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争乱の葦原島(後編)

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争乱の葦原島(後編)
争乱の葦原島(後編) 争乱の葦原島(後編)

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 グオオオォォォォ……!!

 地鳴りのような声が、その部屋では鳴り響いていた。
 ヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)は反対側の牢に寝転がっているシーニー・ポータートル(しーにー・ぽーたーとる)の顔を見ようと何度も角度を変えたが、うまく確認できなかった。
 ヘスティアとパートナーの機晶戦闘機 アイトーン(きしょうせんとうき・あいとーん)東 朱鷺子(あずま・ときこ)第六式・シュネーシュツルム(まーくぜくす・しゅねーしゅつるむ)の四人は、先頃城下町で起きた暴動で、首謀者である九十九 雷火(つくも・らいか)に手を貸した咎で、捕えられていた。
 協力することを避けるため、それぞれ個別の部屋をあてがわれているが、全て鉄格子であるため互いの姿を確認することは容易だ。
 そしてヘスティアの記憶が確かなら、シーニーはつい今朝方まではいなかったはずだ。暴徒の中にいたかどうかは、定かではない。
 雷火に確認しようと思ったが、彼はずっと、他の四人に背を向けている。そして四人も話し合うことはない。何か喋れば、それが不利な証拠として使われる、と思っていた。
 ――いや一人だけ、喋りまくっている者がいた。
「ヒャッハー! オレ様としたことが……捕まったネ? 無理も無いネ! オレ様、大人気! オレ様を捕まえておきたいという気持ち、オレ様にはヒジョーによく判るネ!」
という第六式の耳障りなお喋りにも雷火は全く動じなかった。シーニーも、鼾をかき続けている。
 鉄の扉がズズッと音を立て開くと、真田 佐保(さなだ・さほ)が奉行所の役人を伴って入ってきた。
「待たせたでござる。奉行所との調整がついた故、全員、取り調べを行うでござるよ」
「オーケー、オーケー! オレ様は、ファンを大事にする!! 少しだけなら、話をする時間を作ってやるネ! ただし、三食昼寝付きで、カルシウムばっちりなおやつをよろしくネ!!」
 佐保はにっこりと笑って見せた。
「左様でござるか。そなたの大ファンという者がいるでござるから、ぜひ話をしてやってほしいでござる」
「任せるネー!!」
 第六式はケタケタ笑ったが、三人はさてどうしたものかと考えていた。この取り調べ如何では、自分たちどころかパートナーたちの処遇も変わってしまう。
 三人は先頭に立つ九十九 雷火の背中を見つめた。彼はまだ、何も言わない。
 シーニーは鼾をかいている。