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 耐久BON−DANCEが続行不可能になり、騒然とする会場。
「皆様、大変申し訳ない。参加賞を用意してあるから、佳奈子くんとエレノアくんに貰ってくれないか」
 和尚さんも出張って沈静に務めている。
 そこへ、海、吹雪、イングラハムが戻ってきた。
 海の手には目的の宝。
「お前さん、それは……」
「和尚さん、勝手に持ち出しちゃ困ります」
「いや、すまんすまん。気に入ってしまって」
 御神楽環菜のフィギュア試作品だった。
「まだ発売もされていないものが流出すると、また今回みたいな事件になりかねません。これはきちんと製作元へ返しておきます」
「それなら仕方ない……」
 肩を落とす和尚。
「試作品……持っていればいずれ価値が上がり、マニアに高く売れる……」
 まだ物欲しそうにしている吹雪を、
「やっと戻ってきたよ! 早く手伝って!」
 てんてこ舞いになっているたこ焼き屋台へ、コルセアが引っ張っていった。
「未来の価値よりも、現金のほうがいいのだよ」
 イングラハムもそれに続く。
「さて、この耐久BON−DANCEの賞品、どうしたものか」
 黒くふさふさした特製ヅラをどうするか、和尚は考える。
「それが豪華賞品だったんですね」
 海の言葉に、参加者一同は、
『参加賞だけでいいです』
 と、恋愛成就のブレスレットを受け取り去っていった。
「むう、特製なのだぞ?」


 そして、今まで中断していた美ハゲコンテスト。
「大変長らくお待たせしました!」
 司会の美夜が戻ってきた。
「最初に捕まえた彼には逃げられたけど、新たにエントリーメンバーをゲット! ご紹介しましょう!」
「近くの不良グループで下っ端をやってるモヒカン、もとい、元モヒカンだぜ!」
 登場したのは美羽によって剃髪された元モヒカン。頭にはその後が微かに残っていた。
「さて時間も押してまいりました。ここで審査を行っていただきたいと思います!」
 結局エントリーされたのは近くの寺の住職とご近所に住むご老人、そして、元モヒカンの三名。
「早速結果が出ました! 審議の末、毛は生えていないけれど、映えある優勝に輝いたのは……」
 ドラムロールが響き、ライトが交差する。そして――
 ジャン♪
「元モヒカンの彼です!」
 音と一緒にスッポトを浴びる元モヒカン。
「尚、『ハゲ化を選んだ勇者』として審査員から支持を得たもようです!」
 実際には強制だったのだけれども、本人は意外と乗り気。
「ハゲも悪くないぜ!」
「それでは優勝のトロフィーです!」
 美夜の手からトロフィーが授与され、
「また、和尚さんから副賞として賞品が贈られます!」
「BON−DANCEの賞品が余ってしまったからの」
 渡された特製カツラ。
「やったせ! これで、俺たちの野望は達成だ!」
 一目散にアニキの元へ急ぐと、
「アニキ! 例の宝を手に入れましたぜ!」
「もう要らん!」
「だって、アニキも頭……」
「うるさい!」
 顔と頭を赤くして、タコみたいに怒るアニキ。
 そこに、カメラを提げたマナがやってきた。
「みなさん、写真一枚いいですか?」
「夏フェス風景ってことで、夏休みの宿題として提出したいんです」
 英輝たちの申し出に美夜は、
「だったら、BON−DANCEの参加者も呼ぼう!」