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とりかえばや男の娘 二回

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とりかえばや男の娘 二回

リアクション

 見上げると、巨乳でマッチョな金髪美女が二人を見下ろしている。
「なんですか? あなたは?」
 尋ねるささらに女は答えた。
「ファーック ユーーーー」
 そして、マシンガンをぶっ放してくる。
 竜胆をかばいながら、とっさに地に伏せるささら。

「HAHAHAHAHA!」

 ゼニガタは笑いながら叫んだ。

「そのレディは、ミリア・エレファント・レオウルフでーす。異国のアマゾネスでーす。葦原に迷い込んだものの、言葉が通じない事に切れて、マシンガンをぶっ放し、店一軒を潰した罪でしょっぴかれたのでーす!」
「サ・ノ・バ・ビーッチ!」
 ミリアは叫びながら手当たり次第にマシンガンをぶっ放す。

「Σちょっと目を離した隙に大変な事に!」
 水鏡 和葉(みかがみ・かずは)は思わず叫んだ。
「ただでさえ、冤罪で死罪なんて、冗談じゃないのにっ!」
 その言葉に神楽坂 緋翠(かぐらざか・ひすい)がため息まじりにうなずいた。
「……本当に、こちらのお家騒動は厄介ですね(溜息)子供であろうと容赦無く陰謀に落とす。こんなやり方を通すわけにはいきませんね」
「向こうが非合法で手を打ってくるなら、こっちも相手にならないとね!」
 和葉が言う。
「ええ。共に、救出に向かいましょう」
「うん。でも、相手はマシンガンを持ってるよ。二人一緒に標的されないように、緋翠は迷彩塗装で姿を隠してよ。ボクが囮になって的になるから、緋翠は姿を隠して援護して」
「それはいい考えですね」
 緋翠は頷くと迷彩塗装で姿を隠した。
「それでは、後の連絡はテレパシーでお願いします」
「うん」
 頷くと、和葉はミリアに向かっていった。
 ミリアは相変わらず手当り次第にマシンガンをぶっ放している。その正面にはささらと竜胆が弾に当たらないよううずくまっている。和葉は竜胆に向かってテレパシーを送った。
『竜胆君、竜胆君』
 突然聞こえて来た声に、竜胆は驚いて顔を上げかける。
『そのままで聞いて。ボクは和葉だよ。
『和葉さん?』
 竜胆は心の中で答える。すると、和葉の返事が聞こえて来た。
『そうだよ。今から助けに行くから……もう少しだけ気をしっかりと持って、待っててね!』
 それから、和葉はミリアに向かって叫んだ。
「お嬢さん!」
 その声にミリアが振り返る。
「What?」
「危ないから、そんな物を撃ちまくるのはやめなよ」
「What?」
 再びミリアが答える。
「できれば、平和的に解決したいな」
「Whaーーーーーt?」
 言葉の分からないミリアはついに切れて叫んだ。
「サ・ノ・バ・ビーッチ!」
 そして、和葉に向かってマシンガンを撃とうとする。和葉は歴戦の立ち回りで弾を避けながらミリアに近づこうとした。しかし、どれだけ素早く動いても、マシンガンの弾のスピードに追いつけるはずもなく、的となって他の仲間達から狙いを逸らすのが精一杯だった。
 その時、和葉の頭に緋翠の声が響いて来た。
『和葉、今、アマゾネスの側に来ました。今から、こちらで攻撃の目くらましをします。その後は任せましたよ』
『分かった! 後はまかせて!』
 和葉が答えると同時に、緋翠は光術を展開。どこからともなくほとばしる目映い光に、アマゾネスは一瞬目を伏せた。その隙を見逃さず、和葉は素早くミリアに近づくと、歴戦の必殺術とともに、朱の飛沫を展開! 炎がほとばしり、ミリアに向かっていく。
「Shit!!!!!!」
 ミリアは熱さのあまりマシンガンから手を放した。和葉はそれを素早く拾い上げ、ミリアの喉に突きつける。そして、笑顔で言った。
「品が無いよ、お嬢さん?上手な銃の使い方、教えてあげようか?」
 
 こうして、アマゾネスを捕らえた和葉と緋翠は竜胆に駆け寄った。
「お怪我はありませんか、若君」
 緋翠は竜胆の体を確認した。手の甲から血が滲んでいるのが見える。
「…あぁ、少し擦り剥いていますね」
 緋翠は言うと、
「しばしじっとしていてください」
 と、竜胆にヒールをかけた。

 こうして、残る敵は、ゼニガタ・ケイジ一人になった。

「本当に残る気なの?」
 ラブ・リトル(らぶ・りとる)は、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)に尋ねた。
「残る」
 コアはうなずいた。そして、言った。
「リンドウの無実を承知しているからの牢破りとはいえ、罪である事は重々承知。流石に誰かが捕まって責を受けねば牢破りを許した牢番は叱責は免れまい」
「だからって、何もあなたが残らなくても……」
 ラブがすねたように言う。
「大丈夫だ。リンドウが無事に脱出できたなら、必ずや刹那を捕らえ己の無実を証明すると信じている。だから私は無実を証明したリンドウが迎えに来るのををこの場で待つとしよう」
「……もう!」
 ラブは膨れっ面をした。
「分かったわよ」
 それから、しゅんとしたように竜胆達のところに向かっていく。

 コアは【隠形の術】でゼニガタに近づいて行った。彼はゼニガタを害するつもりは無く、ただラブ達が竜胆を連れて脱出するまでの時間を稼ぐだけのつもりだった。だから、まだひたすらゼニガタの側で息を潜め続けている。

 ゼニガタはロープを振り回しながらひたすら竜胆達を捕まえる隙を狙っていた。
 その竜胆をカレンデゥラがお姫様抱っこして立ち上がる。セルマと和葉が、その前に立ち、ささらが煙幕を用意していた。

「さあ、逃げるわよ」
 ラブが竜胆の肩に乗って叫ぶ。
 ささらはうなずくと、煙幕を投げた。辺りに煙が立ちこめ、その間に一同は走り出す。

「待つデース!」

 ゼニガタは煙幕の中をかいくぐって竜胆達を追った。ゼニガタの手からロープが放たれる。

 ズガ……!

 コアが【勇心剣】でロープを切り裂いた。

「オー! 誰でーす!?」

 叫ぶゼニガタの前に、コアが【隠形の術】を解いて姿を現す。
「竜胆達には近寄らせん!」
 コアはそう言って、刀を構える。
 そのコアに向かって、ゼニガタは銭を投げて来た。コアは【勇心剣】で銭をなぎ払っていく。

「彼は?」
 ゼニガタと戦うコアを見て竜胆が叫んだ。
すると、ラブが答える。
「竜胆が脱出できるように足止めしてるのよ」
「足止め? まさか、ここに一人で残る気じゃ……」
「……え? そうよ。ハーティオンの奴ココに残るんだって。誰かが牢破りの責任をとらなきゃならないって……ホント頭固いんだから、あのバカ」
「そんな……あの人だけをここに残すわけにはいきません」
「ちょっと、竜胆! そんな事を気に病まないでよね? とりあえず、あんたが刹那をとっ捕まえて無罪を証明すれば牢破りだってチャラなんだから!(←チャラか?)
 皆、あんたの事好きで助けに来てるんだからあんたは全力で無罪を証明して恩返しするのが男ってもんよ! あたし女だからよく判んないけど!」
「そうだよ、竜胆」
 ハヤテが言う。
「とりあえず、今は刹那を捕まえる事を考えようぜ」
「刹那を捕まえる?」
「そうさ。俺たち、これから六角屋敷に向かうんだ。そこに、刹那が隠れてるらしいんだけど、あんたの笛の力でしか、奴を捕まえる事はできないんだって」
「分かりました……」
 竜胆はハヤテの言葉にうなずいた。
「……皆さん。ありがとうございます。私はきっと刹那を捕らえて無実を証明し、コアさんを助け出します」
「んじゃ、ともかく六角道元の忍者屋敷に突撃よ!」
 ラブが叫んだ。