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リアクション
チャーター便が飛行船と空賊船へと近付いていく。
接舷した途端、舞香は忍術で姿を隠し、空賊船へと飛び乗った。
(空賊なんて船が無きゃ何にも出来ないんだから、二度と悪さできないように全部壊してあげる!)
そう思いながら、各所に爆薬を仕込んでいく。
「おい、そこで何をしている!?」
仕込むのに夢中で、隠れるのを忘れていた舞香は、声を掛けられ、驚いた。
立ち上がって振り返ると、空賊の男が1人、こちらへと向かっている。
「片っ端から叩きのめすのみ!」
声を上げ、舞香はバトントワリングのバトンの形をした光条兵器を呼び出す。
「くっ!」
男も咄嗟に短剣を抜いた。
「百合園女学院バトン・チアリーディング部『Sky Angels』が、空の天使の天罰を下してあげる!」
バトン型の光条兵器をくるくると回しながら、そう告げ終わると、男の手元を強く打つ。
短剣を落としそうになるところを強く握って、バトンを持つ舞香の手を斬りつけようとする男に、彼女はバトンをくるりと回し返した。
男にとっては予想外の位置からバトンが迫り、手元を打たれて、短剣を落としてしまう。
「たあ!」
舞香が、首へとバトンを強く打ちつけられた男は呆気なく、倒れた。
SOSを頼りに、つぐむたちが辿り着いたのは、空賊船に襲われる飛行船であった。
少し上空を飛びすぎたため、空賊船たちは、つぐむたちより下方にある。
「奇襲には丁度いい」
つぐむが、そう短く告げて、『スカイユニット アエロー』を操縦し、空賊船に向かって、急降下し始めた。
「つぐむちゃん!?」
後方で、驚く真珠の声が聞こえるけれど、彼は止まらない。
急降下して近付きながら、『スカイユニット アエロー』の翼下に取り付けたミサイルポッドと、構えたブライトマシンガンで、空賊船の船尾へと攻撃を仕掛けた。
その後方で、ガランの六連ミサイルポッドからミサイルが発射され、更なるダメージを空賊船へと与える。
急な奇襲に、飛行船へ向かおうとしていた空賊たちの幾人かは、小型艇に乗って、船尾の方――つぐむたちの相手をしに出てきた。
ミゼの射程が短いと思い込んだのか、ある空賊は彼女の乗る小型飛空艇オイレから長めの距離を取って、攻撃を仕掛けてくる。
「ワタシのことを見誤ったようですね」
そう告げながら微笑む彼女の周りで闇がうごめいた。闇は刃の形を取り、空賊へと向かうと深く深く突き刺さる。
そして、闇は空賊を包み込んで、頭痛に吐き気、不安を彼へともたらした。
つぐむの援護をしたガランは、空になったミサイルポッドをパージする。
「うわっ!?」
落ちていくミサイルポッドが偶然、空賊の乗る小型艇へと当たって、その機体が揺らいだ。
「よくもやってくれたな!」
声を上げ、空賊がガランと同じ高さまで上がってくる。そして、彼の傍に、真珠の姿を見つけると、そちらを狙って、銃を構えた。
「彼女に攻撃はさせない」
放たれた銃弾をガランが腕で弾く。
「つぐむちゃんの奇襲にはビックリしたよ……」
ぽつと呟きながら、真珠は戦女神の威光を光の刃に変えて、空賊へと放った。
ミサイルポッドが当たった分、ダメージを喰らっていた空賊の飛空艇はその一撃で、調子が狂い、落ちていく。
「やったよ、つぐむちゃん、褒めて褒めて」
その様子を見送って、真珠はつぐむへと声を掛けた。
強化光翼を駆使することで、パートナーたちより一足早く、空賊船へと辿り着いたシルフィスティは甲板へと降り立つ。
「なんだぁ?」
1人で乗り込んできた彼女を見つけた、空賊の1人が長剣を手にしながら歩み寄ってきた。
「1人だなんて油断しない方が身のためよ」
そう口にしたシルフィスティは、ミラージュで幻影を作り出し、何度か左右を入れ替わることで、どちらが彼女か分からなくさせた。
「くっ!」
どちらに狙いを定めていいのか分からなくなり、戸惑う空賊に、腕時計型の加速装置へと触れ、一時的に体内時間を引き延ばした彼女は、超能力による破壊エネルギーを撃ち出した。
速さについて行けない空賊の身をエネルギーの刃が切り裂く。
一方、リカインとアストライトはそれぞれの小型飛空艇を駆り、空賊船へと急いでいた。
近付くと、それを見つけた空賊たちが小型艇で出てくる。
リカインは全身から、神ですらおののく声を発し、彼らに痛みを与えていく。アストライトは彼らの構える銃などを狙って、ラスターブーメランを投げつけた。
けれども、それくらいで道を開けてくれるようなヤツらではない。
空賊たちは構えた銃の引鉄を引き、リカインたちの足である小型飛空艇を狙って発砲してきた。
それを交わしたリカインは、空賊たちの乗る小型艇の動力部を狙って、強力な突き技を繰り出す。
「くそっ!」
避けきれず、動力部をやられた1機の小型艇が落ち始めた。間一髪のところで、乗っていた空賊は仲間の艇に移ったようだ。
「……はっきり言って時間がないのよ。空賊が船と心中するのは構わないけど、あの手配書を見る限りそれじゃ済まないことになっちゃうもの」
ぽつ、と呟きながら、リカインはアストライトと共に空賊たちの小型艇を狙って、攻撃を繰り返した。
最初のうちは、落とされる艇から仲間の艇へと飛び移っていた彼らだが、次第に小型艇の数は少なくなり、操縦すら危うくなっていた。
その脇をすり抜けて、リカインたちは母艦へと向かう。
「見つけたぞ!」
空賊船へと近付いて、甲板にシルフィスティの姿を見つけたアストライトが声を上げた。
「一刻も早くフィス姉さんをやめさせなきゃ」
呟くリカインに、彼も頷く。
「援護は任せたぜ」
それまで彼女の援護をしていたアストライトは、彼女にそう告げると、甲板に向かっていく。
「ったくよ、何が楽しくて空賊より身内相手にこのスキルを使わなきゃなんねーんだよ……」
空賊たちを炎熱の中へと閉じ込めようとしていたシルフィスティに向かったアストライトは、本来であれば、不審者や犯罪者を捕らえるための技術を駆使して、彼女を止めにかかった。
「なっ!?」
「大人しくしろっての」
発動させようとしていた技が封じられシルフィスティは驚いた声を上げる。そんな彼女を捕らえながら、アストライトは声を掛けた。
シルフィスティを止めることが出来た様子に、リカインはほっと胸を撫で下ろしながらも、彼女の周りの空賊が隙を突いて攻撃を仕掛けてこないように咆哮を上げ、おののかせる。
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