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リアクション
場所も道具もその人次第
基地でドラゴンアーツを駆使し、イコンや作業用重機や資材を足場にして跳び回って逃げるエヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)。
空中に跳び出す時は必ずクレーン等が近くにあるようにしている為、急転回も可能である。
「士別れて三日なれば、まさに刮目して相待つべし……波乱続きのパラミタだ、相手が後輩といえど油断は禁物。気付かぬ内に力をつけているなどよくある事、全力で受けて立とう!」
地上ではホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)が至れり尽くせりで用意した縄をサイコキネシスで草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)が飛ばしている。
「やはり、ドラゴンアーツで上げた身のこなしにはついていけないな」
「ではワタシが試してみましょう」
名乗りあげたブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)がゴッドスピードでエヴァルトに挑むが、地の利は向こうにある。
「単体で挑んでも埒が明かないな。ホリイとブリジットで挟み打ちにしてみるか」
それを見た夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)がそう指示を出す。
飛んでいくホリイとブリジット。
両サイドから挟むようにして捕まえようとしたところ、エヴァルトがクレーンに足を引っ掛けることで避けてしまう。
「あ!」
誰がそう叫んだだろう。
地上に落下していく彼女らに慌てる甚五郎と羽純。
「間に合え!」
羽純がサイコキネシスで落下スピードを遅くするよりも早く、エヴァルトが二人を脇に抱えるようにして地上へ着地した。
「大丈夫か? どこにも怪我とかしてないよな?」
「は、はい」
「大丈夫です」
「そうか。なら、次からはもっと周りや味方の位置をしっかり見て動くんだぞ?」
怪我が無いのを確かめると、エヴァルトは颯爽と基地を後にする。
「助けられてしまいました」
「本当にどこも怪我はないんだよな?」
「はい。彼に抱えられていたので」
「助けられたことはありがたいが、せっかくのチャンスを逃したぞ」
羽純にそう言われエヴァルトを捕まえるのを忘れていた事に気付く甚五郎たち。
「過ぎたことを言ってもしょうがない。まだ、この基地内に数組いるようだし、次捕まえれば良いだけの事だ」
超感覚でアタリをつける甚五郎を先頭に、隠れている泥棒を探し始める。
「! 三月ちゃん、海くん来ますよ!!」
基地内に隠れていた柚は、近づいてくる甚五郎たちに反応する。
身構えていると、前方からとりもちや投網、風呂敷が飛んで来た。
「なんかいろいろ飛んで来たな!」
「撃ち落とせば別に支障はないだろ」
「それもそうだ、な!」
海のアルティマ・トゥーレで投網と風呂敷は凍り、とりもちも冷やし固められた所を三月の蹴り破壊される。
破壊されて間を開けず、ブリジットのゴッドスピードでの急接近してくる。
「固まってては狙い撃ちにされますね。一先ずばらけましょう!」
柚はそう言って左の方へ走って行く。
しかし、その方向からタライが落ちてくる。
―――ガァァァァン!
「攻めの手を止めるな!」
「ホリイ、あるもの全部わらわの前に置くのだ」
「はい!」
「逃がしませんよ」
ブリジットのハイスピードでの妨害と、羽純とホリイの進路妨害によって後手後手に回ってしまう柚たち。
「みんなそれぞれ持ち前のスキルを上手に使ってますね。すごいすごい」
「感心するのは良いけど、気を抜かないようにね」
「うん。集中、集中」
新入生の成長ぶりを嬉しがる柚に三月は注意をいれる。
「それより、この飛んで来るモノは邪魔だな」
「なら、ちょっと隙を作ってよ。僕のヒプノシスで眠らせるから」
隠れていた場所から三月が飛び出す。
後方から海の援護と柚の指示で羽純とホリイの元へ辿り着いた三月は二人を眠らせた。
「よし、これで動きやすくなった」
「三月ちゃん! 後ろ!!」
飛んで来るモノがなくなり、注意力が散漫になったのか三月は接近してきたブリジットに捕まってしまう。
「三月ちゃん!」
三月の方へ視線を集めた柚は、クレーンを伝って上に移動していた甚五郎が放った縄に捕まる。
海はとっさにイコンの影に隠れようとしたが、そこには予め甚五郎の手によって作られた即席の罠が設置されていた。
柚、三月、海の三人を捕まえて喜ぶホリイたち。
柚は改めて甚五郎たちの成長を喜び、褒めるのだった。
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