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リアクション
ドクターハデス研究室
「……」
高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)はその看板を力任せに剥ぎとり、別のものへと変えた。
「――、何ですか兄さん! このプレートは! 皆さんで使うんですから、変な名前にしないで下さい!」
訂正・パラミタ研究開発室
「以上がフィーニクスの説明になるけど、なにか質問はあるかい?」
エルメリッヒが新設の研究室で、フィーニクスの基礎説明をした。
「フィーニクスの耐久度はどれくらいだ?」
湊川 亮一(みなとがわ・りょういち)の質問。
「変形のために接合と関節が多い。その分耐久性は低いよ。空軍機としての速度追求のために、軽量化もされているし。君の案のフライユニットを抱えるのは難しい。もう一機新しいバーデュナミスを制作するには時間がなさすぎる」
「だが、装甲が弱いわけではない。実にダイヤモンドのような硬さの軽量素材を俺が開発したのだからな!」
高笑いするキョウマ。エルメリッヒは冷静に突っ込む。
「それは嘘だろう? ダイヤモンドは脆性じゃないか」
「それよりも、ドールズに有効な攻撃手段を模索すきじゃないんですか? 鹵獲した機体からなにか情報はないんですか?」
アルバート・ハウゼン(あるばーと・はうぜん)が尋ねる。
「君たちが捕まえたドールズに関してはまだ調査し始めたばかりだけど、ちょっとこれを見てくれ」
エルメリッヒはディスプレイを展開し、一つの写真を皆に見せた。
「ドールズコックピット内部の写真だよ――」
そこには、白骨の死体が映っていた。すでに死後何年もたった死体が鎮座していた。
「これ、どういう事ですの? ドールズは死体が動かしていたってこと?」
ソフィア・グロリア(そふぃあ・ぐろりあ)が驚く。しかし、死体が機体を操れるはずもない。
「可能性としてはリモートコントロールだ。こっちもまだ、データを解析している途中だが、あの黒い靄の正体。極小のナノマシンだと判明した。おそらく、このナノマシンがドールズを動かす鍵だ」
キョウマが研究者らしく補足説明を入れる。
「なるほど、ではこのナノマシンをどうにかしてしまえば、いいのだな?」
ハデスがポーズを取る。
「そうとも。ナノマシンの完全破壊するような兵器を作れば、我々の勝利と言うわけだ!」
キョウマもポーズを取る。
「馬鹿がなんかやってる……」
咲耶は深いため息を吐いた。
「紅茶を淹れましたので、皆さん、休憩をいれませんか?」
ヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)がよたよたと、カップをお盆に載せて運ぶ。
「ハムサンドも用意しましたわ」
と、高嶋 梓(たかしま・あずさ)。死体の写真を見ている所に絶妙なタイミングだ。
「――ッはわわっ!」
ヘスティアが躓く。熱い紅茶を天才科学者(自称)めがけてぶちまけた。
「それで、フィーニクスの開発はどうするのだ? 今はまだ専用のサポートアンドロイドを用いないと運用できない試作機段階なのだろう?」
和泉 猛(いずみ・たける)が尋ねる。
「人、二人で運用できるようにしないとね。アンドロイドも量産しないとなんて大変そうだし。隊員たちも乗せるんでしょう?」
イーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)が問題点を述べる。
「その辺りも問題だね。フィーニクスの一番の問題は生産コストの高さ。動力部、エンジンシステムにかなりの費用がかかる。反物質衝突炉はパワーが出ても、これらの問題を抱える。 そこで、君たちのイコンに使っている、機晶エンジンを採用しようと思う」
「そこで俺らパラミタの研究者の出番か」
猛の言葉に「そういうこと」とエルメリッヒは頷く。
「システムデータもイコンに近いものに変えることになるけど、君たちがいるから、運用するためのテスターには事欠かないけどね」
「だってよシヴァ」
イーリャが、ジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)の肩を叩く。
「え? あたしにデータを取れっていうの、劣等種。バーデュナミスに乗れってこと?」
「フィーニクスのテストパイロットに志望すなら、早くしたほうがいいよ。すでに希望者が何人かでてるからね」
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