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災い転じて福となる?

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災い転じて福となる?

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最終防衛地・クローフィ街

 落とし穴を掘っているセレン・ヴァーミリオン(せれん・ゔぁーみりおん)

「アンデッドさんたちからツァンダの人たちを守るとは言ったものの、やっぱり怖いですぅ……」

 アンデッドがいつ出てくるかと挙動不審な御劒 史織(みつるぎ・しおり)
 掘り終えた穴から出てきたセレンは史織の態度にニヤリとする。

「シオのビビり方はハンパじゃねーなぁ。ちょっと驚かしてみるか?」

 ニヤニヤしているセレンに気付いた史織。

「どうしたんですかぁ? セレン様」
「シ、シオ!! 後ろ後ろ!」

 話しかけてきた史織にセレンは驚愕の表情を浮かべる。

「え!? まっまさかアンデッドが出たんですかぁ!?」

 慌てて後ろを振り向く史織。だがそこには誰もいない。

「あっはっは! シオ、おまえビビりすぎだぞ」
「こんな時に冗談はやめてくださいよぉ」

 悪戯に成功して笑うセレンと半泣きの史織。
 遠くの方から戦闘音を聞きつけた黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)ユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)

「ちょっと静かにしろ」
「どうしました竜斗さん?」
「遠くの方だが戦闘音が聴こえる」
「……確かに聴こえますね」
「だろ? それに……」
「ひゃあああ!? こ、来ないで下さいぃぃぃ!!」

 竜斗が言い終わる前に現れたアンデッドに、驚きと恐怖で標準が定まらずあちこちに火術を放っていく史織。

「さっさと片して援護に行くぞ」
「そうですね。いきますよ!」

 大剣で倒していく竜斗。
 竜斗を援護するように頭を狙って倒していくユリナ。
 近づいてくるアンデッドに怖がりながら火術で燃やしていく史織。

 アンデッドの数を減らしながら竜斗たちは戦闘音が聴こえて来た方へ向かっていった。



◇          ◇          ◇




 八神 誠一(やがみ・せいいち)が想念鋼糸を地面に這わせてアンデッドの方へ伸ばしていく。

「封滅陣『薙風』は奇襲用かな、これは。じゃ、しばらく援護よろしく」

 集中して無防備となっている誠一を隣で三途川 幽(みとがわ・ゆう)がアシッドミストでアンデッドを溶かしていく。

「面倒だが早く終わらせるぞ」
「もちろんですよ。私は前線で倒していきますので!」

 リリア・ローウェ(りりあ・ろーうぇ)は大鎌でアンデッドを倒していく。

「よし、いきますよぉ。リリアさん、動かないで下さい!」

 地面に這わせていた一部の鋼糸を斜めに切り上げる様に薙いでエンドゲームのようにアンデッドを切り払う誠一。
 まとめてリリアの周囲にいたアンデッドを切り払った誠一は、続いて広範囲にわたって想念鋼糸を伸ばしていく。

「ありがどうございます!」
「『禍桜』の準備に時間かかるけど威力は十分かな?」
「ならさっさと仕込みを終わらせて一気に消してくれ」
「はいはい。わかってますよぉ」

 迅速に伸ばしていくがそれでも時間がかかる誠一の仕込み。
 確実に減ってはいるが現れるアンデッドの数が勝っているのにリリアはだんだん焦りが出てくる。

 そこへ大剣を持って突っ込んで来た竜斗。

「援護するぜ?」
「助かります」

 リリアと背中合わせでそれだけの言葉を交わしアンデッドを倒していくリリアと竜斗。
 竜斗が出てきた方向からはユリナの射撃と史織の火術が飛んでくる。

「準備できたよぉ! 一気に倒すよ。封滅陣『禍桜』!!」

 張り巡らせていた網を縮小させ、絡め取り、鋼糸で引き裂きながら爆炎波を放ち、アンデッドを切刻み焼き払っていく。
 大部分が誠一の『禍桜』で減り、戦いやすくなったことより、士気が上がる面々。

「一気にいくぞ!」
「もちろんです」
「あとちょっとですから頑張りますぅ」

 勢いが増し、一気にこの場にいるアンデッドを全て倒し終える事が出来たメンバー。

「思ったより数が多かったな」
「ツァンダでなかっただけマシだろ」
「そうですね。この街の住人がほとんどアンデッドになったようなモノですし」
「シオー、ツァンダの住人がみんなアンデッドだったらどうする?」
「そんな怖い事言わないでくださいぃぃ!!」

 セレンと史織のやり取りに笑いが溢れる。