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インテリ空賊団を叩け!

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インテリ空賊団を叩け!
インテリ空賊団を叩け! インテリ空賊団を叩け!

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 『指定された商船の件、うまく新聞に載せてもらえるようです、涼司
  念のため、護衛の求人も掲載しておきますが大丈夫でしょうか?』
 「頼む、連絡先は追って確認しておこう、とりあえずは段取り通りの形で大丈夫だ
  あと偽装空賊団の話も了解した。こちらの護衛の連中にも伝えておくよ
  すまないがよろしく頼む、レオン カシミール」

レオン・カシミール(れおん・かしみーる)からの通信を終え
山葉 涼司(やまは・りょうじ)は息をつき、机の傍の窓から外を仰いだ

レオンにはマスコミ面での情報操作の交渉を行ってもらっている
今回の空賊のネットワークが見えていない以上、情報操作には念には念をいれる必要があるからだ
裏ルート、そしてマスコミ側との情報の連動は最重要事項で、綿密に経過を報告してもらっているのだ
思った以上の大捕物になる事は予想外であったが、想定外ではない

最も……一学園がバックアップするには多少度は越えてるのも否めない事態ではあり
それに義賊とはいえ空賊が関わっている事態を良しとしない意見もある事は事実

そのうちの一人マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)が校舎前で待機しているのが見え、涼司と目が合った
彼のパートナーの近衛 光明(このえ・みつあき)は現在、涼司と同じ部屋にいて話をしている最中であり
今の通信はその間に流れてきたのである

案の定、近衛が今の通信の内容に抗議を入れてきた

 「ずいぶんとマスコミまで使って入念に肩入れしているんですねぇ山葉さん
  協力を申し出たものは意気揚々の様子ですが、あまり善行と持ち上げられるのも危険と思うのですが?」
 「必要以上に正義を掲げているつもりはないさ。だが被害と親しい者のあらぬ疑惑は放っては置けないだろう」
 「ホント、あなたらしい意見だと思います
  義をもって悪を裁くのは否定しません、でも論点はそこではない事も忘れないでほしいのですがねぇ?」
 「……わかっているつもりだ、俺なりにな」

近衛が言いたい事はわかっている
偽造の私掠許可免状を持って横行している行為を罪と裁くのはわかりやすいが
今、根本として話されていない問題がある事に彼は抗議を入れているのである

 『タシガン、ツァンダ両家が偽造を許してしまったという事実』

それについての謝罪を確かにレティーシア側からは聞いていないのも事実なのだ

 「そもそも私掠船制度が一般に受け入れられている事が問題です
  空賊を認めている環境がある限り、空賊は無くなりませんよ?
  今は目に見えている悪を裁くことに皆の意識は集まっていますけど
  どんな行為であれ、賊は賊です。それを悪を裁く行為でで容認してほしくはないんですけどねぇ?」
 「わかっているさ。だが今回の事で一学園がそこまで介入して裁く権限はない」

近衛の言葉に、涼司も考えながら答える

 「正論は伝える。レティーシアだってわかっていないわけじゃない
  だから彼女なりの形で落とし前はつけるだろう、それがないならこちらも動くさ
  ……だがそこにたどり着く前に、すべての流れを暴く必要はある
  いま被害にあっている人たちを守ると言う意味でもな」

机の上の協力者の名簿を見なが涼司の話は続く

 「それに……今回は相手が特殊なので慎重さが必要なんだ
  根源を断つために、危険を承知で潜入をしている連中だっている
  リスク覚悟で動いてくれている彼らを正論の名の下に裁く事こそ、長である俺は良しとはしない
  君は納得は出来ないだろうがな」
 「……そう言うと思ってましたよ。でも心には留めておいてください
  この様な意見を言う以上、私は協力できませんが事の成り行きは見守るつもりです」

そう言って近衛は去っていく
その姿を見て、涼司は同じく部屋にいたもう一人ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)に声をかけた

 「君も同じ意見なのか?ガートルード」
 「行為に異を唱えるつもりはありません
  私が大切だと思うのは勘違いした正義で必要以上の血を流す事が容認されるかしないかです
  義賊とはいえ、所詮無法者である事は変わりありません
  裁く行為を掲げて遠慮なく人を追い込むのであれば、私はそれを許さない」

傍らに控えるシルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)を従え、彼女も部屋を出る
去り際に今一度、自らの立ち居地と役割を涼司に告げながら去るのだった

 「一介の学生である私が人を裁く権限はありません。
  でも人を守る権利はあります。予定通り護衛につき、人を守ります
  ただし、必要以上に学生側が剣を振るうのであれば、私はそれを止める
  それが私と先生…シルヴェスターの意志です」