 |
 |
リアクション
同時刻 海京沖合 海上
シーニーが捕捉した『近付いてくる二機』のうち一機は、今まさに“ヴルカーン”部隊へと突撃をかける所だった。
風紀委員として丁度で払っていた桐ヶ谷 煉（きりがや・れん）は天御柱学院の危機にその場にいない不甲斐なさを感じていた。
苛立ちながらも出撃準備をし、愛機であるセラフィートを駆って海京へと急いだ煉。
急いで帰ってきた煉が見たものは、砲撃を受ける海京だった。
それを目の当たりにし、煉は完全にキレた。
『非戦闘員の住民にもお構いなし、と。お前達のやり口は良くわかった。覚悟は出来ているだろうな……！』
デュランダルとライフルを構えて突撃するセラフィート。
それに気付いた“ヴルカーン”の数々がミサイルを次々に発射して迎撃し、たちまち煉の視界はミサイルで埋め尽くされる。
『あいつら好き放題街に撃ちやがって。ぜってぇにゆるさねえ！』
セラフィートのサブパイロットシートで怒りをあらわにするエヴァ・ヴォルテール（えう゛ぁ・う゛ぉるてーる）はミサイルやライフルの軌道を解析し、適切な回避パターンを精神感応で煉に伝えつつ、機体の各種調整を行うことで万全のサポートをする。
セラフィートは、エヴァのサポートのおかげで被弾することなく、ミサイルをドラッグ機動で振り切りつつライフルで迎撃する。
『サポートはまかせろ！ やっちまえ、煉！』
『これ以上街を、海京を焼かせはしない……！』
振り切れず残ったミサイルはデュランダルを振るって着弾前に斬り払いながら、“ヴルカーン”へと強引に接近するセラフィート。
接近された“ヴルカーン”はすぐさまガトリングガンで応戦しようとする。
だが、それよりも早くセラフィートは抜き放った空裂刀を“ヴルカーン”のコクピットに突き刺す。
“ヴルカーン”の大爆発とともに即離脱するセラフィート。
更にセラフィートはそのまま速度を落とさず、手近なもう一気の“ヴルカーン”に肉迫する。
ガトリングの応射が襲いかかるが、機動力を活かして回避しながら敵の懐へと飛び込むセラフィート。
そのままセラフィートはすれ違いざまにデュランダルで“ヴルカーン”のコクピットを貫いた。
セラフィートが素早くデュランダルを惹き抜き、離脱するとともに大爆発する“ヴルカーン”。
たて続けに友軍機を二機も撃破され、すぐ近くにいた三機目“ヴルカーン”はセラフィートを何よりも先に排除すべき対象として認識したようだ。
ガトリングガンではなく、150ミリライフルをセラフィートに向ける“ヴルカーン”。
しかし、トリガーが引かれるよりも早く、セラフィートは“ヴルカーン”に向けてフルブーストし、機体を密着させる。
左手で“ヴルカーン”の頭部を握りつぶさんばかりに掴み、銃剣付きのビームアサルトライフルを右手で掴むセラフィート。
すぐさま“ヴルカーン”は胸部装甲を展開し、セラフィートに零距離から掃射を浴びせようとする。
だが、それよりも早くセラフィートは銃剣をコクピットに突き刺し、フルオートでトリガーを引いた。
即座に離脱するも、大爆発した“ヴルカーン”の起こす衝撃に煽られて僅かに体勢を崩しかけるセラフィート。
姿勢制御に割いたほんの一瞬の隙を狙い、少し離れた所にいた“ヴルカーン”が150ミリライフルをセラフィートに向けた。
そのトリガーが引かれる瞬間、“ヴルカーン”は水中から受けたグラビティキャノンの砲撃が直撃し、ガネットを巻き込んでり大爆発する。
『こちらウィスタリアの柚木 桂輔（ゆずき・けいすけ）だ。無事か？』
たった今、水中からガネットと“ヴルカーン”を狙撃したウィスタリアから通信が入る。
『ああ……助かった。感謝する』
桂輔の声に続いて、アルマ・ライラック（あるま・らいらっく）の声も聞こえてくる。
『敵の電子戦機の性能が高く苦戦しましたが、どうやら迅竜からのカウンター攻撃があったようで。そのおかげで何とか復旧できました』
そう言うと、アルマは煉に持ちかける。
『念の為、ウィスタリアに着艦されては？ 整備用の設備も整ってますし』
すると煉は静かな闘志を秘めた声で答えた。
『気遣いに感謝する。だが、俺は奴等を一秒でも放っておけないのでな――』
