斗が言った。
「構わなければ、わらわがやってみてもいいが? だが、鞘から抜けないのではな……」
 代わりに、エクス・シュペルティアが申し出る。意外と、刀の分解は簡単である。ただし、柄や鍔、刀身などをバラバラにするのであって、鞘から抜けないのでは刀身はそのままになってしまうだろうからあまり意味がない。
「分解もちょっと……」
 やんわりと断りながら、月詠司が月夜夢篝里の方をチラリと見て確認した。
「大丈夫。分解なんかさせないわよ。安心して」
 ささやくように、月夜夢篝里がつぶやく。
「うーん、鞘に入ったままでこのバランスですから、抜き身だと、きっとステキな感触ですわ」
 織田信長に替わって妖刀金鋼夜遮を手に持った伊吹藤乃が言った。どうやら、彼女にも抜くことはできなかったようだ。
「それに、この鞘も、すばらしい逸品ですわ」
 刀身を隠し続けている鞘をうっとりと見つめて、伊吹藤乃が言った。鞘から抜けないというのが一種の封印か何かであるのならば、この鞘自体も特別な逸品に違いない。
「俺としては、魔術的な意味で、この鞘の方に興味があるな」
 刀本体を調べられないのでは仕方ないと、イーオン・アルカヌムが鞘に興味を示した。
 
「ほらほら、キャロ、なんだか凄い刀が最後に出てきたのだよ」
 龍滅鬼廉が、ぐっすりと寝てしまっていたキャロ・スウェットをゆり起こした。
「えーっ、どこどこどこ。ねえ、どのくらい凄いの? このくらあい?」
 半分寝ぼけているキャロ・スウェットが、ちっちゃな両手を大きく広げて龍滅鬼廉に訊ねた。
「ええっと……」
 この複雑ないわれの刀をどう説明したものかと、思わず龍滅鬼廉が口籠もる。
「うん、そのくらい凄いらしいのだよ」
「へー、でも、廉お姉ちゃんのようとーの方が、これのこれのこれくらい凄いよね」
 さらに大きく手を広げるジェスチャーをしながら、キャロ・スウェットが言った。
 
「さて、そろそろよろしいでしょうか。では、いくらぐらいになるとお思いでしょうか?」
「そうですね。1000ゴルダとしておきます。それでいいかな?」
「うーん、いいんじゃないの」
 どのみち、月詠司にとっては、鑑定結果など二の次だと知っている月夜夢篝里が、あっけらかんと答えた。
「それでは、オープン・ザ・プライス!」
 20000!!
「おおっと、今大会最後に、かなり高額の評価が出ました。織田先生、結局この刀のどの辺が高評価だったのでしょうか」
「もちろん、その背景であるな。お宝という物には、歴史がある。そのへん、この妖刀は申し分ないというところだ」
「ありがとうございました。依頼者のお二人も、ありがとうございました」
「あっ、ちょっと待ってください。もしこの番組を見ている人で、妖刀緋天謳舞の行方を知っている方は、御連絡ください。お願いします」
 番組を締めようとするシャレード・ムーンをあわてて押し止めて、月詠司が観客や視聴者に訴えた。
「そうだな。せっかく組みになっているのであれば、二本揃ったところを見たいものだ」
 イーオン・アルカヌムがうなずく。
「では、もし刀が揃ったなら、また御参加くださいね。以上、出張鑑定団でした。では、またお会いしましょう」

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 
 えー、かなり波瀾万丈となった出張鑑定団です。
 明らかにナレーションと思われる部分は、脳内であの方の声に変換して読むと臨場感が増します。
 
 作中で色々と価格が出てきますが、ほとんど飾りのようなものですら、雰囲気としてお楽しみください。
 一部、アイテム解説のために出品された物がありますが、さすがに調べても分からないというものが多かったので、この程度の描写で勘弁してやってください。いろいろと書けるものと書けない物がありますのでということで、察してね。
 
 ユニークアイテムは、かなり面白かったです。ただ、ユニークすぎて、なんでこの設定が通っているんだという物もいくつかありました。
 個人的な心情としては、面白いからこの設定どんどん使っちゃえって感じなんですが、やはりゲームルールとの照らし合わせという物がありますので、今のところユニークアイテムが通っているからといって、その説明が無条件でシナリオで通用するとは思わない方が無難です。
 できる限りは通したいのですが、やはりグローバルでは引っかかる物が多々あります。
 このへんは、休日シナリオやラジオシナリオで、他のキャラと絡まない場面設定をした上で、自称上等的な小劇場などで、世界に知られていない隠れた事実的に使うといいかとは思います。まあ、それでも、まずそうな場合は、幻想的なイメージシーンで処理するとか、昔語りなど劇中劇にしてしまうとか、実は逃げ道はいくらでもあったりします。
 ただやはり、俺様ルールは俺様ワールドでこそ光り輝く物なので、他の世界やキャラと絡んだ瞬間に石になってしまいます。このへんは注意が必要です。
 
 ちなみに、石は、他の世界やキャラと触れ合うことで磨かれて、とんでもない宝石になることがあります。アクションがうまく思い浮かばなかったり、平凡な物の場合は、あえて火中に投げ込むのも一つの方法です。でも、こんがり焼けました〜か、コゲコゲになるかは運次第です。