校長室
美食城攻防戦
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開城要求 その日は空を雲が覆い、今にも雨が降りそうだった。 じめじめとした湿気と不穏な空気が合わさり、やけに息苦しく重い雰囲気が美食城に立ち込めていた。 そんな空の下。 いや、空中と言っていいだろうか。 2人の男が背中合わせに言葉を交わしていた。 「やいてめえら! この城は完全に包囲されている! 大人しく投降しやがれ!」 飛空挺からの王 大鋸(わん・だーじゅ)の大音声が降り注ぐ。 操舵管を握っているカールハインツ・ベッケンバウワー(かーるはいんつ・べっけんばうわー)が目を鋭くさせる。 「やつの準備は出来たか?」 「ああ、アッシュ・グロック(あっしゅ・ぐろっく)は鼻息荒くしてるぜ」 「よし、後は頼んだぜ」 「あいよ」 カールの返答をしっかりと確認すると大鋸は飛空挺から飛び降りた。 大鋸の宣戦布告を聞いたのか、城内でのざわめきが嘘のように静まる。 戦いはすぐ目の前に迫っているのだ。 「というわけでよろしいですわね?」 イングリット・ネルソン(いんぐりっと・ねるそん)は眉を顰める。 「こんな優雅な饗宴に水を差すなんて、興ざめですわ」 「手はずは整ったかい?」 「ええ」 主催者たるルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)の問いかけにイングリットが振り向いた。 「高円寺 海(こうえんじ・かい)はどこだい?」 「さあ。でもどこかにはいるのでしょう?」 「彼のことだ。どうにかやってくれると信じているよ」 そして、火蓋は切って落とされた。