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第6章 煩悩<煩悩 〜色欲専用隔離スペース

「俺は……俺は108の煩悩のひとつ、色欲!」
 大変な宣言をしてしまったのは、KKY108と共に歌番組に参加していた城 紅月(じょう・こうげつ)
(ああ……なんか……したい)
 舞台袖で待機していた紅月は、煩悩に取りつかれたことによって唐突に湧きあがる欲望を押えきれなくなっていた。
「ふふふふふ……男も女も俺がイかして昇天させてあげるよ。いや、堕落かな?」
 たいそう危険な状態の紅月の目に入ったのは、幸か不幸かレオン・ラーセレナ(れおん・らーせれな)五十嵐 虎徹(いがらし・こてつ)だった。
「今日こそは、こっちが上になる番だ!」
 そう紅月にびしりと宣言された二人は、余裕の表情で顔を見合わせる。
「なんだか生意気な事を言ってますね」
「ああ。そんな挑発がどういう結果になるか、体にきっちりと叩きこんでやるか」
「は!? 俺を押し倒せるものなら押し倒してみなよ!」
 レオンと虎徹の悠然とした態度に、思わずムキになって挑発する紅月。
 しかしそれは、彼にとってあまりにも危険な挑発だった。
「んじゃあお言葉に甘えて……っと」
「言った言葉は取り消せませんからね」
「な……うわっ!?」
 即座に紅月の両脇に並び立つレオンと虎徹。
 左右から挟むようにして、紅月の胸元に手をすべらせる。
「え……あ、や、やだっ!」
 その感触に、まだ服の上からの愛撫にも拘らず身を捩らせる。
「相変わらず、ここが弱いですねえ」
「もうこんなにも反応してるくせに、バカな事言ってるんじゃねえよ」
「やぁ……な、んでレオンまでっ。二人してそんな、反則だっ……ぁあ……んっ」
 紅月の抗議の声は二人の手から与えられる断続的な愛撫によって次第に小さくなっていく。
 様子を見計らって、レオンは紅月を抱え上げると人気のない場所へと誘う。

「くっ……」
 誰も使っていない小さな倉庫の片隅で、紅月は手綱で繋がれていた。
「さあ、今夜は泣いても許しませんよ」
 笑顔のレオンは何かを取り出すと、虎徹と共にそれを口にする。
「こら待て何怪しげな物飲んでるんだよ!」
 更に虎徹も何かを取り出し、それを手で掬い取る。
「大丈夫。お前の方には、こっちを塗りこんでやるからな」
 レオンが取り出したものは『まっすぐドリンコJ』。
 虎徹が取り出したものは『粘膜保護薬“聖夜”』。
 どちらも、「今夜はお楽しみですね」的な用途に使えるアダルトな便利アイテムだ。
「ちょ、待て! 一方的なのはずるい! 色欲の俺にも楽しませろ……あっ、そんなモノ塗るんじゃない!」
 次第に紅月の声は、言葉にならなくなっていく。
「じゃあまずは俺からだ」
「そうなんですか? 多少不満ですが……まあ、夜は長いですからね。朝までゆっくり楽しみましょう」
「な……ぁああっ!」
 ゴーン!
 紅月の体から、低音が響いた。
 ゴーン。
 ゴーン。
 ゴーン。
 その音は、夜中響き続けていたという。