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新米冒険者のちょっと多忙な日々

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新米冒険者のちょっと多忙な日々

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■幕間:冒険者であるということ

 いざこざはあったものの、無事荷物を届け終えた二人は今日の出来事を思い返す。
「あんなのが講師を引き受けるなんて……」
「ハツネさんはともかく大石さんは苦手だなあ」
「――へえ、男らしい意見ね。優里ってばあの乳袋にやられたのね」
 違うよ、と否定する優里を風里があしらう。
「しかし二人を危険な目に遭わせて申し訳ありませんでした」
「なんで御凪さんが頭を下げるのよ。私は助けられた立場なのに」
「そうですよ。感謝です」
 皆さんも、とリアトリスたちに向かって優里は頭を下げた。
「いやあ、さすがの私もあれにはまいったわ。まさか毒なんてね」
「目に見えないものに対処するのは名の通った冒険者でも厳しいわね」
 セレンフィリティたちが肩を落としていた。
 なにはともあれ、と彼女は続ける。
「冒険者の中にはああいった連中もいるわ。依頼によっては敵になったり味方になったりよ。プロに徹すると言えば聞こえは良いけど……あれはねえ――」
「はあ……また遭いそうな気がするわ」
「会うかなあ?」
「遭うわよ。何故か知らないけど気に入られてるみたいだし……」
 風里は優里のきょとんとした顔を見つめながらため息を吐いた。