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【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城

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【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城
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エピローグ

 ようやく姿を現した青空を見上げながら、セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)は心地よい潮風を感じていた。
「これで海賊業に戻れて、変な恰好ともおさらばね」
「そう? ……いつもと変わらないように、見えるけど……」
 胡坐をかきながら、禁書 『フォークナー文書』(きんしょ・ふぉーくなーぶんしょ)が欠伸をした。
 セシルはそんな禁書 『フォークナー文書』に、服装がいつもより若干可愛くなってしまっていることを説明する。
「どっちでもいいよ」
「あっ、こんな所で寝たら風邪ひくって!?」
 話の途中で、禁書 『フォークナー文書』は足りない睡眠時間を補うべく、器用に座ったまま眠り始めた。

 古城のテラスではベルテハイト・ブルートシュタイン(べるてはいと・ぶるーとしゅたいん)たちベルテ一家が、テーブルを囲んで優雅な一時を過ごしていた。
「ベルク、飲み物を追加してくれ」
「かしこまりました……」
 執事のベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)は、ベルテハイトの前に入れたての紅茶を差し出す。
 ベルテハルトはカップを口に近づけて香りを味わうと、そっと口をつけた。
「――って、おい!?」
 ティーカップが置かれたのを見てから、ベルクがようやくツッコミを入れる。
 ベルテハルトは驚いた様子もなく、角砂糖をスプーンで混ぜながら尋ねる。
「どうしたんだい、急に叫び出したりして」
「どうしたじゃないだろ!? あれだけもったいぶっておいて、必要な時がこれってどういうことだよ!」
 ベルクはベルテハルトに「必要な時があるから」と限定解除をとっておいた。しかし、戦闘中にベルテハルトから使うように指示はなく、いざ終わってから世話をするために限定解除させられていた。
「貴公は私達の執事だろ。だったら世話をするのは当然じゃないか」
「それは今だけの――」
「それに使わないで済んだというのは、それだけ余裕があったということだよ」
 何を言っても、躱されそうな勢いだった。
 ベルクは何か言い返す言葉を探していた。
「あ、この御煎餅おいしいですね」
 ふいに、フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)がテーブルに置かれた煎餅を手に呟いた。
 それはベルクが用意してきたちょっと値段が張る老舗の物だった。
 フレンディスが美味しそうに煎餅を口に運ぶのを見ていたら、ベルクは怒りがどこへやら消えていた。
「今回だけだからな……」
 ベルクはフレンディスに緑茶を用意する。

「やれやれ、無事に終わったか……」
 マスコットの狼に戻った源 鉄心(みなもと・てっしん)は一息入れながら、人間の姿に戻るまでどう過ごすか考えていた。
 すると、そこへイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が両腕に荷物を抱えて走ってくる。
「鉄心〜♪」
「どうした?」
「わたくしが鉄心のお世話をしますの!」
 そう言って、イコナは抱えていた荷物を降ろして床に並べた。
 高級ドッグフードとエサ皿。犬用ブラシにシャンプーとタオル。
「ご飯を食べたら、お風呂の時間ですわ!」
 ノリノリのイコナに、鉄心は深いため息を吐いた。
 鉄心が「ワンッ!」と軽く脅すと、イコナは慌てて逃げ出していった。

「うん♪ なかなかいい写真が撮れたわね」
 シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)が特製スパイカメラセットで撮影した映像を確認していた。
 映っているのは魔法少女になった生徒達の姿。洋服作りの参考にしたいというアイリス・ラピス・フィロシアン(あいりす・らぴすふぃろしあん)のために撮ったものだった。
 なかなか綺麗に撮れていて、みんな個性豊か。シオンは満足げに微笑む。
 すると、富永 佐那(とみなが・さな)が近寄ってきた。
「あ、丁度よかったです。カメラを貸していただけないでしょうか?」
 シオンは不思議に思いながらも、扱い方に注意するように指摘してカメラを貸すことにした。
「ありがとうございます!」
 カメラを手にした佐那は、軽快な足取りで弓彩 妃美の元へと向かった。
 戦闘が終わって気の抜けた妃美。
 足を放り投げ、ボケーとのんびり進む雲を眺めていた。
 その姿を、ばっちり、色んな角度から、佐那は撮影した。
 暫くしてようやく佐那の存在に気づいた妃美。
「ん、なにやってるの?」
「撮影です……可愛い下着が見えてますよ」
「なっ――!?」
 妃美は顔を真っ赤にして、慌てて魔法少女衣装のスカートを抑え込む。
「か――かえしてぇ!!」
 立ち上がってカメラを奪おうとする妃美から、佐那は逃げ回っていた。

 森で戦っていた生徒達が次々と古城に集まる。
 大怪我を負った柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)は、生徒に肩を貸されながらどうにか辿りついた。
「恭也さん!」
 すると、恭也の姿を見つけたアイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)が駆けより、涙目になりながら抱きついてきた。
「よかった。無事だったんですね。もしかしたらとすごく心配したんですから……」
「ああ、悪かった。全然大丈夫……ごめん、やっぱり痛いから離れて」
「す、すいません……」
 アイリは青ざめた表情の恭也から離れると、周囲にいた生徒に治療を頼んだ。
 恭也は休むために、ベッドのある古城の一室へと向かう。
「いたいた、アイリちゃん〜♪」
 入れ違う形で遠藤 寿子(えんどう・ひさこ)が手を振りながら走ってくる。
 目の前で立ち止まった寿子は、アイリの手をぎゅっと掴む。
「おつかれさま!」
「……お疲れ様です」
 アイリは皆の無事を喜び、笑いかけた。

(END)

担当マスターより

▼担当マスター

虎@雪

▼マスターコメント

 この度は『【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城』にご参加いただきありがとうございました。
 リアクション製作を担当させていただきました、虎@雪(とらっとゆき)です。

 公開が遅れまして申しわけありません。
 期限に間に合うように努力していきたいと思います。

 今回はバトルバトルしてますが……楽しんでいただけたなら嬉しいです。
 次の話はのんびりいきたいと思っています。
 よろしくお願いします。

 いつものことながら素直な感想が聞ければ、嬉しいと思います。

 機会がありましたら、またどうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとございました。