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この中に多分一人はリア充がいる!

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この中に多分一人はリア充がいる!

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「……あ、やべ。関係ない奴巻き込んじまった」
 爆発の後、ぼろ雑巾になった3人を見てキロスが呟く。
「あら、全く関係ないってわけじゃないわよ?」
 桜月 舞香(さくらづき・まいか)の言葉に、キロスが訝しげに問う。
「どういうことだ?」
「今の二人、ちょっと前のバレンタインであったあるイベントで見かけた事あるのよ……熱々のカップルとしてね」
 そう言って舞香はセレンフィリティとセレアナ……だったものを指さす。
 ちなみにバレンタインであったあるイベント、というのは、とある地下でカップル達がまぁ色々と素敵な目に遭ったイベントである。セレンフィリティ達はそこでカップル側として参加し、舞香も別行動を取っていたがその場にいたのである。
「まぁ他にもそのイベントでカップル側として参加した人達も何人かいるみたいねぇ? 衆人環視の中で熱いキスシーンまで披露してた人とか、それを見て『僕たちは後でいいよね』とか言ってた人とか、ね。あの後さぞかし熱い夜をお過ごしだったんでしょうね。羨ましいわぁ」
 舞香がぐるりと正座している者達を見回す。何人かが『余計な事言うんじゃねーよ』と睨み付けるが、知ったこっちゃないとばかりに舞香はその視線を受け流す。
(ふっ、甘い甘い。陰湿な足の引っ張り合いで百合園女学院に勝てると思って?)
 お嬢様学校とは恐ろしい学校のようです。
(これで何人かは犠牲に追い込めるだろうけど、まだ足りないわね……もう一押し必要かしら)
 何か考えるような仕草を見せるキロスを見て、舞香は考える。
(あのナンパ男のキロスを説得させるには……やっぱり『ナンパに有利な条件』を押し出すのが一番かしら。ロイヤルガードの地位が高い事を利用して唆すのが良さそうね。色々リア充っぽいし……ふふ、国の盾として潔く犠牲になってもらおうじゃない)
「なあ」
「あら、何かしら?」
 舞香が考えを巡らせている中、キロスが話しかけてくる。
「さっきバレンタインのイベント、って言ったよな」
「ええ、それがどうしたの?」
 舞香が頷くと、キロスは一度頷くと口を開く。
「で、おまえはそのイベントに居たんだ? オレはそのイベントがどういう物か知らねぇんだが、バレンタイン関連だとカップルとかリア充関係のイベントだろ? その場に居たって事は……リア充ってことになるんじゃねぇか?」
「そ、それは……」
 舞香が言葉に詰まる。一体なんと説明すればいいのだろう。とある地下(格闘場)でカップル(と非リア充)達が(戦って負けたら膝蹴り食らわされたりとか)まぁ色々と素敵な目に遭ったイベントなんて、普通に話して信じてもらえるわけがない。
 しかし間が開くに従って、状況は不利になっていくばかりである。
「あのイベントの場に居たのは、リア充カップルばかりではないであります」
 その時であった。正座していた葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)が立ち上がり、割り込んできた。
「あのイベントはバレンタインイベントという甘酸っぱい物ではなく、非リア充とカップルの対抗戦だったでありますよ! 自分もその場に非リア充側として参加したであります、リア充を1人でも多く葬る為に!」
 吹雪が熱く語るが、キロスは『お前は何を言っているんだ』という目で見ていた。舞香はこれは矛先が逃れるチャンス、と内心ガッツポーズである。
「そもそも今日はリア充共相手にテロ活動を行いに来たというのに、リア充に見られるとは気に入らないでありますよ」
 さらっと吹雪が不穏な発言をする
「リア充共を葬ろうとしていただけでありますよ。キロス君だって、ナンパに成功しているようであったら抹殺していた物を……」
「あら、失敗してたの?」
 興味を引かれたのか、舞香が話に割って入ってくる。
「おっと、その辺りは自分の口からは何とも。無様に全部失敗していただなんて」
「へぇー、そうなのー」
 無様に失敗していた、という所で舞香がニヤニヤとキロスを見る。勿論吹雪もである。
 が、それも長くは続かなかった。
「よし、お前らがリア充かどうかはわかんねぇけど、死にたいって言うのはよく解ったわ」
「「あ゛」」
 青筋を立てたキロスが、爆弾に火を点ける。流石に怒らせたのは拙かった。

――この後、爆発により『汚物置場』に2人、新たにぼろ雑巾が放られたのは言うまでもない。