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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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迅竜 カタパルト

「流石は団長、こんなすごい物を用意していたなんて」
 鮮紅のコクピットにて、董 蓮華(ただす・れんげ)は感動のあまりどこか呆けたような表情をみせた。
「精一杯頑張るわ。この船を団長だと思ってお守りしなきゃって」
 決意を込めて蓮華が言うと、サブパイロットシートから微笑とともに声がする。
「でかい団長だなあ」
 声の主――スティンガー・ホーク(すてぃんがー・ほーく)に蓮華はついつい声を張り上げてしまう。
「物の喩えよ喩え!」
 その後、ややあって蓮華は真面目な顔になって言う。
「大好きな金団長が皆の為にと用意してくださった迅竜だもの、できるだけ無傷で帰路につかせてあげたいのよ」
 スティンガーはその言葉につっこむことも茶化すこともしない。
 ただ黙って聞き届け、頷くのみだ。
「そうだな」
 しばしコクピットに訪れる静寂。
 それを破ったのはアラート音だった。
 PiPiPi!
「接近警報!?」
 大急ぎで蓮華がモニターに目を落とすと、アサルトヴィクセンを襲っていた八機の“ドンナー”が一斉に迅竜へと殺到してくる。
「準備はできてる――行くわ!」
 マイクに向かって叫ぶと、鮮紅のコクピット内モニターにダリルの顔が映ったウィンドウがポップアップする。
『頼んだぞ――進路クリア。発進どうぞ』
 ウィンドウのダリルに向けて大きく頷くと、蓮華は開いていくハッチを見つめる。
「董蓮華、鮮紅。行きます!」
 雄叫びのように名乗りを上げた蓮華の声とともに、鮮紅は飛び立った。