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リアクション
■□■3■□■ 餅つき大会と、日本の伝統
さて、「空京万博餅つき大会」では。
酒杜 陽一(さかもり・よういち)の招待で、
ジークリンデ・ウェルザング(じーくりんで・うぇるざんぐ)と
高根沢 理子(たかねざわ・りこ)がやってきていた。
ジークリンデの護衛は、ルカルカがここまで担当して引き継いでいる。
「呼んでくれてありがとう、酒杜先生!」
明るく笑う理子を見て、陽一は、胸がいっぱいになった。
「こちらこそ、ありがとうございます。
今日はたくさん食べていってくださいね」
「わーい、やったあ!」
普通の餅はもちろん、さまざまな和菓子など、もち米を使った料理も用意されている。
酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)は、
理子たちの様子を陰から眺めながらつぶやく。
「理子と会うのも久しぶりだし、
ここはひとつ挨拶代わりに私が密かに開発していた
【一人ジャーマンスープレックスホールド】を披露してビビらせてやろうかしら!
……と思ったけど、
久々にジークリンデと会ってる事だし、今回のところは見逃してあげるわ。
親友との束の間の蜜月をせいぜい楽しむことね……っ」
くくく、と、妖艶な顔に、腹黒い笑みを浮かべる。
「……なに薄笑い浮かべてブツブツ言ってるんだおまえ。運営業務手伝えよ」
「へ〜い」
陽一に言われて、美由子は仕事に戻って行った。
アシュレイ・ビジョルド(あしゅれい・びじょるど)も、
尊敬する酒杜先生の手伝いとして参加し、
獣人力士を大勢連れて、米俵を運ばせるなどの裏方を担当していた。
そこに、理子とジークリンデがやってくる。
「理子様、ジークリンデ様!
お越しいただきまして光栄です!」
緊張して挨拶するアシュレイに、理子とジークリンデは、気さくに接する。
「そんな堅苦しくしなくたって。同じ蒼空学園出身でしょ?」
アシュレイの制服を見て、理子が言う。
今は空大生だが、アシュレイは蒼空学園の制服を大切にしているのだ。
「理子様!
私は蒼空学園を卒業しても、
ずっと、ずっと、理子様達の学友です!」
感無量となって、アシュレイが言う。
「私も今はただのフリーターのジークリンデです。
お手伝いできることがありましたら、おっしゃってくださいね」
ジークリンデも、餅つきを手伝い始めた。
その様子を、元・蒼空学園教師である陽一が、
ほほえましく見守る。
「うーん、おいしーっ!
ほらほら、ジークリンデもアシュレイも食べて見なさいよ!」
好物のみたらし団子を食べて、理子はとても幸せそうにしている。
ジークリンデも、ひさしぶりの理子との再会を楽しみ、
アシュレイや、ほかの参加客といっしょに談笑する。
「酒杜先生ーっ!」
「り、理子様っ」
「もう、リコったら」
団子の串を振り回しながら、手を振る理子を、
アシュレイとジークリンデがたしなめる。
理子の曇りのない笑顔を見て、
イベントを開催してよかったと、心から思う陽一だった。
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