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全力! 海辺の大防衛線!

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全力! 海辺の大防衛線!
全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線!

リアクション

 拠点の右翼の防衛に当たるのは、ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)ギャドル・アベロン(ぎゃどる・あべろん)ウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)五百蔵 東雲(いよろい・しののめ)上杉 三郎景虎(うえすぎ・さぶろうかげとら)高塚 陽介(たかつか・ようすけ)九断 九九(くだん・くく)。すでに敵と接触し、戦闘が始まっていた。
「その程度か!」
 ギャドルが落ち武者の攻撃を回避し、カウンターとばかりに顔面にパンチを叩き込む。
「あめぇよ!」
 後ろから来たスケルトンの頭を掴み地面へ叩きつけ粉砕。
「邪魔だ!」
 しまいには口から火を吹き、前方の敵を焼き尽くす。
「はっ! 弱い、弱すぎるぜお前等!! 俺様を倒したければもっと大勢でかかってくるんだな!!」
 全力で戦えるのが嬉しいのか、楽しそうに戦っているギャドル。
「ギャドルも遠慮なしじゃのう……」
 そのギャドルを見ながら自身も敵の攻撃をいなし、武術を巧みに使い攻撃して行くルファン。
「まぁ、良いんじゃね? 楽しくやってんだから。それに他のメンバーは前衛向きってわけじゃないみたいだしな」
 『獣槍レヴァ・クロディル』を手に、ルファンと共に敵を迎撃する、ウォーレン。
「〜♪」
 その二人の後ろでは東雲が、『幸せの歌』や『人魚の唄』、『熱狂』など、力の限り歌いみんなを支援。
「失せろ」
 東雲の周りでは、三郎景虎が近寄る敵を一瞬にしてさばいていた。
「あっちはあっちで何かやってるみたいだしな」
「…………」
 何かを考えているのか目を閉じてジッとしている陽介と九九
「おらおら! 雑魚にようはねぇ!!」
「だから、あのぐらい暴れててくれたほうが良いって感じだな」 
 ギャドルのほうを見ながら肩をすくめるウォーレン。
「まぁ、そういうことならわしも頑張っておくとしようかのぅ」
 ルファンが『芭蕉扇』を振るう。すると、大風が発生。竜巻となり、前方の敵を吹き飛ばしていく。
「んじゃ、俺もいくとすっか」
 ウォーレンは蝙蝠の羽を広げ空へ、戦場を見回し、敵が接近し始めているのに動かない陽介のほうへ移動。
「……結界の中でなら能力を解放しても構わない……ふっ、今まで封印していたせいか妙に疼く」
「……なにかする気なのか?」
 一人、呟く陽介を見て止まるウォーレン。
「さぁ、乱目せよ! 俺に秘められた真の能力、それは神すら燃やし尽し、灰に還す焔の剣を持つ深紅の騎士を呼び出す能力!」
 その間にも陽介が一人で喋る。その横では九九が真摯に何かお願いするように祈っている。
「その一振りは大地を焼き尽くし、天を紅に染める! その騎士の名は……『終焉の焔【フェンリル】』!!」
 言い終わると同時にかっこよく決めポーズを決める陽介。そして、その求めに応じるように陽介の目の前に何かが召喚される。
「これは……」
 ウォーレンも驚きの表情を隠せない。違う意味で。
 今だ決めポーズをしたまま満足そうな顔をしている陽介。だが、目は開けてないので何が召喚されているのかは見ていないらしい。
「さて、そろそろ目を開けて……あれ? 深紅の鎧を纏った騎士が居ない……え、なんで!?」
 きょろきょろと辺りを見る陽介。
「ぷくー」
「……あれ?」
 その声で気づいたらしい。陽介が足元を見るとそこには深紅の鎧を纏った可愛い騎士がいた。
「……なにしてんだか……。って、今はそういうこと言ってる場合じゃねぇな!」
 さすがのウォーレンも呆れていたが、敵がすでに陽介の近くまで来ていたのを確認しすぐさま急行。
「……て、これが!? 深紅の鎧を纏った騎士!? メッチャ三頭身!!」
 驚いている陽介の前にスケルトン達が現れた。
「てか、敵近っ! ど、どうする……!」
「ぷくー!」
「ちみっこ騎士、まさかお前、特攻しようなんて!?」
 動揺する陽介だが、ちみっこ騎士は突貫。
「ちみっこ騎士ー!!」
 叫ぶ陽介。だが、ちみっこ騎士は普通サイズの焔の剣を振り回し敵を両断していく。
「えぇ!! 見た目はそれだけど能力は想像通りなの!?」
「よっと、到着……って、必要も無かったか」
 ウォーレンが到着したときにはちみっこ騎士が全て倒していた。
「ぷく……」
 大きさのあわない焔の剣がちみっこ騎士の手からすっぽ抜けた。
「おっと」
 ウォーレンは回避。その先に居たのは陽介。
「ちょ! 焔の剣が飛んできた!? ぎゃああぁぁぁ!!!」
「……おぉ、本当に三頭身の女の子になってやがるですぅ」
 こんなちみっこ騎士にしたのは九九が原因だったらしい。
「おまえ……なにをしたんだ?」
 ウォーレンが喜んでいる九九に聞く。
「陽ちゃんの妄想キャラが、三頭身の女の子になりましょうにですぅ」
 敵を倒して戻ってきたちみっこ騎士を嬉しそうに抱きながら答える九九。
「それで、これか……」
『こちら和輝。大型モンスターが二体そちらに向かった。迎撃してほしい』
 そこで和輝からの通信が入る。それと同時に二体のキマイラがメンバーの前に降り立つ。
「まぁ、無事なら良いか……、それよりもあっちか」
「ぷくー!」
 ウォーレンの後を追うようにちみっこ騎士もキマイラへと走る。
「あ、行っちまいました。あや? 陽ちゃん、そんなところに倒れてどうしやがりましたかぁ?」
「……け、剣が」
「あぁ、この刺さった剣ですねぇ……、よっと。って、これちみっこ騎士さんのですねぇ……。ちょっと行ってきやすねぇ」
 倒れる陽介を置いて剣を取りちみっこ騎士の後を追う九九。

 一方キマイラと対峙しているメンバー
「へっ! 強そうなモンスターいるじゃねぇか! こうでなくっちゃなぁ!」
 嬉しそうにキマイラを見るギャドル。
「よっと、到着」
 ルファンの横に降り立つウォーレン。
「ウォーレン今までどこに行っておったのじゃ?」
「まぁ、ちょっとした茶番をな」
「ぷくー!」
 そしてウォーレンの横にちみっこ騎士。
「そなたは……」
「ぷくー!」
「あー、それしか喋れないみたいだから気にしないでくれ。とりあえず強いってことは確かだから」
「そうか……」
「さぁ行くぜ!」
 ギャドルが一人突撃する。
「わしらも行こうかのぅ」
「だな」
「三郎さん、皆さんの手伝いをお願い。俺は大丈夫だから」
 東雲が再び歌を歌いメンバーの支援を開始。
「……了解した。俺も貴公らを手伝おう」
「ぷくー!」
 ギャドルに続きルファン、ウォーレン、三郎景虎、ちみっこ騎士も戦闘を開始する。
「おらぁ!」
 ギャドルの攻撃をバックステップで回避。その間にもう一体のキマイラがギャドルに鋭い爪で攻撃を仕掛ける。
「させねぇぜ」
 ウォーレンがそれを素早く槍でガードし、引き付ける。
「ふっ!」
「はっ!」
 三郎景虎とルファンがウォーレンの引き付けているキマイラを左右から挟撃。キマイラのもう一つある顔、山羊の目が光ると障壁が展開され、二人の攻撃が無効化される。だが、一時的なものらしく少しすると障壁は消滅。
「ぷくー!」
 そこにつかさずちみっこ騎士がパンチ。今度はキマイラの尾である蛇が瘴気のブレスを放つ。ちみっこ騎士はすぐに後退し、これよ避ける。
「やるじゃねぇか……」
 ギャドルも障壁に阻まれ攻撃を無効化されていた。キマイラの方はお互いつかず離れずの距離を保ち、様子を見ている。
「じゃが、障壁も長時間持つわけではないようじゃのぅ」
「うまく連携して一気に倒すか」
「っと、ちみっこ騎士さん。これを置いていってやがったですよぉ」
 追いついた九九が焔の剣をちみっこ騎士に渡す。
「ぷく!」
 お礼をするかのように手を上げてこたえるちみっこ騎士。
「んじゃ、行くとしますか!」
「頑張りやがれですぅよー。あたしは陽ちゃんのこと見てくるですぅ」
 九九を置いて他のメンバーがキマイラへ攻撃を再開。
「おら!」
 ギャドルが先制攻撃でキマイラを分断。
「これでどうかのぅ」
 ルファンが『芭蕉扇』で風を巻き起こす。
「おまけだ!」
 ウォーレンが風に『雷術』を放ち、雷を帯びた竜巻となりキマイラを襲う。そこで障壁を発動するキマイラ。風がおさまると同時に、障壁が解除。
「斬るっ!」
 それを待っていたとばかりに三郎景虎が接近し、『ヒロイックアサルト:【夜叉の剣舞】』を発動。鬼神の如く無慈悲、だがその動きは舞を舞うが如く剣捌きでキマイラを一瞬にして斬り刻んだ。
「終わりだ」
 一瞬にしてキマイラを一体撃破。
「残るは一体!」
「おらおらおらおらおら!」
 ギャドルが障壁関係なしに、キマイラ目掛け殴りまくる。
「その程度で……!」
 ギャドルの右手が障壁貫通し、山羊の首を掴む。
「この俺様を止められると思うなぁ!!!」
 そしてそのまま、引き裂いた。それと同時に障壁が消滅。
「終わらせてやるよ! すぅ……」
「ぷくー!」
 ギャドルが大きく息を吸い込み、そこから一気に火のブレスを吐く。それにあわせるようにちみっこ騎士も剣を振るい炎を発生させ、キマイラを焼き尽くす。
「ギャアァァァァァァ!!」
 キマイラの断末魔。その刹那。悪あがきとばかりに尾の蛇が大量の瘴気のブレスを吐き出す。
「くっ!」
 だが、メンバーには何も影響は出ていない。その間にもキマイラは焼き尽くされ灰となって消滅した。
「ゲホッ!」
 何事も無く終わったかに思えたが、後ろにいた東雲が咳き込みその場に膝をつく。
「東雲!?」
 すぐさま三郎景虎が駆け寄る。
「どうした?」
「なんだろうね……急に身体が動かなくなって……」
「まさか、今の瘴気……吸ったのか?」
「少しね……。でも、もう平気。今は何事も無いみたいだから……」
 証拠とばかりに立ち上がり何でもない事をアピールする東雲。
「……何事もなければそれで良い」
『こちら和輝。敵戦力の消滅を確認。そちらは大丈夫か?』
「こっちは平気じゃよ。他のところは大丈夫かのぅ?」
『ここのエリアで最後です。なので、戻ってきて一度休息を取ってください』
「分かった。それじゃあ、みんな行こうか。っとと」
 よろける東雲だが、すぐに何も無かったようにみんなと共に歩き出した。
「…………」
 それを心配そうに見ながら三郎景虎が後に続いた。

「あっ! 陽ちゃん、置いていかれちまいますよぅ!」
「お、おぅ……」
「ぷくー!」
 ちみっこ騎士が九九の懐へジャンプ。
「およ? お帰り。ちみっこ騎士さん」
「ぷく!」
「可愛いですぅ。このまま、持ち帰っちまいましょう♪」
「ま、まってくれぇ……まだ思うように動けないんだよぉ……」
 九九は陽介を置き去りにし、ちみっこ騎士を抱いてさっさと戻っていった。

 こうして、敵の奇襲攻撃を退き、防衛拠点の防衛に成功したのだった。